柊小夜

思考と私を綴る。いつか本を書きたい。                        絵…

柊小夜

思考と私を綴る。いつか本を書きたい。                        絵も描きます。音楽もします。ピアノがすき。

最近の記事

詩_想い人

きみの声がわたしの心に宿っている それは体温を持ったやさしいひかり わたしの心にきみという花が咲いている 見えなくたって声が聞こえなくたって たしかにここにある きっとまたどこかで いつかきみがくれた言葉のかけらを思い出して この命をかがやかせていたい ここにいるよって少しは伝えられるように きみを知ったあの日のまま 遠い街のきみの幸せだけを祈って

    • 【短編小説】斜陽

      いつのまにか好きになった 遠景を眺められる電車の窓 有線のイヤホンから流れる聴き慣れた音楽が くたびれた空気を愛おしいものへと変換させる この時間が何より幸せに思える きみのいる町までどのくらいあるのだろうかと 揺られる扉の隙間からのぞく風にたずねる 今からでも行ってしまおうかと何度もそう思って 結局は駅に着くまでのあいだに冷静さをとりもどす 仮に行けたとしても 会いたかったと言える素直さを持ち合わせていない 小脇に抱えたミモザの束が揺れ やさしく握り寄せた 擦れて

      • 詩_remember

        眠れない夜に謳いましょう 愛ってなにかな 自分以外の誰かのことで頭がいっぱいになることかな 忘れた朝食の後片付けや閉めっぱなしのカーテンのことなんかどうでもいいと思えるほど 今頃どうしているだろうかと想う誰かが 心の中に棲んでいるということなのかもしれない 高くなった月の光の影が窓辺に差し込んで 眠れない夜に誰かを想いながらあの月に向かって おやすみということなのかもしれない 枕元に呼ばれた文庫本がゆっくりと閉じていき あの物語の主人公が私のいちばん好きな人に似

        • 【短編小説】碧い海の向こう

          波の音、それは遠い海の声。 あの頃、きみが僕に出会ってくれた頃のこと。 味気ない日々の営みも さびしく静けさを纏った見慣れた街並みも テーブルの上の冷めきったコーヒーも 何もかもが彩りを取り戻し煌めきを持ち始めていた。 まるではじめから淋しさなんて知らないみたいに それらすべてがどうしようもなく温かった。 棚に並べられただけの食器も 古びた扉の鳴き声でさえも僕には愛おしく感じた。 僕は窓の外の少し遠い海を見つめるきみが好きだった。 ある日春でも夏でもない季節に僕た

        詩_想い人

          自分との約束

          自分との約束。みなさんはありますか? 今日は詩でも小説でもなく 私の大切にしている心がけの一つをお話します。 私は自己紹介の記事でも触れていますが 自分に自信が持てない人間でした。 それは容姿だけではなく 自分の言動や行動どれ一つとっても  本当に正しいのかいつも自信がありませんでした 今思うとそれはとても危うく本当に脆い軸で 成り立っていたんだと思います。 誰かに決めてもらう方が楽だし 自分の望みがあったとしてもそれを口に出すことが 悪いことだと思っていました。

          自分との約束

          詩_あなたの心に棲みたい

          優しい音楽をきいて あなたを想い      雨の日にはどうしてるかなと想う      あなたの好きなものを見つけた時        美味しいものを食べた時        あなたに伝えたいと想う          綺麗な空をみて       思わず写真を撮るのはいつか         あなたにもと想うから       憂鬱な朝が温かく感じるのも       深い夜の星が瞬いてみえるのも             全部        あなたが私の心に棲んだか

          詩_あなたの心に棲みたい

          【短編小説】置いてきた記憶

          公園の街灯が灯りふと顔をあげる 頭の中とは裏腹にグラデーションされた 雲の隙間から覗く紫色の空の世界に 少し切なくなった 枯れた木々が揺れて冷たい風が頬をうちつける 取り残された葉が惨めに淋しくしがみついている まるで私のように。 携帯も持たずにでてしまった。 この街では17時を知らせる鐘が響く 子どもたちは大袈裟に手を振りながら 勢いよく自転車のスタンドを蹴り あっという間にいなくなった 賑やかだった公園が一気に鎮まる 錆びれたブランコの影が私の足元まで伸びていた

          【短編小説】置いてきた記憶

          【短編小説】ホワイトクリスマス

          温かい冬のはじまりだった。  窓際に飾られたコットンフラワーが斜陽に照らされ カーテンの影に見え隠れしているのが心地良い。 昼下がりまで眠っていた体をようやくベッドから起こす 床に転げ落ちた柄の違う靴下が拗ねている。 私はそれらを拾い矢継ぎ早に洗面台へ向かう。 冷たすぎる水の温度が外の気温を教えてくれる。 お決まりのメイクに一手間加え 赤とピンクベージュを重ね付けした唇は ふんわりと柔らかい印象になった お気に入りの洗い立てのシーツの香りがする 練り香水をほんの少し

          【短編小説】ホワイトクリスマス

          はじめまして。

               はじめまして、柊小夜といいます       “ひいらぎ さよ”とよみます。         本名ではありません。       本名にしてしまうとなんだか       私が私でいられなくなるような        なんとなくそんな気がして。        だけどありのままの私で          言葉を綴りたい。      人間って時に矛盾していますよね          私はいつもそう。    今だってほらチョコレートを頬張りながら         ニキビを気に

          はじめまして。

          祖母という人

                    私の大好きな祖母         幾度となく困難を乗り越え       あの柔らかい微笑みで幾度となく       私を抱きしめてくれたおばあちゃん        私がこの世で最も憧れる女性。       ステージ4の癌の宣告がされた時も      抗がん剤で髪の毛が抜け落ちた時でさえ      えくぼの際立つあの愛くるしい笑顔で         私たちを勇気づけてくれた     あなたが笑うだけでみんなが幸せだった        おばあちゃんはい

          祖母という人