ブランディング、CI 内と外から企業を形作る

広告デザイン専門学校の講義を行うために内容を拡充させたものがいくつかあります。ブランディングやCIがそれに当たります。
ブランディングやCIはデザイン会社の業務の中でも比較的規模の大きな仕事になります。講義ではそれぞれ1回ずつ、多くの事例を挙げながら説明しますが、今回は敢えてこの2つを一緒に考えたいと思います。

1.ブランディングとは
ブランディングとは企業や製品・サービスをブランドとして定着させることです。ではブランドとは何かということになります。辞書ではブランドは「商標」と説明されています。つまりあらゆるものにブランドがあるわけです。
それではなせブランディングが必要なのかということになります。
僕はブランディングを「究極的な抽象化」と説明しています。しかしこれでは何のことだか解りませんね。講義ではまず学生さんにこんなします。

「あれ、なんだっけ?穴が空いている棒状のスナック菓子」

学生さんは突然の質問にだいたい驚いた顔をしますが、すぐに答えてくれます。

そう、うまい棒です。

「ほらあれ、何だっけ?」という質問にすぐ同じ答えが返ってくるということは、多くの人が例え商品名を知らなくても消費者が同じイメージを浮かべることができる。つまり究極的に抽象化しても1つの企業や製品・サービスに行き着く状態を指します。

2.CIとは
CIも基本的には同じなのですが、CIはその企業や製品・サービスに関わる全ての人が、その企業や製品・サービスを通じて究極的に成し遂げたい事柄や考え方、人としての心構えや立ち振舞いなどを共有・実行することが目的になります。

3.ブランディングとCIの共通点
ブランディングは主に企業の外に対して、CIは主に企業の内に対して働きかける行為です。しかし全く別のものではなく、むしろ両者が支え合って一つの大きな概念を作り上げる作業てあり、その概念を実現することが目的です。
簡単に言えば誰にも負けない信頼と認知を勝ち取るといったところでしょうか。

・共通点の間違い
面白いことにブランディングとCIはどちらも同じように勘違いされています。それは名前をつける、コピーをつける、マークを作るといった表面的な作業だと勘違いされている点です。うわべだけ整えても、中身がなければすぐに見透かされてしまいます。

・中身を作る
これは上述の内容とただ反対の事を述べているだけですが、ブランディングついては企業や製品・サービスの、CIは考え方や取り組み方、言動の中身をしっかりさせることを指します。

・最初から行う
これはとても大切なことですが、企業や事業を起こしたり、製品・サービスを作る前から行わなければなりません。何故その事業を行うのか、何故企業にするのか、何故その製品・サービスを扱うのか、それによって何をもたらすのか、これらは「とりあえず」や「何となく」では、ラッキーでもない限りうまくいかないことが多いです。偉業を成す人ほどこうした考えをしっかり持っています。

・自分と向き合うことから始める
これも上述の内容と重複しますが、まず自分と向き合うことから始めます。企業にせよ、組織にせよ、提供物にせよ、全ての行動の基本原理はその物自体の中にあります。つまり作った人本人が何をしたいのかが、そのまま特徴や基本原則になります。

・学び育てる
これは僕の考えですが、ブランディングにせよCIにせよ、その行為や作業の本質は学ぶこと、育てることです。本当に目指すべき先や在るべき姿を学び続けること、それを企業や事業、製品・サービス、組織、人材として育てること。この作業を常に行うことです。

・伝える・実現する
ここまで積み上げてきた企業や事業、製品・サービス、組織や人は、素晴らしいものになっているはすです。ここまでの積み重ねで誰がその価値を求めているかも解っているはずです。その価値を伝え、もたらしたいことを実現させましょう。

・続ける
実行に移したからといって、すぐに信頼と認知を勝ち取れるわけではありません。常に問題点を探し、改善を重ね、より良いものを目指し続けます。

・もしうまくいかなかったら
ここまで努力して、それでもうまくいかなかったら、その時は最初から考え直すしかありません。どこかで独り善がりの考えや思い込みなどがあったのではないでしょうか。ブランディングやCIの専門家が側にいない限り、途中で何を間違えたのか見つけることはこんなでしょう。そもそもそうした専門家がサポートしていれば、間違うことはあまり考えられません。

デザインの学校ですが、講義ではブランディングやCIの方法や手法以上に、こうしたことを重点的にはなします。

これは個人でも同じです。それこそ就職活動に向き合う学生さんでも同じです。もし何かを成したいと考え、行動する時には、是非考えて頂きたいです。

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