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映画『エイリアン』シリーズが好きな私ですら『コヴェナント』を受け入れられなかった理由…よもや生みの親リドリー・スコットのファンへの「逆ギレ映画」なのか?w

SF映画の人気作品『エイリアン』シリーズにおいて、21世紀になってから突然、シリーズ生みの親であるリドリー・スコット監督が自ら製作した二部作、それが、

『プロメテウス』と『コヴェナント』

の二作・・・なのですが、

この二作、どうにも、旧来のエイリアンシリーズファンからは評判が悪い。

ただし、私自身は以前のコチラの記事で述べた通り↓

私は、『プロメテウス』のほうは、意外に嫌いではない。

既に老人となったリドリー・スコット監督が、「もう失うもんはないから」とばかりに、好き勝手な大風呂敷を広げた映画として、愛情すら感じています。そりゃ、彼が若かった頃の『エイリアン』第1作のような鬼のクオリティとは比較しようもないが、存外、そんなに悪い映画ばかりでもないと思ってる。

しかし

だが

いかんせん

そんな私が、、、そんな私すらも、、、、どうしても、、、

こんなことは言いたくないが、『コヴェナント』にはついていけなかった!

どうしたんだ、リドリー・スコット?とつぜん、映画作りのノウハウをぜんぶ忘れてしまったのか!?言っちゃ悪いがハリウッドのブロックバスター配給映画としては、あってはならないレベルの散らかり仕事と思うぞ!

私のフォロワーの方なら、ご存知かもしれませんが、本来SF映画やホラー映画が大好きな私、あまり映画の悪口は言わない。

ひどい作品でも、「でも、こういう面白いところもあるぞ」と、たとえワンシーンでも、いいところがあれば、そこをオススメする。

しかしそんな私も、『コヴェナント』には、言いたいことがたくさんあるぞw。いやー、でも、これほど、「楽しみーにして観たのに、裏切られた!」と思った映画もないのです。エイリアンシリーズのファンゆえに、愛情があるがゆえに、「どうしてこんなことに?」と感情が溢れてしまったwこのような作品が「エイリアンシリーズ」の公式としてカウントされていることがあまりに残念なのだ。

だから、今回は、

『コヴェナント』がなぜ「いけない」のかを、語ります!

なお、できるだけネタバレは少なめにしますが、

以下、ある程度、作品の核心に触れる話は紛れます。ので「いかなるネタバレも嫌い」という方は一度離脱し、鑑賞してから再訪ください。

では、以下は、少しだけのネタバレを含めながら、

なにが『コヴェナント』で、いけない点なのか、私の考えを述べます。

まあ、まず、ヒトコトで言えば、

細部へのこだわりが、甘い!

このヒトコトですよ。いいですか?宇宙船の内部のデザインとか、登場人物たちの行動とか、出てくるモンスターの生物学的な構造とか、あるいは登場する小道具とかに、こだわりがない。

まるで中学生の学芸会の演劇の、「僕が考えた未来世界」みたいに、

「いや、そんなカタチの宇宙船、おかしいやろ?」

「何年も宇宙船の中で生活している人間は、そんな行動を取らないやろ?」

「宇宙で未知の生物の卵を見つけたら、そんなに無防備にさわらんだろ?」

とか、ツッコミどころだらけなのです。しかもそれらが、「こだわりのあるSFファンから見ると納得できない」というレベルではない。普通に、常識的な人間として、未知の世界を旅行してたら、そんなノーテンキな言動はしないだろ、と言う点が多すぎる。

具体的な例を挙げると、、、

2000人もの人間を冷凍睡眠させて目的地の惑星まで運んでいる途中の輸送船…という設定なのに、謎の信号をキャッチしたとかいう曖昧な理由で「調査に行こう」と寄り道してしまう

眠ってる2000人もの人の命を預かってるってかなり重い任務の途中じゃない?なのに寄り道の行動が軽すぎる

調査に立ち寄った惑星に、地球とそっくりな森や山や川が広がっていることに、誰も驚かない

過去のエイリアンシリーズでは、「とりあえず着陸できる大地がある惑星」というだけでもいちいち驚いてなかった?ところが今回の舞台はいかにも「地球のどこかでロケしました」って感じの、地球そっくりな大自然の風景なのですよ!それはおかしいでしょ?偶然着陸した惑星なのに、オーストラリアだかニュージーランドだかっぽい、地球そっくりな植生の大自然が広がっている惑星なんですぜ?せめて、キャラクターの誰かが、「こんなに地球にそっくりの風景の惑星があったなんて!不思議ね!」くらいは言わないとおかしくない?ところが誰もツッコミを入れずに、この「オセアニアのどこかのロケ地っぽい」w惑星に何の違和感もなく着陸しているんです。

宇宙服も着ずに、軽装でゾロゾロと未知の惑星に降りていく

これがいちばん、気になった。だいいち、過去のエイリアンシリーズでは、どんな惑星についてもまず「大気の成分をチェック!」「宇宙服を着て、慎重に宇宙船から出るぞ!」と手順を踏んでなかった?今回のコヴェナントではそういうディテールがゼロで、みんな、トレッキングにいくような軽装でひょいひょいと宇宙船から降りて歩き出すんです

案の定、謎の感染症に続々と隊員がやられてパニックになる一同

宇宙服を着ないからだろうw!自業自得すぎて何も言うことがない・・・

その感染症を起因にモンスターの襲撃を受け、パニックになった隊員が銃を乱射、それが引火して乗ってきた宇宙船が大爆破し「たいへんだ!この惑星から出られない!」となる

しかも引火の原因となった銃はどうやらショットガンっぽい。どんだけ弱い宇宙船に乗ってきたんだw。あと、パニックになって銃を乱射し事態を悪化させるキャラがブロンドの若い女性隊員ってのも、いくらなんでも古いホラー映画の紋切り型キャラって感じでちょいと不愉快ですぜ。

思わず自作イラストで表現してみました、「私のアタマの中の『コヴェナント』の印象」いやでも、本当に、こんな感じのキャラクターが「きゃー!うわー!」やっていて自滅していく2時間という印象しか、残ってないんですよ!!w

はあ・・・はあ・・・思いつくままに書いただけでも、これだけの分量になってしまいましたが・・・もうこれくらいで十分ですかね?もう、おわかりですかね?SFとしての細部へのこだわりが、ぜんぜん、ないのですよ。宇宙船や小道具や、キャラクターの設定も、ぜんぶ、薄っぺらなのですよ。細部へのこだわりがないから、ぜんぜん、キャラクターの行動に説得力がないんですよ!細部へのこだわりがないから、未来の物語という設定なのに、現代の役者が学芸会をやっているような貧相な舞台劇にしか見えないのですよ。

SF映画から細部へのこだわりをとったら、こんなにも、「ストーリーにもノレない、キャラクターにも感情移入できない」珍妙なことになるのです。

ただ・・・いいですか・・・ここがいちばん大事な点ですが・・・SF映画が大好きな私は、「作った人の実力がないから、細部がボロボロな映画」は、それなりに楽しく観られるハズなのですよ。「あー、これを作った人は、SFってものをやったことがないんだな?じゃ、しょうがないな。そういう残念賞な作品だと思って見ればいいか」と、気持ちを切り替えますからね。

『コヴェナント』の問題はですね・・・過去のエイリアンシリーズで、「細部へのこだわり」の素晴らしさでさんざん我々を魅了してきた、リドリー・スコットが監督している作品、ということなのです。「SF映画を作る才能がないヤツ」ではないんですよ。「お前、やればできるヤツだろ?ていうか、過去先ではあれほど細部まで作り込んでただろ?今回だけ、どうしちゃったんだ・・・つまり・・・手抜きしてるだろコラアアア!」と、さすがに怒りが湧いてくるんです。

才能がない人が、一生懸命つくったものを、私は、決して、怒りません。「過去にさんざん才能を見せてきた人が、ある作品で突然しょぼいものを出して来た」ら・・・それを人は「手抜き」と呼びます。

「世界最高のシェフ」がいるレストランが町にあって、過去に、何度も、おいしい料理を出されてきたのに、久しぶりに行ってみたら、同じシェフが、いかにもまずいメニューを出してきたら、怒るでしょ?「あんた、昔はもっとおいしい料理を作ってたじゃないか!急にやる気をなくしたのか!金返せ」と。それと同じ気持ち。

『コヴェナント』は…どう見ても、そういう映画なのです。「どうしたリドリー・スコット、今回は、やる気ねえのか?!」と叫びたくなるような、うっすーい2時間映画。

いやあ、、、ビックリしましたわ。でもですね、まじめに、考えちゃったんですよ。

どうして、リドリー・スコットは、この『コヴェナント』をこんなにスカスカの映画として作って世に出してきたのでしょうか?

あくまで、仮説ですが、ひとつ、思い当たる点があるとすれば、

前回の『プロメテウス』と比較すると、今回の『コヴェナント』は、あの「エイリアン」が、ワンサカ、出てきて、暴れ回るんです。これはこれで問題でw、まるで怪獣映画のように、安っぽく、明るい照明の中で安いCGのエイリアンがずっと登場し続けて、「出すぎ」というくらい、たくさん、大暴れします。

あー・・・もしかして・・・もしかすると!リドリー・スコット監督、前回の『プロメテウス』のレビューに、「悪くないんだけど、『あのエイリアン』が出てくるシーンがあんまりないのが残念!これならエイリアンシリーズとは別の独立したSF映画として作ってくれたほうがよかった」とたくさん書かれたのを見て、ファンに逆切れしたのかな?確かに、私も、そういうレビューを書いたw

リドリー・スコット「あん?エイリアンをもっと出せ?うるせえなあ!そんなら、バカっぽいキャラクターが自業自得でエイリアンの惑星に取り残されて、2時間の枠の中で怪獣映画ばりにワンサカとエイリアンが出てきて人が食われまくる映画にしてやんよ!これで満足なんだろ!あん?」

と、キレながら作った、やっつけ映画だったのですかね?

そう仮説すると・・・むしろ整合性が取れてきたw

いやはや・・・なんと言いますか・・・「逆ギレ映画」として解釈しないととても整理がつかない作品が、栄光ある「エイリアンシリーズ」の中に加わるとは・・・いえ、でもですねえ、リドリー・スコット監督、うるさいことを言うけど、「これじゃないんですよ!これじゃ!」

ということを言っていたら・・・

なんと今年2024年、エイリアンシリーズに新作、『ロムルス』が加わるそうじゃないですか。

監督は交替するが、制作陣にはリドリー・スコットが残っているとのこと。若手に監督を譲ったのはよい判断じゃないでしょうか。さて、今度こそ大丈夫だろうな、リドリー・スコット!?もう逆ギレしちゃだめよ!!


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