マーケティング プロモーションの考え方

僕は多くのデザイナーの方とおつき合いがあります。新型コロナウイルスの影響から、様々な理由で、広告業はかなり苦境に立たされているようです。

広告主からすれば、売上などに大きな変化がない限り、多くの場合、実は広告費ほど明確でないものはありません。そのため、経営状態が悪化すると、広告費が真っ先に削減されます。

そうした中で、先日、あるお客様から、webマーケティングについて相談を受けました。

そこで今回は、広告について考えてみたいと思います。

・広告の費用対効果
広告の費用対効果については、「ROAS」「ROI」「CPA」といった、3つの代表的な計算方法があります。これらは順に、売上、利益、獲得数を基にした計算方法です。
ただし、いずれも広告経由の金額や獲得数から算出しますから、算出基準がないと計算できませんし、効果測定には費用がかかりますから、多くの中小・零細企業では難しく、またこうしたマーケティング費を計上していないのではないでしょうか。

また広告は、その効果が費用に比例します。一定以上の費用をかければある段階から効果が大きくなります。そして広告は、必ずしも即効性がなく、効果はある程度持続します。
そのため、広告の効果は、ある程度の時間の変化を考えなければなりません。しかし、単に売上の変化と営業費の変化を比較することはできますから、ある程度の計算は行う必要があります。

・広告の財務的視点
広告は、単なる営業ツールではなく、企業や製品・サービスのブランド価値を高めるための投資です。損益計算書から、投資可能という判断ができるのであれば、他の設備投資と同様に考えるべきです。
しかしこのとき、かけるべき費用や広告の内容を考えなければなりません。

費用は、まず営業費をどれだけかけたときに利益が最大になるかを算出し、その範囲で、営業費の内訳を考えます。
例えば、月産1,000個の企業は、それ以上販売できません。サービスでも、設備や作業者の数を超えることはできません。つまりその企業の生産量を超える販売はできないので、この限界を超える営業費は無駄になります。

広告の方法で考えた場合、例えば以前、とある企業の会社案内を作ることになりました。しかしこの危機は国内シェア95%で、常に受注が入っている状態でした。つまりこの企業に必要なプロモーション(コミュニケーション)は、広告ではなく説明なので、製品の導入までの案内を提案して作成しました。

・広告の目的と手段
さて、冒頭のwebマーケティングの相談についてです。
とあるサイトに登録したいという相談で、費用や目的は妥当と思われると答えました。
ただし、広告には、様々な目的があり、費用やスケールも異なります。そのため、そのサイトまでの玄関と通路が必要になります。
広告の主たる目的である、「知らせる」「思い出させる」「説得する」によって、同じwebでも、チャネルや方法が異なるのです。
今は、有料の広告まで導く方法として、ホームページやSNSなど、費用をかけずに独自で行う方法がありますから、ここで説明している筋道を適切に行うことで、一定の効果を得られるでしょう。

とはいえ、webは万能ではないことを心がけて下さい。

・顧客はどこにいるのか
webマーケティングの相談でしたが、その企業の製品の特性から、僕は最初から、webが適切ではないと考えていました。しかし市場規模が、想像もつかないので、仮説を立てました。

このとき用いたのは、「フェルミ推定」という計算方法です。
この方法は、調査が不可能だったり、捉えどころのないものを、把握可能な情報から推論する方法です。
この方法から、今回の相談の顧客が、地方都市などの、戦前から続く家(実際にはもう少し詳しい内容です)で、例えば愛知県であれば、1万件に満たないと考えました。
この場合だと、依頼を受けた企業の実績などから考えると、webよりも効果の高い方法があるのではないかという見解を述べ、提案を行いました。

・広告の品質
相談を受けたwebマーケティングについては、そもそもこの企業の方がよく勉強をしておられて、じっくり考えておられるので、‘内容と目的’から、妥当と判断しました。しかしデザイナーの方とおつき合いしていると、よく広告のデザイン費が高いと言われるという話を耳にします。

基本的に企業のコストは、人件費が1番大きく、専門技能であればなおさらです。

どんなものにも「品質」があるように、広告にも品質があります。そして一般的に、品質は価格に比例します。

広告の品質とは、1言で言えば、求めているコミュニケーションが実現できたかどうかだと考えます。単に「売上が伸びた」からといって、求めているコミュニケーションが実現したとは限りません。

今回は、一般的な視点とは少し違った観点から、プロモーションについて考えてみました。このような視点も、企業経営においては不可欠になります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?