おいしい時間◎その2

…子供の頃、抹茶は甘い物だと勘違いして、本物のお抹茶が苦いのを知った時騙されたと思ったのを、今でも忘れない。

仕事の休憩時間に
同僚が学生時代茶道部だったと聞かされふと思い出した記憶。

その茶道部の先生が、とても品のある淑女だったらしく…
騒がしい生徒達に対して柔らく
「皆さん、随分と賑やかね。ここは茶室ですよ。」と微笑みかけただけで
姿勢を正さねばと、只者ではない空気に従がうしかなかったそうだ。

殺気を出さずに、空間を動かせるそのカリスマ性、是非この目でも見てみたかったなぁ…

それにしても男女関係なく着物を着て、
お抹茶と茶菓子を食べる…学生時代に体験していたら私も少しは美しい所作を手に入れられたのだろうか…。

憧れる、凛とした所作

私なんて家で何か零した時
足で雑巾がけをして叱られるようなガサツな学生だった…

そもそも、和服は愚か、浴衣すら最近着て居ないなぁ。

最近は和服と洋服とのコーデもチラホラと町で見掛ける。
ああいう、おしゃれで非日常的な休日には憧れがある。

大正浪漫的な和服とブーツとベレー帽。
モガスタイルで甘味なんか食べたらそれはもう雅な多幸感で空も飛べるはず。多分。

いや、あくまでイメージだ。
…うーん。せめてこのモダンガール的な気分を手頃に味わう術は無いかしら。

………

そうだ

喫茶店に行こう!
レトロな店構えの喫茶店。

モダンガールと言えば、カフェー。
カフェーと言えば、パフェ。

和風モダンな抹茶パフェ!

せめて空間と味で モダンガールトリップ。

という事で…来ました。
喫茶店。
いつも気になっていたけれど
素通りしていた名店。

宇治抹茶を使用したパフェ

コロンと黄色い栗に白玉。
抹茶アイスとバニラアイス
涼やかな寒天に生クリーム、あんこ。

金粉と宇治抹茶パウダー
が掛かった 抹茶パフェ

只者ではない風格。

抹茶の上品な苦味とクリームとあんこの優しい甘みが身と心に染み入る。

これは…

美味にございます…。

後味も上品。甘いだけじゃ終わらない。

子供の頃は騙されたと思ったけれど
この苦味が甘みを引き立てていたのね…。

和の抹茶と洋のパフェ。
美味しいと美味しいの最強タッグ。

もちゃもちゃとした白玉の食感が冷たいアイスと絡んで心地よく口の中に拡がていく

胸が満たされていく
白玉とアイスクリームの親和性の高さにはいつも関心させられる。

長いスプーンが魔法の杖みたいに見えてくる、気分は上がっていく。崩れる寒天、抹茶の奥ゆかしい風味、栗のしつこくない甘み、全てを柔らかくするクリーム。
ひとくち毎に微妙に風味が変わる、奥深い幸福感。

お淑やかな気分で
今日位は、お淑やかに過ごせたらいいな。

カランコロンと
何処か懐かしいベルを背に…

いつもより、姿勢を正して

帰り道。


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