マネジメント どの段階でマーケティングを考えるのか

このnoteでは、経営学分野について、マネジメントとマーケティングを分けて記事にしています。多くの本などでも、マネジメントとマーケティングが同時に説明されているものは少ないと思います。

実はこの問題(?)について、全く考えたことがありませんでした。しかし先日、ある経営者の方から、「マーケティングはいつから、どの段階から始めたらいいのか?」という質問を受けました。

そのため、今回は「いつから、どの段階からマーケティングを始めるのか」について考えます。

・思い立ったが吉日
結論から言えば、いつでも構いません。「マーケティングを行いたい」と思った時から始めれば良いのです。

次の質問が、「どの段階から」ということです。
そこでまず、マーケティングのプロセス、「R STP MM IC」を再確認しましょう。

R        リサーチ
STP    セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング
MM      マーケティング・ミックス
IC         実行・コントロール

マーケティングについて、様々な相談を受けます。多くの場合「[こんなことがしたい」という、「マーケティング・ミックス」や「実行」についての相談です。
しかしほとんどの場合において、やりたいことが適切とは限りません。そのため、「やりたいこと」について見解を述べたうえで、背景をヒアリングし、足りない前提条件を指摘します。つまり、どんな場合でも、リサーチから始まります。

とは言え「プロセス」は、順番を守ることが目的ではありませんから、必ずしも守らなければならないわけではありません。既に動いている事業を、白紙に戻すことは困難です。しかし問題点を修正しようとすると、やはりリサーチが起点になります。

・マネジメントの中の位置づけ
マーケティングの実施については、上述の通りなのですが、ここでさらに質問が出されました。それはマネジメントの中の位置づけです。経営者は様々なマネジメントを行いながら、マーケティングも行わなければなりません。

経営学では、基本的(古典的)にマネジメントを、以下のように分類します。
例えば、大きな分類として考えてみましょう。
大学の経営学部では、カリキュラム全体を、「マネジメント」「商学」「会計」の3つに分けています。実務的な表現をすると、「管理」「商売」「財務経理」になるでしょうか。

ここで考えると、マーケティングは「商学」に含まれます。

次に経営管理(マネジメント)から考えます。
経営管理は、「トップマネジメント」と「部門別経営管理」に大分されます。トップマネジメントは、簡単に言えば、「何をするか」です。
例えば、富士フイルムが大転換をしたとき、主たる業務を、自社の得意分野から、写真フィルムから、化学に変えた判断です。
そして部門別経営管理は、以下のように分類します。

○生産管理
○財務管理
○マーケティング管理
○人事・労務・労使関係
○組織管理
○情報管理

※経営史学会編『経営学史辞典』文眞堂。

つまり、トップマネジメントの判断に従って、それぞれの分野別経営管理の1つとして、他のものと同時に実行します。

・経営戦略の中の位置づけ
経営戦略では、まず戦略を以下のように位置づけます。

○企業戦略
○事業戦略
○分野別戦略

企業戦略は、上記の富士フイルムの例です。そしてその戦略にしたがって、どのような事業を行うのかが事業戦略です。そして各事業戦略の中に、分野別戦略が存在します。分野別戦略は、基本的に以下のように分類します。

○人事戦略
○財務戦略
○製造戦略
○マーケティング戦略
○研究開発戦略
○情報システム戦略
○その他

マネジメントと同様に、各戦略は、事業戦略に従って、同時に行います。
マネジメントと経営戦略で項目や順番が違うことについては、あらためて説明しますが、理由の1つとして、以前のnote、経営資源の内容を参考にして下さい。

・マーケティングを行うまでに
これまでの内容から解るように、マーケティングは、大変重要ですが、それだけでは成り立ちません。

しかしこの順番を、簡単に説明すると、以下のようになります。

○企業のビジョン(方針)策定

○事業戦略と計画立案

○HRM(人的資源管理)、財務、組織

○マーケティング

これをもう少し簡単に示すと、以下のようになります。

○企業の目標、方針

○事業の進め方

○ヒト・モノ・カネ・ナレッジの計画と準備

○マーケティング

つまり、マーケティングは、大きなマネジメントの中の「function」ということにまります。
最近の大企業では、CMO(Chief Marketing Officer:チーフマーケティングオフィサー)やCFO(Chief Financial Officer:最高財務責任者)という専門家の役職が、CEO(Chief Executive Officer:最高経営責任者)と同格こ位置づけで、協業します。

しかし中小・零細企業では、これらの全てを、経営者が担う必要があります。

この話を、お客様にしたとき、「中小企業の経営者は、『仕事』のプロという自身はあっても、先生の言うことは、全部無理!」と、お叱りを受けました。

だからこそ、優秀な税理士を依頼する必要があります。しかし、戦略やマーケティングは、、、なかなか難しいようです。

マーケティングの実践方法については、次回、説明したいと思います。

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