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雨の日に、青い絵

雨の日に、すっと吸い込まれた絵がありました。

《ヌーダ・ヴェリタス》  グスタフ・クリムト            2メートル越え細縦長の額縁 青に女性が立つ。

前に立ったときに、とても落ち着きました。その日の雨と、その湿度、場の音、気配、私、が全部フラットになった感じで。

菩薩なのかな。手を合わせたい。勇気と許しと必要な叱責を受けたようなそんな気持ちになる。

静かだ――。

手前の絵(ユディトⅠ)が”強く美しい女”である反動で、何度行っても”ただ、かわいいだけの絵”と素通りしてしまっていました。その日、ヌーダヴェリタスの良さがピンと来たのでした。

今、画集を見て思うのは、鋭い目、青の心地良いゆらぎ、線のリズム、金と青の配色、文字デザイン、暗さを演出する蛇、適切な重厚感の額縁、それらが新しさに向かいながらも心地よく、総合的に納まった絵なのではないでしょうか。

ウィーンにある オーストリア演劇博物館所蔵。

最後に、現在、新しさに向かいながらも心地よく、癖になる音楽をひとつ。そして、ヌーダ・ヴェリタスの絵の上部にある、言葉の訳を。呪縛にも薬にもなりそうで、どきっ、とします。

《未熟な夜想》 浦上想起 (音楽家)
汝の行為と芸術をすべての人に好んでもらえないのなら、それを少数者に対して行え。多数者に好んでもらうのは悪なり(フリードリヒ・シラー クリムト展図録)

それでは。良い週末を!


saza


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