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SF映画レビュー:「オススメしたい名作!」と言いたいのに「ある理由」から積極的に人に薦めることを躊躇する困った映画『ファイヤーインザスカイ』のこと

※本記事内の参考文献URLおよび参考DVDのURLにはAmazonアフィリエイトリンクを貼らせて頂いております旨、あらかじめご了承ください

私「いろいろ問題はあっても『ファイヤーインザスカイ』はSF好きとしてはめちゃくちゃ面白い名作と思うのだよ」

妻「???なに、その映画?」

私「え?知らないの?コレだよ?」

↓↓↓

、、、って、よく見たら、これ日本では未公開映画な上に、DVDも日本では出てないの?!そうか、、、どうりで誰に話をしても「知らない」と言われるわけだ、、、

※ちなみに2024/9月現在、Amazon primeではちゃんと日本語字幕付きで見られますよ!

じゃあ、

「そもそもどんな映画か?」から話をしますと、

いわゆる「エイリアンによる人間誘拐モノ」の中で、私がとりわけ怖くて、ドラマチックで、しかも特撮デザインもかなり良いと、絶賛評価してるSF映画です!

宇宙人やUFOのデザインは「ありきたり」ですが、撮り方が上手いといえばいいのか、、、「よくあるリトルグレイ型の宇宙人デザインなのに、こんなに肌の質感の生々しさとか目玉の無表情さとかがリアルで、生理的にキモチワルイ」と思えた宇宙人デザイン、なかなか無い。

だが、それよりも、

私がこの映画をベタ褒めしてあげたいのは、

「宇宙人に誘拐されてひどい目にあった!」という話を街の人々にしても、誰も信じてもらえず、

あろうことか、妻や、ついには子供たちにまで「お父さんってウソツキなんだね?」と言われ、家庭は崩壊し、主人公はどんどん孤独になり、苦悩していく。。。そんな人間ドラマにしっかりとフォーカスしたことです。この脚本がとても良い◎

つまりこれ、宇宙人による誘拐モノだけど、

とつぜん「冤罪」をかけられて、家庭も仕事も社会関係もすべてを失った人の比喩、として受け止められるわけで。

そういうテーマの映画と受け止めて観ると、

主人公たちの苦悩に心から同情するし、

「でもな、、、世界の誰も信じてくれなくても、自分の目で見た真実を、なかったことにはできないんだよ!」と叫ぶ彼らの勇敢さに、魂を揺さぶられる!

そんなに、力のある映画で、

名作と言っても良い出来だと思っているのに、

どうして、私はこの映画を、あんまり人には勧めないかというと、、、

なんのことはない、

この映画のモデルとなった1975年のスノーフレーク村事件というのが、かなり有名な「インチキ疑惑だらけのUFO体験談」なのですよw

まあ、あれです、、、

一時期、日本では矢追純一さんがテレビでよく取り上げていた、「アメリカには、UFOに誘拐されて、生体実験をされたと証言している人がいる」という、あの手の事件です。あれです、あれ。

そして特にこの事件は、私もそれなりに興味を持って調べたが、

正直、この映画の主人公のモデルとなった人の証言自体を私が読んでも、、、たしかに、矛盾だらけで、曖昧な点が多くて、、、

ごめんなさい!僕も信じてあげられない、ムリw

と、なってしまうのですわな。。。

なんてこった、、、

ただし!

この映画、そんな背景には、あえて触れず、

「あなたの身近な人が、荒唐無稽なことを言い出して社会から孤立しても、あなたはキチンと信じて寄り添ってあげられますか?」というテーマを追った、良質なフィクションだと思って観れば、めちゃくちゃ面白い名作であることは間違いない!

この映画を観て、

「世の中って冷たいなあ、、、誰か一人くらい、信じてあげる奴がいればいいのに!」と怒りを感じた人は、

映画を見終わった後に、実際の「スノーフレーク村事件」のことを調べてはいけないw!「あ、、、この手の、よくあるアヤしいハナシのひとつか、、、ええと、、、ごめん、モデルとなった事件の詳細を読めば読むほど、僕も信じられないや、、、」と、コロリと気持ちが変わって、映画の後味が台無しになる可能性があり。。。

でもねえ、、、

でもですねえ、、、

UFO肯定派の人たちに、「でもヤシロさん、この映画のモデルとなった若者たちの証言が、『ぜったい』ウソだという確証でもあるんですか?」と詰め寄られたら、たしかに、私にもそんなものは出せない。そのあたりがこの手の話の困った点ですが、、、

ただひとつ、この映画を見て言えることは、

「いくらウソっぽい話だとしても、確証がないかぎりは、『ぜったい嘘だ』とか『ぜったい本当だ』とか決めつけちゃいけないし、、、

まして、ウソだという決定的確証もない限りは、どんな荒唐無稽なことを言ってる人でも頭から否定しちゃいけないし、まして、みんなで村八分にするようなことは、やはり、しちゃいかんよ?」

ってあたりでしょうか?、、、あー、もしそうだとすると、私もあんまり「スノーフレーク村事件」について、とやかくいえなくなっちゃうなw

などなど、おそらく、製作者の意図を超えて、「信じるor信じない」という感情の哲学的な問いかけに踏み込んでる点で、やはり私は、本作は名作だと思うんだな、、、観た後、扱いに困る映画だけど。

ただ、映像とか、デザインとか、音楽とかは、すごく良い、好き!

堂々と「オススメ」とはいえない映画なのが残念ですがw、せめて、こういう場所でこっそり言及するので、興味のある方にはぜひ、鑑賞チャレンジしてほしいのです!ただ、日本で未公開だった点には、なるほど、それなりの理由がある映画だなあ、、、w


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