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【英語】Development needs / Improvement needs

外資系企業に身を置いて10年以上になりますが、この間、学校では習わなかった英語の言い回しに接したり、独特のニュアンスを感じることが多くありました。そういった表現を、備忘を兼ねて少しずつ書いていこうかと思います。

勤務を通じて得た肌感覚的なものですので、間違っている点もあるかもしれませんが、ご容赦いただければ幸いです。また、ご指摘や補足などがありましたら、コメントをいただければありがたいです。

今回は、"Development"と、"Improvement"という単語の、外資系企業の人事の場面にまつわる使い方について感じたことです。

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【Development】

Developmentという単語には、辞書によると、発達、発展、開発、といった意味がある。よく聞くのは、Developing country(開発途上国)だとか、Research and Development(研究開発)などの使い方だが、ここでは外資系企業の人事面に関するものにフォーカスする。

Development needs / Development areas

「人材開発ニーズ」「人材開発が必要な分野」。

社員の成長のために、どんな能力を開発すればよいのか、社員ごとに必要な能力開発分野について、この言葉を使って議論がなされる。

例えば、"What are your development areas?"という問いには、English skill(英語のスキル)、Communication skill(コミュニケーションのスキル)とか、Logical thinking(論理的思考)、Leadership skill(リーダーシップスキル)など、その社員が今後、社内で活躍するために開発すべき能力を答えることになる。

Development opportunity

「開発機会」。

上記と同じようなニュアンスで使うときもあるし、"A career development opportunity"と言えば、社員のキャリアを更に発展させるための、現在とは異なる(通常は、より上位の)新しいポジションやチャンス、という意味になることもある。

Development plan

「人材開発プラン」。

上記のDevelopment needs(人材開発ニーズ)を満たすにはどうすればよいか、そのためのプランをこう呼ぶ。

Development needsがEnglish skillなのであれば、英語スクールに通う、TOEICを受験するなど。Logical thinkingが課題なのであれば、論理的思考方法について教えてくれる研修やトレーニングを受ける、などが挙げられる。あるいは、OJT(On the job training)ということで、実際の業務を通じて身に着ける、というものもある。Leadership skillが課題であれば、研修やOJTのほか、メンターやコーチを付ける、などもあり得る。

私が勤務した複数の外資系企業では、いずれも、年に1度、上司と部下が、Development needsについて話し合い、Development Planについて合意し、それを人事のデータベースに記録し、実行するというプロセスを取っていた。

People Development

「人材開発」。

その名のとおり、企業において人材を開発すること。

人事本部の中に、人材開発専門の部署がある場合がある。その場合、People Development Departmentなどと呼ばれ、その部署の管理者はPeople Development Managerなどと呼ばれる。そういった部署では、人事研修プログラムの策定、実施をしたり、Succession Planning(後継者育成計画)を作るためのアレンジをしたりする。

Organizational development (OD)

「組織開発」。

上で書いた、Development needs/areasや、Development planというと、通常は、社員個人の開発ニーズや開発プランを指す。これに対し、Organizational development (OD)という概念は、組織を構成する人と人との関係性に注目して、組織の成長のために組織を改革するというもの。

【Improvement】

Improvementという単語には、辞書によると、改良、改善、という意味がある。外資系企業では、Developmentと同様、人事評価の場面でよく使う。

Improvement needs/areas 

「改善ニーズ」「改善の必要な分野」。

外資系企業の人事評価の場で、なるほど、と思ったのは、Strength(強み)の対立概念として、Weakness(弱み)という用語を用いるのではなく、その代わりに、Improvement needs/areasという用語を使用していたことだ。

また、採用面接(インタビュー)の際に、面接官(インタビューアー)が、候補者に対し、自身の強み、弱みをどう思っているかについて尋ねる場合も、同様であった。これは、私の勤めた複数の外資系企業で、共通していた。

そのせいか、あくまで個人の感覚であるが、Development needsという言葉の使い方が前向きなイメージであるのに比べて、Improvement needsという言葉からは、今、欠けているところ、足りないところがあるので、それを補う必要性がある、というような、若干ネガティブな印象を受けている。

Improvement opportunity

「改善機会」。

Improvement needs/areasと同様のイメージ。Opportunity という用語を用いてはいるが、上記のDevelopment opportunityのような、チャンスを表す使い方はあまりせず、改善点、という意味で使うことが多いように思う。

Room for improvement

「改善の余地」。

こちらも、Improvement needs/areas/opportunityと同じような意味で使われる。また、”There is always room for improvement.”などという言い回しもよく聞く。これは、すべてのことについて、いつも改善の余地や学びはある、という意味である。

この点に関連していうと、外国人上司と人事評価の面談をする場合に、どれだけ仕事がうまくいっていても、大抵、今後は、どこを改善したいか?という質問をされる。そのとき、「自分のパフォーマンスには100%満足であり、改善する余地はもうない」という回答をするよりも、「次はさらにここを改善したい」と答えることが期待されている。実際、私の周りで成長を続けている社員は、いっときの成功にあぐらをかくことなく、絶え間なく改善点を考え続けていると思う。

Performance Improvement Plan (PIP)

「パフォーマンス改善プラン」。

こちらは外資系企業にお勤めの方は耳にされたことがあるかもしれない。社員のパフォーマンス改善のために、一定期間で一定の目的を達成するような特別な課題を設定して、その間のパフォーマンスを観察する計画のことを指す。通常、ローパフォーマー(Low performer)と言われる、業績の悪い社員に対してのみ実施されるプログラムである。

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以上、Developmentも、Improvementも、企業の人材開発や人事評価など、人事関係の場面で、社員の育成や能力開発を考える文脈で使われますが、Developmentは、"Development plan"や“Development opportunity"のように、どちらかというとポジティブなイメージで使われることが多く、他方で、Improvementには、Weaknessという否定的な用語の言い換えのために用いたり、"Performance Improvement Plan (PIP)"の例のように、ネガティブな点、不十分な点を改善するという言い方で、若干ネガティブなイメージを含ませることがあるように感じています。

ご参考になれば幸いです!

関連トピックとして、70:20:10の法則についての記事はこちら。

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