市場のターゲティング 顧客モデル(ペルソナ)は勘で設定しない
期の広告デザイン専門学校、マーケティングの講義もそろそろ折り返しです。前半は基本的な理論を理解するため、マーケティングプロセス(R STP MM IC)について説明しました。
そこで今回はペルソナマーケティングを例に、ターゲティングについて述べたいと思います。
ターゲティングとは
マーケティングにおけるターゲティングとは、市場のセグメンテーションに従い、その中からどういったターゲットを顧客として選択するのかという考え方です。
大量生産大量消費の時代とは異なり、消費者の嗜好は多種多様で、あらゆる消費者に合わせるということが困難になりました。
また企業も、例えば世界的な大企業であっても、全ての市場に対応するカバレッジ戦略は困難です。
そのため、企業戦略や事業戦略、製品戦略といった様々な段階で、自社のブラントエクイティ(訴求力)とターゲットを明確にしなければなりません。
ちなみに市場のカバレッジ戦略は、非差別型、差別型、集中型などに分けられ、企業や事業、製品・サービス、価格帯、使用方法など様々さ視点から検討されます。
ではどのようにして、ターゲットを明確にす?のでしょうか。
消費財の分類
広告デザイン専門学校の講義では、実はセグメンテーションの話をする前に、経営学や経済学の基礎を説明します。また、マーチャンダイジングについて説明します。
マーチャンダイジングでは、消費財の分類をしっかり説明します。いわゆる最寄品、買回品、専門品です。この分類は、インターネットの普及により、以前より難しくなりました。とは言え、製品やサービスの購入方法と選択方法が明確でなければ、セグメンテーションはできません。
セグメンテーション
セグメンテーションは市場細分化と訳します。消費者の反応と特性という2つの特性から細分化し、ターゲットとなる市場を考えます
この時の判断基準は定量、定性両者の分析が必要になります。消費者の特性は完全に統計ですから勿論のこと、消費者の反応による特性では、例えば消費者がどのくらい積極的に購入するかについて、「消費者購買態度指数」という明確な算出方法があります。
さてこれまでの内容を基に、今回は「消費者モデル(ペルソナマーケティング)」について述べたいと思います。
消費者モデル(ペルソナマーケティング)とは、ターゲットとなる市場を形成する消費者の、中核となる顧客モデルを仮想するというものです。姿や服装、生活スタイル、思考や価値観を想定することで、具体的な顧客のイメージを明確にし、顧客満足の方法を明確にします。この時セグメンテーションの分析結果を利用することになりますが、安易に行うと適切な結果が得られません。
消費者モデルのパーソナルデータは消費者の特性から判断することが出来ます。これは市場規模や商圏、ターゲット層の絞り込みに役立ちます。インターネットの記事などでは、時々ここまでの説明のみのものがありますが、これでは十分でなく、場合によっては視野を狭めることとなります。そのために必要な視点が購買態度や社会との関わり方、つまりターゲットとなる市場がどのような価値観を持っているかです。これは消費者の反応を定量的、定性的に分析した結果から得られます。実は顧客の意思決定を理解するためには、こちらの分析の方が重要なのです。
とは言えマーケティングに関わる(例えばサプライチェーン)全ての人がマーケティングのコンセプトを設計した人と同じ内容を理解することが出来るわけではないので、具体的な人物像を活用するわけです。
加えて消費者モデルを活用する時、さらに重要な視点があります。
それは作成された消費者モデル(ペルソナ)の顧客満足に集中してはいけないということです。
ペルソナは消費者モデルではありますが、実は本当の目的は、企業がどの様な姿でありたいか、どのような特徴を有しているのかのモデルだからです。そのためペルソナのみを顧客と考えると、かえって多くの顧客満足を実現できなくなります。
マーケティングの目的は社会を豊かにする価値を生み出し、より多くの愛顧を得ることによって、社会の問題を解決し、より豊かにすることです。
そのためには、本来全ての人の顧客満足を実現しなければなりません。その時ペルソナのみを顧客と考えてしまうと、それ以外の消費者を排除することになってしまいます。
大事なことはその製品やサービスを提供する時、どのような姿勢や態度、考え方が必要なのかということです。ですから、実はペルソナは顧客像であると共に、企業の姿勢そのものということになります。
ペルソナマーケティングは有効なフレームワークですが、基本的にはセグメンテーション、ターゲティングといった分析が基本であることは変わりません。
目先のテクニックは、時として本末転倒になります。
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