【登山】アラフィフ初心者山ガールの、富士山登頂挑戦記(吉田ルート・1泊2日)。
アラフィフのお年頃になってから、なぜか、急に、登山がしてみたくなった。人生後半戦に突入し、なんとなく、自分の限界に挑戦してみたくなったのかもしれない。
そして、どうせ登るなら、日本一の山、富士山に登ろうと思い立った。
それまでの登山歴は、ほとんど無いも同然だった。何年かに1度、東京の高尾山(標高599m)や、大阪の金剛山(同1125m)といった小山に、日帰りでハイキングに行く程度だった。
もう少し登山の訓練を積んでからのほうがよいかとも思ったが、富士山は登山道が整備されていて、ガイド付きツアーもあるので、初心者でも挑戦する人が多いと知った。
そこで、思い切って、富士山登山のガイド付きツアーに申し込むことにした。今回は、富士山への集客実績11年連続No.1という、「サンシャインツアー」さんのバスツアーを選んだ。
富士山の山頂へ至るルートは、4つある。今回は、最もポピュラーで初心者向きだという吉田ルートを行く、1泊2日のツアーに決めた。
吉田ルートとは、富士スバルライン5合目(標高約2,300m)から、山頂まで、標高差約1,400mを登るコースだ。山小屋が多く、登山道と下山道が分かれている。また、頂上まで到達できなくとも、どの小屋からも御来光(日の出)が見えるというのが、決め手となった。
以下、アラフィフ初心者山ガールの、富士山登山について記録してみる。
1日目:集合~登山準備
7:10に、新宿駅でツアーバスに乗る。参加者全員が揃い、バスは西へ向かう。こちらの黄色い大型バスだ。
途中で登山用品のレンタルショップを経由し、10:00過ぎには富士スバルライン5合目に到着した。
まずは、指定のレストハウスで、少し早めの昼食をいただく。いくつかのメニューからチョイスできるところ、私は、現地の名物「ほうとう」を選んだ。エネルギーとなる炭水化物が取れるうえ、野菜もたくさん入っていて、栄養満点だ。
11:30に、広場に集合。ツアー参加者は30人超。ここで、お世話になるガイドさんに会う。
すぐに出発するのかと思いきや、ここで、ガイドさんによる、荷物の重量チェックが始まった。各参加者1人ひとりの荷物(ザック)の重量を、ガイドさんが1つひとつ持ち上げて、重すぎないかをチェックするのだ。
ここで、多くの参加者が不合格となり、もっと荷物を減らしてください、と指示された。私もそのうちの1人。念のため持ってきた行動食(ゼリー飲料)や、着替えの服などを置いていくことにした。ユーモアいっぱいのガイドさんは、このプロセスを、「追いはぎ」と呼んでいた(笑)。
1日目:登山開始~山小屋宿泊
12:00過ぎて、いよいよスタート。
暫くは、平坦な道、というか、むしろ下りだった。登りの始まる「泉ヶ滝」という地点で、ガイドさんが立ち止まり、分かれ道についての説明や、高山病予防のための呼吸法(深く長く吐く)についての説明をしてくれた。
暫く登り、6合目に到着。ここで、2000円のデポジットを納めて、ヘルメットを借りることができる(デポジットはヘルメット返却後に返金してくれる)。ガイドさんによると、稀にではあるが、落石で頭を打って亡くなる登山者もいるとのこと。多くの参加者が、ヘルメットを借りた。
そして、7合目から、いきなり、急な傾斜の岩場が現れた!
まるで、ロッククライミング!
バランスを取るため、ゴツゴツした岩を手で支えなければならない。持ってきた手袋が役立った。
足を大きく上げ下げしなければならず、体力を奪われる…。
いつの間にか、太陽が現れた。急に、暑くなった気がする。いかにも、紫外線が強そうだ…。
荒々しい岩場が、ずっと続く。もう、かなりバテてきた。
ゴツゴツとした岩肌を見ていて、映画『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』のワンシーンを思い出した。フロドとサムが、指輪を葬るためにアプローチする火山、「滅びの山」の映像に、ちょっと似ていると思った。あの時のフロドもサムも、ボロボロに疲れて、しんどそうだったなあ…。
振り返ると、眼下には、見事な雲海が広がっていた。非日常的な眺めに、少し、疲れが和らぐ。
8合目の山小屋「白雲荘」(標高3200m)にて、少し長めの休憩。バテバテだったので、助かった!
ガイドさんのお勧めに従って、カップヌードル(700円)を購入。高いけど、塩気が効いていて、おいしい!
日が暮れかけてきた。雲海の端が、赤く染まっていく。
ガイドさんが、「影富士」が見えますよ、と教えてくれた。少しぼんやりとしているが、確かに、富士山のシルエットが、雲海に浮かんでいる。
日が暮れてきた。道は、石の階段に変わる。ここまで来ると、疲れもピークに達していて、足がうまく上がらない。ペースもゆっくりになってしまう。
19:30頃、ようやく、今夜のお宿に到着した。8合5勺(3450m)に位置する山小屋、御来光館だ。
就寝スペースに案内され、荷物を置いたら、すぐに、夕食が用意された。ハンバーグ弁当だった。スープとサラダもついている。
ここは、体力を回復させるため、しっかり食べたいところだ。
あ、あれ…?
ここで、異変に気づいた。まったく、食欲がわかないのだ。むしろ、食べ物を見ると、少し気持ち悪い。頭痛も始まった。ガイドさんによると、典型的な高山病の症状らしい。あまり手をつけずに食事を終える。
翌朝の御来光を頂上から眺めるためには、ここでの仮眠の後、夜中にまた山小屋を出発することになる。そのため、21時には、皆、就寝した。
2日目:御来光
夜中の2:30。ツアーの一行は、起床し、荷造りの後、頂上へ向った。
しかし、私は、頂上へ行くのを断念した。
昨夜からの高山病が、さらに重くなっていた。これよりさらに高いところへ登るのは、とても無理だと、身体が悲鳴を上げていた。
そこで、ガイドさんにお願いし、ツアーから一時的に離脱した。頂上からではなく、この山小屋の前から御来光を眺めることにしたのだ。私と同じ決断をした参加者は、他にも数名いた。
御来光は、5時過ぎの予定だった。その30分ほど前には、既に、山小屋の前に、御来光目当ての登山者が集まっていた。
外は、とても寒い。フリースに、ウルトラライトダウン、雨具と、持ってきた全ての衣類を着込む。震えながらスタンバイ。
だんだん地平線が赤く染まっていく。
そして…、見えた。御来光!
iPhoneなので画像は粗いが、アップにしてみる。
神秘的な時間だった。
一緒に御来光を見守っていた、登山者の皆さんと、笑顔を交わす。お天気に恵まれて、本当に幸運だったと思う。
暫くして、陽が昇り切ると、急に明るくなり、次第に暖かくなっていった。
チェックアウトは午前6時。こんなふうな、二段ベッド式の就寝スペースだった。お世話になりました!
こちらが、ロビー。
2日目:下山
6:50頃。頂上で御来光を見て戻ってきたツアーのご一行と合流し、下山することになる。
長い砂利道が延々と、ジグザグに続いている。地面がやわらかいのでふんばりにくく、滑る箇所も多い。なかなか歩きづらい道だ。
7:30頃には、自由下山になった。隊列を組んで下るのをやめ、各自のペースで下りることになる。そして、5合目のスタート地点にて、帰りのバスの時刻に再集合するのだ。
自分のペースで下りる。歩きにくいが、登りのつらさに比べると、何ということもない。
暫く降りると、植物も見えてきた。
山小屋が用意してくれた、朝食用のお弁当を食べながら、ひと休み。
それから、どんどん下りる。落石対策の、シェルターが4か所設けられていた。
ついに、緑が広がってきた。
こうして、10:00過ぎには、無事にスタート地点の5合目まで戻ることができた。帰りのバスに乗った後は、ツアー内容に含まれていた、温泉入浴、ランチ、神社立ち寄りを経て、新宿駅に戻った。バスの中では、皆、爆睡していた。
感想
今回、山頂までは到達できなかったが、8合5勺の山小屋のある、3450mという高さまでは、何とか登ることができた。空気の薄いなか、標高差1150mを、登って下りてくることができたのは、我ながら上出来だ。
しっかりした登山の経験のないまま、いきなり富士山に登るのは、ちょっと無謀かなとも思った。家族にも、大いに心配された。けれど、思い切って挑戦してみて、本当に良かった。
ツアーに参加したのは大正解。ツアーガイドさんが、ペース配分をしてくださり、要所要所で励ましてくださり、とてもよく面倒を見てくださった。個人での参加だと、途中で心が折れて、もっと早い段階でリタイアしていたかもしれない。
普段の生活では眺めることのできない、雲海の景色や御来光を見ることが出来て、心が震えた。何より、憧れだった富士山に(途中までではあるが)登れたことで、何かに挑戦できる喜びを感じた。そして、それができる健康な身体があることに感謝した。生きていて良かった、と、心から思った。
アラフィフにもなって、登山の魅力にハマってしまったかもしれない。これをきっかけに、今後も、体力の許す限り、山ガール活動を続けていこうかなと思う。
サポートをいただきましたら、他のnoterさんへのサポートの原資にしたいと思います。