商談・交渉の『場』が成功の鍵を握る!?『ホーム効果』
■『ホーム効果』とは?
『ホーム効果』とは、スポーツやビジネスシーンの商談などの交渉場所が「ホーム」であることによって、主導権を握り、相手よりも有利に物事を進められやすくなることを指します。
例えば、野球やサッカーなどの団体競技では、試合を行うスタジアムが「ホーム」なのか「アウェー」なのかが、勝敗結果に影響を与えると考えられています。
ちなみに、試合の主催側のチームの本拠地を「ホーム(Home)」、逆に遠征してきた相手チーム側からするとそのスタジアムを「アウェー・アウェイ(Away)」と呼びます。
■ホームは本当にアウェーより有利!?
◆サッカーのJリーグのデータから見ると・・・
サッカーのJリーグの戦績データを例に、ホームチームが有利なのかを見てみます。
株式会社スポスルが運営する『スポスルマガジン』によると、1993年~2016年に実施されたJ1リーグ戦の分析結果によれば、期間中の通算勝利数(5,159)のうち、ホームとアウェーそれぞれの勝ち数は以下の通りです。
この結果を見ると、ホームの方がアウェーよりも約9%勝率が高く、ホームの方が勝利するうえで有利と言えそうです。
◆オリンピックのメダル獲得数から見ると・・・
また、オリンピック・パラリンピックも自国開催の場合はアスリートにとって有利で、他国開催時よりもメダル獲得数の増加が期待されます。
実際、2021年7月23日~8月8日の計17日間に開催された『2020年東京オリンピック』で日本アスリートは、メダル獲得数58個で史上最多、パラリンピックでも51個で史上2位の好成績をあげることになりました。
このメダルの獲得数を見ると、自国開催の方が有利と見ることができます。
◆ホーム・自国開催のアドバンテージ(ホーム効果の例)
例で挙げた野球やサッカーの本拠地で試合をするホームチームが有利な理由としては、観戦に訪れる観客の多くは、そのホームチームのファンであるため、多くの声援が集まるようになり、プレーに歓声が上がり後押しされることが挙げられます。
さらに、ホームゲームの方が施設や環境に慣れている、移動による体力・精神的負担も少ないことも、選手にとってメリットと言えます。
これらはオリンピック・パラリンピックの場合も同様で、自国開催だとアスリートは慣れ親しんだ環境で競技に参加することができ、移動の負担も少なく、圧倒的多数のサポーターの声援の中で取り組めることが大きなアドバンテージになります。
◆ビジターゲーム(アウェー)が不利な理由
一方、アウェーが不利な理由としては、ホームである相手チームのファンが多いため、プレーに野次を飛ばされたりブーイングされる、得点チャンスの際には沈黙され無言のプレッシャーを与えられることも。
さらに、遠征移動による疲労もあり、フィジカル面で不利な点があります。
◆「ホーム開催だから勝率が高い」本当の理由は・・・
スポーツを例にホームの有利な点を上述しましたが、これらの有利な点は、ホームチームの高い勝率には決定的な影響を与えていないという意見もあります。
シカゴ大学ビジネススクールの分析チームが、サッカーや野球、アメフトやアイスホッケー、バスケットボールなどの競技を対象に、数十年におよぶ膨大なデータを緻密に分析した結果、審判の「ホームびいき」による判定が、勝率を高める大きな影響になっているということが明らかになりました。
こういった判定は「ホームタウンディシィジョン」と呼ばれており、ホーム側にとって有利に見える判定ですが、当然ながら八百長などとはまったく異なる事象で、選手側にも一切の責任はありません。
例えば野球の場合、ストライクやボールの判定など、ビデオ判定が認められない審判の裁量にゆだねられる点について、明らかにホームチームに有利な判定が多いという分析結果が出ました。
さらにサッカーでも、ホームチームよりもアウェーチームの方がファウルを取られる確率が高いという結果も出ているそうです。
この事象は、オリンピック・パラリンピックにも該当し、審判の判定で勝負が決まる競技において、レフリーバイアスが発生することが報告されています。
◆「ホームびいき」が起こるのはなぜ?
この審判の「ホームびいき」による判定ですが、これは審判が意図して不公平な判定をしているわけではないと分析チームは述べています。
発生する理由としては、公明正大に・正確に判定をしようと心掛けていたとしても、無意識にホームゲームの観衆の「総意」としての意思に同調してしまうことによるとされています。
そうだとすると、ホームチームのファンの応援が結果として有利に導いていると言えそうです。
■ビジネスシーンにもある「ホーム」と「アウェー」
「ホーム」と「アウェー」という概念はビジネスシーンにも該当します。
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