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【読書録】『日本人の英語』(シリーズ3冊)マーク・ピーターセン
文学者かつ評論家である、マーク・ピーターセン先生が、日本人が陥りやすい英語の誤りについて解説してくれる本。『日本人の英語』(1988年)、『続 日本人の英語』(1990年)、『実践 日本人の英語』(2013年)の3冊シリーズ。
古い本だが、いずれも、日本の義務教育ではなかなか習得できない、生きた英語のニュアンス教えてくれる。エッセイ風に書いてあるので、何冊目からでも、どの章から読んでもよい。
日本人にとって難解な、特に、冠詞や前置詞などの違いに起因する、意味やニュアンスの違いを、具体的な例文を引いて、対比させつつ教えてくれる。
例えば、冠詞が違うと意味がどう違ってくるか、などのお題について、読者に例文を読ませじっくり考えさせる、クイズのような語り口。読み進めるうちに、「おお、冠詞ひとつの違いで、これほど異なるニュアンスになるのか!」と、小気味よい驚きを味わえる。
私は、1冊目の『日本人の英語』に、高校生のときに出会った。上記のとおり、たいへん工夫された素晴らしい本なのだが、高校生の私には、理解するのに相当骨が折れた。いや、たぶん、理解したつもりで、全く理解しきれていなかった。
それから四半世紀以上が経った今、久しぶりにこの本を見つけ、読み返してみた。また、『続』と『実践』も新たに入手し、3冊まとめて読んでみた。
すると、社会人になって、英語を仕事で日常的に使うようになったためか、昔はピンとこなかった微妙なニュアンスの違いが、答え合わせの前に、結構な割合で、感覚的に分かるようになっていた。
ただ、答えは感覚で何となく分かるが、その理由が、どうしてだか、はっきりと分からない。そんなとき、著者が、わかりやすく明快な説明を提示してくれる。今、改めて読むと、とても納得感があった。
特に気に入ったのは2冊目の『続~』だ。『マイ・フェア・レディ』『雨に唄えば』『カサブランカ』の台詞や、『サラダ記念日』『山の音』の英訳など、私の好きな映画や文学などが題材として取り上げられていたので、とても楽しく読めた。
英語ネイティブで、かつ、日本語の研究者である著者ならではの、数々の鋭い視点を織り込んだ名著。初学者から上級者まで、楽しく学んでいただけると思う。そして、特に、これから英語を使う必要のある方には、お役に立つのではないかと思う。
ご参考になれば幸いです!
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