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【面接の英語】その1:日本人のハンディキャップ

突然ですが、新シリーズ「面接の英語」を始めようと思います。

今まで、国際会議や、外資系企業の日常業務でよく使う英語フレーズについてご紹介してきました。

これから数回にわたり、英語での採用面接の際に聞かれる典型的な質問や、それにどのように回答すればよいかについて、私なりのノウハウについて書いていこうと思います。

なぜ、そうしたいと思ったかについて、背景をお話しします。

外資系企業では、部下の募集や採用は、基本的に、部署ごとに行われます。

そして、採用するポジションの直属の上司が、採用マネージャー "hiring manager"「ハイアリング・マネージャー」となどと言います。)として大きな権限を持ちます。

プロセスとしては、まずは 採用マネージャーが、書類選考と一次面接を行い、その1つ上の上司、つまり、採用マネージャーの上司が、採用マネージャーの絞り込んだ候補者を二次面接して、それを承認する、というのが基本です。

ポジションの重要性によっては、採用マネージャーと、その1つ上の上司の2名に加えて、人事部門担当者や、他の部署の上司など、より多くの面接官との面接が実施されます。

これらの点で、伝統的な日系企業の採用スタイルとは、大きく異なります。

つまり、伝統的な日系企業では、人事部主導で、新卒一括採用を行い、社員の入社後に配属部署を決めるというのが一般的です。しかし、外資系の多くの企業では、ポジション毎に、そのポジションの上司とさらに1つ上の上司が、採用プロセスを主導します。

この違いは、いわゆる「メンバーシップ型雇用」「ジョブ型雇用」の違いを反映しています。

私は、長年にわたり、外資系企業において、管理職をつとめてきました。そして、採用マネージャーとして、部下の採用面接を数えきれないほど行ってきました。

私の部署には、日本語が必須のポジションと、日本語ができなくても、英語さえできればOKであるポジションがありました。

英語さえできればOKのポジションについては、人材の募集をすると、社内外から、日本語が母国語の日本人のみならず、日本語を話せない外国人の候補者が応募してくることがあります。日本語を話せない外国人候補者が応募してきた場合は、当然ながら、英語で面接を行います。

ここ数年で、たくさんのポジションについて採用活動を行なってきました。特に、コロナ禍でリモート勤務が可能となってからは、海外に住む外国人からの応募も急増しました。そのため、同じポジションの応募に対して、日本人の候補者と、外国人の候補者の双方を面接することが増えてきました。

そこで、愕然としたことがありました。

それは、外資系企業の採用面接においては、日本人の候補者には、外国人の候補者と比べて、とてつもなく大きなハンディキャップがあるということです。

それらは、

1.言語学的なハンディキャップ
2.英語教育のハンディキャップ
3.文化的なハンディキャップ

の3つです。

これらについては、2020年に書いた「国際会議の英語」シリーズの記事のうち、以下の記事において説明しました。

この3つのハンディキャップが、英語での採用面接の場面でも、如実にあらわれていました。

日本人候補者のなかには、他社で申し分のない実績を持ち、人格も素晴らしく、ぜひ採用したい!と思う方がたくさんいました。しかし、英語の面接が上手でない、それだけのために、失敗される方がとても多いのです。

英語での受け答えに自信が持てない、あるいは、準備不足であるため、せっかくのアピールポイントが、なかなか会社側に伝わらないのです。

他方で、外国人候補者の多くは、英語が母国語であればなおさらですが、そうでなかったとしても、自己アピールがものすごく上手。そして、完璧な受け答えの準備をしている人が、とても多い。

その結果、実務能力の高い日本人候補者が、実務能力は劣るのに、自己アピールはものすごく上手な外国人候補者と比べて、ものすごく見劣りしてしまうのです。そして、実際に競争に負けてしまうのです。

それでは、あまりにも、もったいないではありませんか!

英語でビジネスを行う環境での日本人のハンディキャップには、以前から気づいていました。しかし、ここまで大きく差をつけられているとは思いませんでした。

英語の面接で聞かれることには、ある程度のパターンがあります。面接官として候補者に聞きたいことは、大体、決まっています。コツをつかんで、準備と練習をし、自信をもって臨むことで、あなたの魅力や実力をアピールすることは十分可能です。それで、多くの外国人候補者と対等に、いや、それ以上に戦えるようになるはずです。

そこで、外資系企業への入社にご興味をお持ちの日本人の皆さまを、微力ながら応援したいと思いました。面接官として、今まで多くの日本人と外国人を面接するうえで気づいたノウハウを共有できれば、少しはお役に立てるのではないかと思いました。そういうわけで、これから数回にわたり、採用面接の英語についての記事を書いてみることにしました。

このシリーズでは、新卒採用ではなく、既に社会人としての職務経験をお持ちで、ある程度のキャリアを積んだ日本人の方が、日本に拠点を持つ外資系企業に転職をする場面にフォーカスして説明していきます。

これから、毎週少しずつ記事にしていこうと思いますので、ご興味のある方は、ぜひチェックしてみてください。

「その2」に続きます。

私の英語系の記事へは、以下のリンク集からどうぞ。

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