社会や経済は皆平等~アナタはアリかキリギリスか

以前、まちづくりに参加していた時のことです。懇親会の場には、その地域の経営者さんも多く参加しておられました。
このまちづくりは、建築デザインが専門の方が長らく中心を努めておられ、経済が専門(交通経済学が専門の一つです)
ということでお声かけ頂き、新たに参加したのでした。
経済が専門と聞いた経営者の方々は、「社会の変化」や「経済の変化」と口々にします。そのうえで、これに対する不満とどう思うかという質問が集中しました。

この時僕はとても残念な気持ちになりました。

まだ博士課程の頃の話です。
学会に出席した際、懇親会の後、一緒にいた大先生にお誘い頂き、とある日本を代表する小売業の会長と、二次回を同席させて頂きました。
未来ある若者と話すのが好きだということで、少し煙い、安い焼き鳥屋で、とても緊張しながら話をさせて頂きました。
その場でこの会長さんはこんな事を仰いました。
「将来の日本を考えると、このままでは生き残れないと思って会社を変えただけだ。他の経営者もただ大手スーパーに文句をいう前に、同じ努力をすればいい。」と。
この時僕以外にも数名の大学院生がいました。僕は生来の気質と、落ちこぼれなんだから遠慮している余裕はないという気持ちから、この方に反論しました。

余談ですが、僕は名城大学の博士課程に在籍していました。そもそもそんなに優秀ではありませんでした。しかも学会では、日本中の有名大学の院生が沢山参加しています。彼等から見れば、名古屋の聞いたことのない大学の院生が一人でのこのこ来ているくらいにしか扱われず、負い目を感じていました。

話を戻しましょう。
僕の発言に、緊張が走りました。名城大学では院生は少なく、かなり伸び伸びと勉強していましたが、有名大学では、かなり上下関係があったそうです。
とにかく、恐いもの知らずで発言した結果、その、会長さんには、色々なお話しを聞かせて頂きました。

まちづくりの話に戻りましょう。
ただ「社会」や「経済」の変化を嘆く経営者の方々の姿を見て、若い頃の反論が虚しい事を証明されてしまいました。

僕はまちづくりに参加する経営者の方々に臆することなく持論を述べました。そして、「この町には既にブランドはない」と断言しました。
その後、このまちづくりにはもう呼ばれないだろうと反省していましたが、思わぬ事が起きました。
この時参加していた方々の跡継ぎの方々から、「オヤジ達によく言ってくれた」という言葉を頂き、その後このまちづくりでは、ブランディング委員会を立ち上げる役割を頂きました。

社会や経済の変化は誰にとっても平等です。その時利を得る人もいれば、損をする人もいます。また、その後変化も起こります。
先に挙げた会長さんの店舗も今は1つもありません。

「社会」や「経済」は謂わば季節と同じです。常に備えて先を考えるものです。暖冬や大雪、冷夏や猛暑、水不足も大雨もあります。常に環境の変化に対応しなければなりません。

この文章を書いていて、イソップ童話のアリとキリギリスを思い出しました。

さて、あなたはアリとキリギリス、どちらでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?