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小暮さゆ
2024年6月11日 17:26
これまでのお話・第1話はこちら・第2話はこちら・第3話はこちら・第4話はこちら・第5話はこちら・第6話はこちら・第7話はこちら・第8話はこちら・第9話はこちら・第10話はこちら*第11話(最終話)* 東京タワーに電話してみると、他のお客様にご迷惑をかけなければ……ということだったので、私はAmazonでケージを購入した。平泉さんと相談して
2024年6月11日 10:50
これまでのお話・第1話はこちら・第2話はこちら・第3話はこちら・第4話はこちら・第5話はこちら・第6話はこちら・第7話はこちら・第8話はこちら・第9話はこちら*第10話*「そんなことがあったんですね」「やせ我慢して、いい女ぶって帰ってきちゃった」 私は缶ビールを片手にからからと笑う。平泉さんは久しぶりにテーブルの上に乗っている。私が無理を
2024年6月11日 08:30
これまでのお話・第1話はこちら・第2話はこちら・第3話はこちら・第4話はこちら・第5話はこちら・第6話はこちら・第7話はこちら・第8話はこちら*第9話* 駅を出ると木枯らしが吹いたので、私は開けていたコートのボタンを慌てて閉める。冬がもうそこまでやって来ているのだ。一年ってなんて早いんだろう、思い返してため息をひとつつく。この一年、いや正確にはこ
2024年6月10日 09:38
これまでのお話・第1話はこちら・第2話はこちら・第3話はこちら・第4話はこちら・第5話はこちら・第6話はこちら・第7話はこちら*第8話*「祥穂さん? 祥穂さん……?」「……あ、ごめん、ぼーっとしちゃってた」「大丈夫ですか?」 平泉さんが心配そうに、山吹色の大きな瞳で私を見上げる。「どうして?」「だって、このところずっと、祥穂さん、ぼうっ
2024年6月10日 09:07
これまでのお話・第1話はこちら・第2話はこちら・第3話はこちら・第4話はこちら・第5話はこちら・第6話はこちら*第7話* 季節は巡って、いつの間にやらすっかり夏になってしまった。今夜は取引先の式場での納涼会だったのだが、若いスタッフさん達の選曲や演出に少し疲れてしまって、地元の駅に着くまでにはくたくたになってしまった。いくら納涼会とは言っても、やっぱり仕
2024年6月9日 15:37
これまでのお話・第1話はこちら・第2話はこちら・第3話はこちら・第4話はこちら・第5話はこちら*第6話* 私の額をざらざらとした舌が舐める。熱の気怠さの中でうとうとしていた私は、うっすらと目を開ける。「祥穂さん、うなされてましたよ。ポカリ飲まないと」「ありがと」 ──そうか、夢だったか。何度もリプライズで思い出してしまうなんて、案外私の記憶力も馬鹿に
2024年6月9日 12:07
これまでのお話・第1話はこちら・第2話はこちら・第3話はこちら・第4話はこちら*第5話*『祥穂さん、こんにちは。今夜もしお時間ありましたら、北三日月町駅前のワインバルに行きませんか?お店のURLはこちらです』 昼休みにスマホを確認すると、尚司くんからのLINEが入っていた。いつものように地元集合ではあるものの、珍しいことにいつものラーメン屋、天馬家ではない。私
2024年6月8日 23:51
これまでのお話・第1話はこちら・第2話はこちら・第3話はこちら*第4話*「祥穂さん、今年花見行きましたか」「ううん、暇がなくって。尚司くんは?」「俺も全然。でも仕事で桜だけはたくさん見ました」「それを人は花見と呼ぶんじゃないの?」「いやー、違いますよ。花見って言ったらこう、お弁当持って、ビール持って……じゃないですか」「確かにね」 駅前のラーメン屋、い
2024年6月8日 13:12
これまでのお話・第1話はこちら・第2話はこちら*第3話*「ただいま……」 話し込んですっかり遅くなってしまった。ドアを開けると、いつも出迎えてくれる平泉さんが出てこないので、私は少し寂しい気分になって電気を小さく点ける。平泉さんは、ソファーのクッションの上で丸まって、すやすやと規則正しい寝息を立てていた。私は安心して、ジャケットをハンガーにかける。やがて、気配に気付い
2024年6月7日 21:21
これまでのお話・第1話はこちら*第2話* その日の帰りはすっかり遅くなってしまった。私は平泉さんに留守電を吹き込んだ。「祥穂です、遅くなってごめんなさい。結局長引いちゃいました。ハラペコなので、駅前でラーメン食べて帰ります」 平泉さんは電話の応対はしないのだが、こうして声でメッセージを残しておくことで安心してくれる。なんだかんだで心配しながら待っていてくれるので、遅
2024年6月7日 11:04
あらすじ*第1話*「……さちほさん、起きてくださいな……起きてくださいな、朝ですよ」 細くて甘い声が私の耳元で囁く。寝返りを打つ。あと五分、五分でいいから。「駄目ですよ、今朝は定例会議があると言っていたじゃないですか、先週もそんなこと言ってて遅刻したじゃないですか、ほら早く起きましょうよ、祥穂さん」 私の首筋を熱い舌が舐める。くすぐったくて、身悶えする。ざらざらとし