【読書感想】オーソン・ウェルズこそがフェイクドキュメンタリーの神なのかもしれない
映画監督で好きな人といえば、私としては、やはり『市民ケーン』のオーソン・ウェルズである。
大富豪が死に際に発した「ローズバッド」というキーワードを追うと、華やかな人生を極めたように見えた彼が、死に際には子供時代の幸せな時代を懐かしんでいた孤独な男であったことがわかった、、、
というのが公式見解ですが、実はこの「ローズバッド」には、オーソンウェルズの同時代ゴシップ好きにはわかる、二重の意味があった、、、というか、現代でいう炎上商法だった、というのを、昨日、以下の本を読んで学びました、
こういうことがあるから、
オーソンウェルズの映画は、それのみならず、彼の人生の伝記までもが、後年になってからわかるイタズラやトリックだらけ、
まことにこの人は油断ができない!!だからまあ、私は、オーソン・ウェルズが好きである。
そういえば、1938年に起きた「火星人襲来パニック」事件、
オーソン・ウェルズがラジオドラマで「本物そっくりな臨時ニュース放送仕立てで宇宙戦争のドラマを放送したら、それを本当だと信じたアメリカの人々の間でパニックが起きた」という事件ですが、
よく考えれば、巧みに「本物のニュースを模した」上に、途中で「これはフィクションです」と入れておくことで後々の訴訟に備えていた、ということを含め、これは現代でいうフェイクドキュメンタリーの元祖ではないですか!
私も好きなジャンル、「フェイクドキュメンタリー」の神様としても、オーソン・ウェルズは無視できない。
ところが、くだんの本によると、
この「火星人襲来パニック」事件それ自体も、実際にはそれほど大きなパニックになってはいなかったものが、都市伝説に誇張された
とのこと。
このニュースもまた、フェイクなのである!
まこと、作った作品のみならず、本人の経歴や、発言までが、フェイクドキュメンタリーだらけである。だからオーソン・ウェルズは、そのいかがわしさを含めて好きだし、無視できないわけだ。
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