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日記の効用

私は、結構若い頃から、日記をつけている。日記といえば、まだ十代の頃、実家で本棚を漁っていて、偶然、母の日記を見つけて読んでしまったことがある。父母の最初の子どもであった私が産まれた頃の、彼女の思いを綴った、年季の入った日記帳だった。

私が産まれて間もなく、頑張っても頑張っても、どうしても母乳が出なくて、つらくてたまらない、という趣旨のことが、縷々、綴られていた。自分の乳で育ててやりたいのにできない無念と、粉ミルクでも丈夫に育ってくれるのだろうかという不安。生まれたばかりの私に無尽蔵に注がれた、愛にあふれた日記だった。普段、ケンカばかりしていたオカンだが、このときばかりは、本棚の前で号泣した(実は今、この瞬間も、思い出し泣きしている)。

さて、本題である。日記の効用だが、一言で言って、良いことづくしである。

(1)記録となる。

言うまでもなく、記録となる。私は、毎日、行った場所、したこと、会った人、食べたもの、使ったお金、をコツコツ記録している。そして、ダイエットを始めてからは、毎朝の体重と体脂肪率、ランニングを始めてからは、走った距離と時間、走ったコース、消費カロリーも記録している。そうすると、後で思い出したいときに便利である。あのとき会った人の名前は誰だっけ。というときに、必ずその情報にたどり着けるのである。

アラフィフともなると、人の名前をはじめ、昔の記憶を思い出すのがだんだん大変になる。また、後にアウトプットしたいときにも、記録は重要である。別記事で書いた、ダイエットの記録も、日々の情報を日記に書いていなかったらまとめることはできなかった。

(2)計画を立てるのに役立つ。

(1)の応用だが、今後の計画を立てるときに、過去の記録を参考にし、よりよいものを作ることができる。

実用的なところでは、旅や運動のプランニングである。毎年行っているお祭りに行くとき。去年はこの時間帯の新幹線に乗って、ちょっと時間に余裕がなくなり慌ただしかったから、今年は一本早いので行こう、とか。去年、フルマラソンを完走できたとき、この時期に30キロ走練習を入れていてうまくいった、だから今年も同じようにしよう、とか。

もう少し大きな視点では、人生設計のプランニングにも役立つ。この仕事をマスターするのに、これだけの年月がかかった。次はこれをやりたいから、これだけの時間を作ろう、とか。自分自身の傾向を分析し、計画や対策を立てるデータとなるのである。

(3)書いて、つらい気持ちを和らげる。

アラフィフになるまで生きていると、つらいことや、いやなことに沢山遭遇する。長年付き合った彼氏にふられたとき。信頼していた人に裏切られたとき。大切な人との死別。仕事上の大失敗など、数限りない。つらい気持ち、不快な気持ちを抱えたままで生きていくのは難しいので、人には気持ちを和らげ、ストレスを発散するための、それぞれの方法があるだろう。人に話を聴いてもらう、食べる、飲む、歌う、走る、などなど。私は、そういうとき、日記に、ありのままの気持ちを綴っていく。

頭のなかでもやもやした、ネガティブな気分を文字にすると、あら不思議、それが客観化されるのか、頭が整理されるのか、そのもやもやを、少し離れたところから第三者的に眺めることができる。目の前のクライシスが、それほど大変なことではないように思えてくる。そして、何とかなるよ、とか、今がどん底だから頑張って行こうよ、とか、自分と対話するようになる。言わば、独りメンタリング、独りコーチングである。そうすることによって、いつの間にか、つらい気持ちが和らいでいる。そして、これを続けることによって、メンタルも随分強くなったように思う。

(4)書いて、嬉しさを倍増させられる。

(3)の逆だが、とても嬉しいことがあったときも、日記に書いて残しておく。恋人ができたとき。プロポーズされたとき。人から評価されたり、褒められたとき。試験に受かったとき。昇進したとき。転職のオファーがもらえたとき、など。

不思議なことに、書いていくと嬉しい気持ちが増幅するのである。書くことによって、嬉しいイメージや、成功体験が定着するのであろうか。脳内幸せホルモンでも出るのであろうか。(3)で書いたように、つらいことは軽減されるのに、嬉しさは倍増するのである。素晴らしい効用である。

(5)読み直して今後の成長の糧とする。

最後に。過去に書き溜めてきた日記を読み直すことにより、自分を振り返り、成長を実感することができる。

つらいときに、(3)で書いたような、昔のつらい経験を書いたページを読み直すと、過去に自分がいくつものつらいことや、悲しいことを克服してきたことを思い出し、今度の困難にも必ず打ち勝つことができると思えるようになる。また、(4)で書いた、よかったこと、嬉しかったことの記述を眺めていると、いかに自分が多くのことを成し遂げてきたか、沢山の素敵な出会いに恵まれ、楽しい経験をしてきたか、その幸せをかみしめることができる。

そして、それらの経験を振り返ると、これからもっともっと素敵なことを経験したいし、また、できるはずだというポジティブな気持ちになれる。それがさらなる成長の糧となり、モチベーションとなる。これこそが日記をつける最大の効用であり、一番の醍醐味かもしれない。

以上です。

これらを、日々、するかしないかで、人生の豊かさが、大きく異なってくると思う。いつの間にか身についていたこの習慣だが、人生の要所要所で助けられている。やらないともったいないと思う。

これを読んでくださった方で、日記をつけたことのない方には、今からでも遅すぎることはないので、ぜひ試していただきたいと思う。未曾有の災難であるこのコロナ禍下にあるからこそ、日々の記録をし、将来の行動に役立て、つらさを和らげ、小さな幸せを心に留め、乗り越えて一層成長していく助けとなると思う。ご参考になれば、これほど嬉しいことはありません!

※関連記事として、日記術もアップしてみました。よろしければぜひご覧ください。


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