【フランス革命~ナポレオン時代がわかる歴史マンガ】(前回の記事)のオモシロ参考文献を紹介します!

前回の記事でご紹介した通り、マンガ情報サイトに私の書いた記事を掲載いただきました。「世界史を勉強するならマンガを読もう!」というテーマで、以下のサイトでフランス革命~ナポレオン時代を描いた歴史漫画の紹介をやらせていただいています

こちらを執筆するにあたり、フランス革命やナポレオン帝政時代について、もともと好きだった本を読み返したり、今回の原稿の為に新しい資料を買って読み込んだりしました。

前回の補足記事という意味でも、使用した参考文献・参考マンガの中でオススメなものを紹介しますね。上述のサイトではどちらかというと「マンガとして読みやすく面白いもの」を打ち出しましたが、以下では「ある程度専門的にも勉強したい人向け、それでいて読み物としてもオモシロいもの」を選んでいます

全体像を掴むには岩波ジュニア新書のこちらがオススメ!『フランス革命-歴史における劇薬』

これは児童向けの新書ですが、書いている方は専門の学者さんです。

要点だけを見事に絞り出し、子供にもわかりやすく時系列を整理し、かつ現代への問題意識まで投げかけてきているこの構成は、見事と言えるのではないでしょうか!

サブタイトルの「歴史における劇薬」がテーマを物語っています。フランス革命は現代社会が生まれるためには必要なものだったが、あまりに犠牲者も多い劇薬だった。「こんなに強烈な劇薬を飲んだ当時のフランス」に敬意を表しつつも、「あなたはどう考えますか?」と投げかけてくるのが実にいいです。

美談として語られることの多い明治維新にもたくさんの不条理な犠牲者が出ていたことを取り上げて、日本史との比較の視点を入れているところもいいですね

独裁者ロベスピエールの人物像に迫るならこれが最強の一冊では?!『まんが学術文庫:群衆心理』

次はこちら。講談社「まんが学術文庫」から出ている作品です。

心理学者ル・ボンの著作『群衆心理』をマンガでわかるようにした、というものですが、大胆な編集方針をとっていて、事実上はフランス革命の独裁者ロベスピエールの伝記マンガとなっています

ロベスピエールは、貧しい人や、虐げられた人を救いたい一心で、田舎の弁護士からフランス革命のリーダーにのし上がった人です。

いかに群衆というものが、時流しだいで過剰に暴力的になるだけでなく、また時流しだいでいかにコロリと、今まで正義だと言っていたものを悪だと言い出すものなのか

ロベスピエールを「正義の味方だ」と持ち上げて独裁者に変えたのも群衆なら、そのロベスピエールを突然「悪人だ」と引きずりおろしてリンチしたのも群衆。

ロベスピエールは怪物的な人物ですが、これを読むと「本当の怪物は人間集団なのでは?」という視点に気づかされます。

ロベスピエールを描いた本で圧倒的にわかりやすい上に、投げかけてくる問題意識も鋭く、すばらしい出来ではないでしょうか!

私にとってはもはやバイブル?!人生で何度読み返したかわからない名著『ナポレオン・フーシェ・タレーラン 情念戦争1789-1815』

次はこちらです。もう私が好きで好きでたまらない一冊!何度読み返したかもはやわかりません。

英雄ナポレオンと、陰謀の天才フーシェ、そして駆け引きの天才タレーラン。この時代でも特にキャラの濃い、この三人を並べて描いた伝記です。

フーシェやタレーランは、ナポレオンを描いた小説やマンガでは「敵か味方かよくわからない怪人」扱いですが、「なんのことはない、ナポレオンだってフーシェやタレーランに劣らぬ怪人であり、歴史が生んだバケモノだった、ちょうどお似合いの三悪人が揃ったことがこの時代の奇跡だ」というスタンス。

面白いのはサブタイトルの「情念戦争」というキーワード

「人間には、食欲・性欲・生存欲の他に、熱狂情念・陰謀情念・移り気情念という特殊な欲望もあるのではないか」

「ナポレオンは熱狂情念(ムチャな大事業に次々チャレンジすること自体が好き)が異常に高い人、フーシェは陰謀情念(悪事を思いつき、それをやってみたくなる欲望)が異常に高い人、タレーランは移り気情念(主人や組織を裏切り陰でコソコソやること自体に背徳の喜びを感じる)が異常に高い人だったのではないか」

「だとするとこの三人は、変わってはいるものの、人間が誰でも少しはもっている部分を拡張したユニークな事例なのではないか。この三人を必要としていた時代であった、ということが、フランス革命時代の特異なところである

と要点をまとめられると思います。

それにしても、この三人を並べた伝記という構成、社会というものの光と影の双方がわかってきたくらいの働き盛りのサラリーマン年代には、たまらなく面白い内容じゃないでしょうか?

「次々に無茶な目標を立てて人を巻き込んでいくオニ社長(ナポレオン)」、「その社長に従っているくせに、常にクーデターの賛同者を呼び掛けているアヤしい役員(フーシェ)」、「その社長に従い、その役員を使いこなしているが、裏でインサイダー取引やら情報の横流しやらで私財を汚く稼いでいる副社長(タレーラン)」みたいな構図でしょうか。

常識的にはロクデナシのはずのこの三人がそろって超優秀な人間であったというのが時代の奇跡!

百万単位の人間がこの三人のおかげで人生を狂わされたわけですが…

はっきり言って三人とも大悪人ですが、人間としてこんなに面白い生き方をした三人組というのも、他にいない!

物語として面白い上に、読み終わった後にカタルシスも感じてしまうのは、たしかに私たちの心の中にもどこか、「熱狂」「陰謀」「移り気」を愛する不思議な欲望が眠っているのかもしれませんね。

まとめ:もはやフランス革命の書籍集め自体が楽しくなった私も、何かの情念にとりつかれているのだろうか…

三冊ほど、おすすめの書籍を紹介させていただきました。

最後に、私のちょっとした自慢の一冊も紹介させてください。これは希少だと思います!

洋書ですが、ナポレオン時代のすべての戦闘の統計数値を集めたデータブック!「〇〇の戦いでは、フランス側は歩兵〇人、騎兵〇人、大砲は〇門、終わってみて、死傷者数は〇人」みたいなデータがえんえん600ページほど続きます。まだ独身だった時代に30,000円ほど払って買いました。高かったが、手に入れた時は舞い上がる気持ちでした。

何に使っているのかって?

もちろん、たまにパラパラめくってニヤニヤするだけのためですw。

こういう希少本を書棚に入れているだけで、とても気持ちがスッキリする私は、これはこれで、何か特異な情念にとりつかれているのかもしれませんが。

本日の記事、世界史好きな方は、ぜひ参考にしてくださいね!

子供の時の私を夜な夜な悩ませてくれた、、、しかし、今は大事な「自分の精神世界の仲間達」となった、夢日記の登場キャラクター達と一緒に、日々、文章の腕、イラストの腕を磨いていきます!ちょっと特異な気質を持ってるらしい私の人生経験が、誰かの人生の励みや参考になれば嬉しいです!