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半年密着!「小豆島のいちご」ができるまで
好きなくだものランキング上位に必ずランクインしている「いちご」。
12月を迎え、これからさらに市場へと流通していくいちごは、クリスマスシーズンやバレンタインスイーツには欠かせない果物としても知られている。
「いちご」と言えば、栃木、佐賀、熊本などが全国的にも有名な産地。中でも関東出身の私にとって、これまで馴染みがあったのは、幼い頃にTVCMでよく目にしていた栃木の女峰であった。
「うどん県」として知られる、ここ、香川県はいちごの産地でもある。
私が移住した小豆島とそのお隣、豊島で「小豆島のいちご」というブランドいちごが作られていることを知ったのは、地域おこし協力隊として着任した土庄町で、いちご農家として独立された協力隊の先輩がいたことがきっかけだった。
こちらは、小豆島の南西にある土庄港と豊島を結ぶフェリー。
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船体には豊島の特産品、みかんといちごのイラストが描かれている。
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これほどまでにメジャーなフルーツであるいちごだが、その人気と相反して、残念ながらいちごの栽培過程を見たことのある人はほとんどいない。
そこで、苗づくりが始まる6月からいちご初出荷までの約半年間、小豆島いちご部会さま、JA香川県さま、土庄町農林水産課さまのご協力のもと、町内農家さんたちのハウスを転々としながら、小豆島のブランドいちご「 小豆島のいちご」ができるまでをご紹介するSNS連載企画を実施。毎月、その時々のいちごの栽培状況といちご農家さんのお仕事をリアルタイムにお届けした。
この記事では、計4軒の農家さんにご協力いただき、取材させていただいた様子をまとめていく。
「小豆島のいちご」とは?
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「小豆島のいちご」とは、瀬戸内海に浮かぶ小豆島と豊島で作られるブランドいちごのこと。
小豆島、豊島で栽培されている苺は「女峰」という品種で、栃木出身のいちごです。今年で品種登録されて37年になります。
かつては西の「とよのか」東の「女峰」と呼ばれるくらいポピュラーな品種でしたが、今では品種のシェア率で1%を切っており、そのほとんどが香川県で育てられております。
香川県でも「さぬきひめ」が増えてきており、「女峰」は年々減少しており、ますます希少となっております。
昨年初めていただいた「小豆島のいちご」。
その瑞々しさ、豊かな香り、甘さと酸味のバランスに、自他ともに認めるいちご好きな私の心は完全ノックアウトされた。
全国のいちご好きが心奪われる、いちご好きがいま一番推したいいちご。
それが「小豆島のいちご」なのだ。
いちご作りに密着!
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現在では日本でも希少品種と言われている品種「女峰(にょほう)」をブランド化した「小豆島のいちご」。
その生産者のうち、2/3以上は土庄町で活躍されている農家さんたちだ。
①ランナー伸ばし
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梅雨時期とは思えない程の超猛暑だった6月30日。
土庄町の滝宮地区で女性いちご農家として活躍中、ストロベリーファーム山本農園の山本美和さんの元へ。
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6〜7月初旬は「ランナー伸ばし」と呼ばれる、いちごの苗づくりのもととなる工程。これが、いちごづくりの最初のステップ。
収穫が終わったいちごの親株からランナー(つる)を伸ばして、小苗を増やしていく。
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空中に長く長くぶら下がるその姿はまさに、「いちごのナイアガラ」状態!
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山本さんのところでは、6月5日からこのランナーを伸ばし始め、撮影時(6月30日)までの25日間でこの長さに。
山本さんのハウスにあった親株は、約10,000本。
これらの親株から25,000本くらいまで小苗を増やしていく。
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ランナーを1本ずつ、よく見ていくと、クラゲの足のようなパーツが。
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なんとこれが、いちごの「根」!!
いちごのかわいらしさとはウラハラの見た目ではあるが、これがあのかわいらしいいちごの基礎となる超重要なパーツの姿だ。
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この根がしっかり小苗に出揃ったら、伸ばしたランナーを一気にカットし、
土の入った専用トレイに挿していく。
その時の苗の向きや挿し方も、また農家さんによって違うのだとか。
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取材後は、甘さと酸味が絶妙なバランスのお手製いちごシェイクを山本さんが振る舞ってくださった。
②苗挿し&水やり
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伸ばしたランナーからカットした小苗を専用トレイへ挿していく「苗挿し」。前回の取材の翌月、いちごの苗挿しシーズン真っ只中の7月中旬に訪ねたのは、土庄町滝宮地区のハウスでいちご作りをされているいちご農家の森井浩太郎さん。
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いちご農家だったご両親のもとで育った森井さん。
ご自身もいちご作りに魅せられ、香川県内でいちご作りに携わった後にこの場所でいちご農家を始め、今年で11年目となる。
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根が出揃った小苗を、ランナーから一気にカット。
土に挿しやすいよう、小苗ごとに葉を1〜2枚程度残して、専用トレイのふかふかの土の上に小苗を手際よく挿していく。森井さんのハウスでは23,000本の小苗を、3日間、3人がかりでランナーからカットし、挿していった。
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森井さんのように、根と短くカットしたランナーを土に挿す方法や、挿した小苗の上から専用のピンで留めて固定する方法など、苗挿しの方法は農家さんによってさまざま。
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挿したてのいちごの小苗はとても繊細で、苗挿し直後のいちごには根が無く、土から水を吸えないのだという。
そのため、苗が萎れないよう、20〜30分ごとの短いスパンでハウスに設置されたミストシャワーを使って、霧のような微粒子の水を浴びさせるように水やりをする。
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このミストシャワーの水やりは、小苗を挿したばかりのこの時期限定の方法で、毎年1週間から10日間ほどしか見られない超レアな光景らしい。
ミストシャワーが動き出すと、あっという間にハウス中が霧でいっぱいに。
そんな中でも、変わらず苗を挿し続ける森井さん。
ミストが降り注ぐこの時期のハウスは、涼しくていいのだとか。
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取材前日に挿した苗の根を見せていただくと、たった1日で新たな根が!
挿したての小苗は葉が寝ているものの、1日も経てば、太陽の方を向いてぐんぐん成長していくそうだ。そんないちごの生命力にびっくり!
ミストシャワーでの水やりを1週間ほど続け、根がしっかりと張ってきたら、ハウス内の日除けを1枚外し(取材時は日除け2枚を設置、強い陽射しからガード)、通常の水やりに切り替えて日々メンテナンスをしながら、9月の定植までの2ヶ月ほど苗を育てていく。
③定植
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夏の間に育てたいちごの苗を、土の入った専用バッグに定植する9月。
この定植のタイミングに、土庄町目島地区の山本正彦さんのハウスを訪ねた。
少し道を登って車を走らせると、目下に山本さんのいちごハウスと瀬戸内海が広がる。
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山本さんのハウスでは、3日間かけて8,800本の苗を定植。
取材日は定植作業の最終日ということで、作業終盤を迎えたハウス内には、植えられた苗がずらり!
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山本さんに教わりながら、私もいちごの定植に初挑戦!
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専用バッグの切り込みから手を入れ、中の土を少しぐぐっと引き寄せ、空いた空間に苗を入れ、専用バッグを被せたら定植完了!
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専用バッグが置かれた高さは、身長155cmの私には少し高め。
これは「小豆島のいちご」が「高設栽培(空中栽培)」という、いちごの果実が空中にぶら下がってできる方法で栽培されるため、果実が土につかず、太陽の光が満遍なく当たるようにすることを考慮すると、このくらいの高さがベストなのだとか。
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ここからは真っ赤ないちごがたわわに実るよう、冬の初出荷に向けて定植した苗を太らせていくのだという。
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いちご農家に転身して10年弱という山本さんは、自衛隊の定年退職後に兵庫県から故郷小豆島へ戻り、いちご農家になられたという珍しいご経歴。
「いちご作りを始められた当初、大変なことは?」の問いに、「ご近所にいちご作りのプロフェッショナルたちがいたから、分からないことを教えていただける環境があったので上手に作れた」と山本さん。
地元のおいしいブランドいちごが生まれる背景には、いちご農家の先輩方やご近所農家さんのこうしたサポートがあるようだ。
④株を太らせる
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いちご苗の定植から1ヶ月。
この時期の農家さんにとって大切な仕事は、12月のクリスマスシーズンに向けて、いちごの株をメンテナンスすること。
今回は、土庄町豊島の西側にある家浦地区のいちご農家、新屋貴之さんの元へ。
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大阪で金融コンサルとして会社勤めをしていた生活から一転、母方の故郷、豊島で何か出来ないかという思いを胸に、40代で土庄町地域おこし協力隊として移住。3年間の農業振興活動で棚田保全や商品開発に携わった後、いちご農家として独立された。
記事の冒頭で触れた「いちご農家になった先輩」が新屋さんだ。
▼協力隊退任直前の新屋さん取材記事はこちら
定植が終わったこの時期は、良質ないちごをたくさん実らせるための準備期間。日々メンテナンスをしながら株を太らせる。
この時期は、毎日丁寧におひとりでいちごと向き合いながら、コンディションを整えているという新屋さん。
いちごが十分に水を吸えるように、灌水用チューブの先のドリッパーから肥料をブレンドした水をポトポトと土に垂らして水やり。
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養分を株に集中させるため伸びてくるランナーを抜いたり、代謝をよくするために古い葉を取っていくなどのメンテナンスが主な作業となる。
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この時期のいちごにとって大切なのは、適温をキープすること。
特に、季節の変わり目であるこの時期は、ハウス内が暑すぎたり寒すぎたりしないよう、温度管理にも気を遣っているという。
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いちごシーズン到来!
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12月に入り、待ちに待った「小豆島のいちご」の収穫時期がやってきた。
今年もたわわに実っている!
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こちらは取材中に農家さんからいただいた「小豆島のいちご」。
収穫タイミングによって形や大きさは変わってくるというが、私が取材でお邪魔したこの日のいちごは全体的に大きめで肉厚だった。
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こちらは、形がいびつになってしまって出荷できないからと取材中にいただいたいちご。形は出荷基準から外れてしまったものであるが、おいしさはそのまま。
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女峰という品種の特徴なのかもしれないが、小豆島のいちごは味がしっかりとしている印象。いちごならではの甘酸っぱさが口の中いっぱいに広がる。
至福のひととき満喫中の私。
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この記事が「小豆島のいちご」の存在や、農家さんのお仕事を知っていただくきっかけとなり、この冬、ひとりでも多くの方に小豆島のいちごを楽しんでいただけたら嬉しい。
▼小豆島のいちごについて
▼土庄町ふるさと納税の返礼品にも登場!
【取材協力(敬称略・取材順)】
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・東京出身の私が移住した小豆島のこと
・個人の活動と並行して携わらせていただいている地域おこし協力隊のこと
・30代の私が直面している親の老後や介護のこと
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Posted by SAYULOG on Sunday, July 24, 2022
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