気づかないうちに自身の経験や先入観によって決断してしまう!?『ヒューリスティック』
■『ヒューリスティック』とは?
ヒューリスティック(ヒューリスティックス)とは、自身の経験や先入観などに基づく直感が、意思決定に影響を与えることを指す心理学で用いられる用語の一つです。
「発見的手法」や「発見的探索」、「経験則」とも呼ばれており、自身の感覚や推論に基づいて判断することになるため、矛盾や破綻のない論理的思考である「ロジカルシンキング」や、コンピュータのプログラムなどに活用される「アルゴリズム」(※)と対立する概念となります。
※アルゴリズム:主にコンピュータープログラミングで用いられる計算で問題解決する方式のこと。
◆身近な発生例
といったように、日常生活の中には『ヒューリスティック』による思考が無意識に行われています。
◆ヒューリスティックが起こるメカニズム
そもそも人間は『二重過程理論』という仕組みによって意思決定をしているとされています。
この「直感的かつ素早く意思決定をするシステム」の場合が『ヒューリスティック』であり、経験や先入観に基づいて直感的に判断するため、バイアスによって偏りが生じやすくなります。
■メリットとデメリット
◆『ヒューリスティック』のメリット
『ヒューリスティック』によって、意思決定が簡単にできない複雑・難解なことでも簡単に判断できるため、意思決定までの時間を短縮できる、判断基準が少なくても決断ができるというメリットがあります。
◆『ヒューリスティック』のデメリット
一方、判断基準として用いる自身の経験や先入観は、属人的であり偏りがあるうえに、「自身の都合良く考えがち」「思い込みで行動・判断してしまう」という『認知バイアス』(※)が働いて判断ミスを誘発しやすいデメリットがあります。
また、これまでの経験から得られた事実や、自身の経験上「おそらくこうなるだろう」と考えて判断・決断することから、因果関係が不明瞭になりがちです。
※認知バイアス:直感や過去の経験に基づく先入観によって物事の判断が非合理的になり、偏った見方をしたり、ありのままに捉えることができなくなるバイアス。
■代表的なヒューリスティックの種類
ヒューリスティックにはさまざまな種類があります。
◆代表性ヒューリスティック
見た目や特徴といった典型的なイメージに基づいて判断する、代表性ヒューリスティック。
◆利用可能性ヒューリスティック(想起ヒューリスティック)
利用可能性ヒューリスティックは『想起ヒューリスティック』とも呼ばれ、自分が入手しやすい情報や、思い出しやすいデータに頼って意思決定してしまう経験則を指します。
人間にとって、何か意思決定をするたびに「考える」のは、脳にとって大きな負担になります。
そのため、「最短で最も効果の高い(と思われる)方法」を、自身の過去の経験や印象的な記憶、近しい人の口コミや見聞きしたニュース情報などから呼び出し、その情報を優先的にして判断します。
結果として判断は素早く思考負担は軽減できますが、一定の偏り(バイアス・思い込み)が生じることも。
ちなみに、この利用可能性ヒューリスティックは、『フォールス・コンセンサス効果』が発生する要因とされています。
◆係留と調整ヒューリスティック(アンカリング効果)
係留(アンカリング)と調整ヒューリスティックは、最初に得た情報が船のアンカー(船舶を固定する錨・いかり)となり、その後の判断が最初の情報から離れられなくなってしまう様子を指します。『アンカリング効果』とも呼ばれています。
◆感情ヒューリスティック
自身が好きなもののメリットを高く・デメリットを低く評価する、嫌いなもののメリットを低く・デメリットを高く評価することを感情ヒューリスティックと呼びます。
自分自身の感情=好き嫌いを基準に意思決定を行うことと言えます。
◆シミュレーション・ヒューリスティック
シミュレーション・ヒューリスティックとは、自身のそれまでの経験や先入観から「きっとこうなるだろう」と架空のシナリオを考えて結果を推定・判断することです。
ネガティブなものだけでなく、ポジティブなものもあります。
■ビジネス・マーケティングの活用シーン
『ヒューリスティック』は、ビジネスシーン・マーケティングシーンで活用することで、商品やサービスをより良く見せる、購買意欲を高める効果が期待できます。
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BtoBマーケターより。
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