#試し読み
雪舟えま訳『竹取物語』(BL古典セレクション①竹取物語 伊勢物語 より)
八、帝の恋 さてそれからーー。
この世のものとも思われぬ美貌のかぐや彦と、五人の貴公子たちとの求婚騒動のてんまつが、ついに帝の耳に入るところとなった。
帝は内侍の中臣薔薇房(なかとみのばらふさ)を呼びつけて、こういった。
「その美しさでおおくの人の身を滅ぼし、だれとも結婚せずにいるとかいうかぐや彦……いったいどれほどの美少年だというのだ。内侍よ、おまえの目で確かめてきてはくれぬか」
薔薇
雪舟えま訳『伊勢物語』(BL古典セレクション①竹取物語 伊勢物語 より)
一 やあ。私、在原業平(ありわらのなりひら)。
私が元服したころの話から始めよう。
奈良の都は春日の里にうちの領地があったので、鷹狩りにいった。
その里で、ふと、ある家の生垣からチラ見したら、縁側に美形の兄弟がたたずんでいるのが見えてしまい、私は垣根に顔がくっついたように離れられなくなった。こんなひなびた場所に、こんななまめかしい男たちが?! 心をかき乱された私は、たまらず狩衣のすそを