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【エッセイ】優しい傷と言うしかないのか

最近私は優しい傷に惹かれる。

Dear Evan Hansenというミュージカルを観た。思いやりのある少年Evanが傷を恐れてやさしい嘘をつき、やがてその嘘が自分の範疇を越えて広がってしまう。最初この作品に出てくる人々はEvanと違って、「ふつう」に暮らしているようにみえる。でも実際はいろんな傷や秘密を抱えて誰にもいえず、自分には価値がないと考えてしまうような人がたくさんいるのだと、だんだんみえてくる。劇中歌のThe Anonymous Onesがこのことをよく表していると思う。


TVではたまたまUruさんの曲を聴く機会があった。落ち着いた雰囲気、ゆっくり流れる川のようなやさしさと、芯のある素敵な歌声が非常に印象的だった。そして彼女のコメントのなかで出てきた「生きづらさ」というワード。私も、もしかしたら私が苦手なあの人だって何かしらの生きづらさを抱えているかもしれない。友だちと話すとき、同調や共感の会話しかしていないような気がして、最近私は話すのが余計怖くなった。


配慮と遠慮の違いがわかりますか

就活をし始めの頃、グループワーク後に社会人から言われた言葉。「傷つくのを恐れて何も貢献していない」と言いたいらしい。わかる。わかるけど、じゃあどうすればよかった?昔から優しい人だと言われることを良しと受け止めてきたけど、もうあまり嬉しくないかもしれない。


優しいという言葉。嫌いではないけど、もっとちがう、もっと素敵な表現があればそっちを使うのになと思ったりする、年末の午後。

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