ニシオンデンザメ
チャームポイントは目から飛び出た寄生虫?
ニシオンデンザメは、水温0.6~12℃の寒冷な海域に生息する。「世界で最も泳ぐのが遅いサメ」とされており、最高速度は時速2kmほど。極寒の海で生きているので、筋肉を早く動かすことが難しいと考えられている。
寄生虫が目に寄生していることが多く、ほとんどの個体は片目または両目を失明している。獲物をおびき寄せるために、光る寄生虫に寄生させているのではないか、ともいわれている。
めかぶのヒトコト
「推定500歳以上のニシオンデンザメ発見」の記事に無限の可能性と神秘を感じる。織田信長(1534年~1582年)もびっくりだろう。
こぼれ話
貪欲で大食らい。胃の中からトナカイやホッキョクグマの骨も見つかっている。長寿で、成魚になるまでに150年ほどかかり、400歳ほど生きる。
【サメ雑学】サメは「海の絶対王者」ではない
「サメ」は海洋生物の頂点に君臨する「絶対王者」と思うかもしれないが、サメにも天敵が存在する。サメは食物連鎖の「海のピラミッド」の上位ではあるが、頂点ではない。
頂点はシャチだからだ。
シャチは知能が高く、泳ぎも速い。また、高い攻撃性を持ち、群れをなして狩りを行うため、サメの王者ホホジロザメでもシャチにはかなわない。筋肉質な肉や脂肪分の多い肝臓を持つ大型のサメは、シャチにとって「ごちそう」なのである。
サメには内臓を守る肋骨がないので、シャチに体当たりされると内臓が破裂し、死ぬこともある。サメは一度ひっくり返ると、しばらく動けないことがあるが、シャチはそれを知っていて、この弱点を狙われることもある。
米国カリフォルニア州の沖にあるファラロン諸島の近辺では、ホホジロザメを「ビーチボール」のように投げて弱らせた後に捕食するシャチが確認されている。
まったく、「食うか、食われるか」という弱肉強食の世界である。ちなみに、大型のサメは中型や小型のサメを捕食する。
シャチを超えるサメの天敵は人だ。サメは、漁のときに混獲されてしまうことがあるが、サメを狙った乱獲も相次いでおり、多くのサメはレッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)に載っている。サメは約600種類いるが、人を襲う危険種とされているのはその1割以下でしかない。サメに襲われる人よりも、人に殺されているサメの数のほうが圧倒的に多いのである。