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【読書録】『数値化の鬼』安藤広大

今日ご紹介する本は、安藤広大氏の『数値化の鬼』(2022年、ダイヤモンド社)。

著者の安藤広大氏は、株式会社識学の代表取締役社長であり、組織マネジメントの専門家。同氏は、noteにもページをお持ちで、本書と本書のテーマである「数値化」について、こちらの記事にまとめていらっしゃる。

ご本人いわく、本書は「数値化をテーマにして、組織マネジメントで大事な内容をすべて詰め込んだ。そう言ってもいいくらいの自信がある」本だとのこと。

この本の内容については、私がヘタに要約するよりも、同記事をお読みいただくのが良いと思うが、備忘のために、私が受け取ったエッセンスを書いておく。

●数値化し、曖昧さをなくす
●行動量を増やし、数値化によって明確になったギャップを埋める
●確率のワナに惑わされない
●定数(コントロールできるもの)と変数(コントロールできないもの)を見極め、変数をコントロールする。
●変数は絞る
●PDCAを回す
●他人の成功論は仮説
●短期的な目標のほか、長期的な目標を持つ

私は、長らく外資系企業に勤める間、常々、数値化は、グローバル企業においては特に重要だと感じてきた。

グローバル企業においては、外国の会社や外国人とコミュニケーションを取ることが必須だが、その際、しばしば、語学のハードルが大きな障壁となる。

しかし、数字は、万国共通だ。

何事も数値化し、数字を全面に出して説明すると、現状把握や、何かの提案にあたり、そのインパクトやロジックが、一気に透明化され、相互理解が進む。そうして、無駄なコミュニケーションコストを大きく減らすことができる

私の肌感覚だが、外資系企業で出世しているトップ層は、皆、数値化の能力に長けている。彼らと話すにあたっては、重要なポイントを数値化して望まないと、理解やサポートを得られない。数値化を伴わない抽象的な言葉でなされる提案など、プレゼンの英語が流暢であったとしても、一顧だにされない。数値化する力に比べれば、英語力なんて些細なものだ。英語の発音が流暢でなくても、ブロークンであっても全く問題ない。

本書は、私がうっすらと感じていた数値化する力の重要性を、見事に言語化してくれていた。読み進めるにつれて、「やはりな・・・!」と、腹落ちすることが多かった。

また、数値化の技術のみならず、行動量を増やしPDCAを回すことの重要性に触れられているのも良かった。

私の周りには、そういうことをしない(できない)、口ばっかりで、評論家的な「働かないおじさん」(働かないおばさん、お兄さん、お姉さんもいるが・・・笑)が、結構いる。そういう人が陥りがちな「確率のワナ」についても、詳しく説明してくれている。

そして、「定数」と「変数」を分けること、結果に直結する真の「変数」を見つけて絞り込むことについても、腹落ちした。これらは、無駄な仕事や管理コストを減らし、いち早く成果を上げるために重要な要素なのだ。

本書では、全体的に、平易な表現が使われており、読者に語りかけるような文体で、とても読みやすかった。数値化のポイントや、陥ってはならない落とし穴について、丁寧に解きほぐしてくれている。ビジネス経験の浅い若い人にとっても、理解しやすいと思う。

また、部下の管理、育成のポイントについてもかなりページを割いてくれているので、上司の立場の会社員にもお薦めだ。

ご参考になれば幸いです!

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