見出し画像

詩_remember


眠れない夜に謳いましょう

愛ってなにかな

自分以外の誰かのことで頭がいっぱいになることかな

忘れた朝食の後片付けや閉めっぱなしのカーテンのことなんかどうでもいいと思えるほど

今頃どうしているだろうかと想う誰かが

心の中に棲んでいるということなのかもしれない

高くなった月の光の影が窓辺に差し込んで
眠れない夜に誰かを想いながらあの月に向かって
おやすみということなのかもしれない

枕元に呼ばれた文庫本がゆっくりと閉じていき
あの物語の主人公が私のいちばん好きな人に似ていて
淋しくなれる夜が、ほんの少し好きだったりすることなのかもしれない

手放そうとしてみたり、やっぱりそばに置いておきたくなったり。

曖昧さの中に愛が漂っているのかもしれないし

今はまだそれを愛だと思いたいだけなのかもしれない

触れると消えてしまいそうで
伸ばすと歪んでしまいそうで
望んでしまうと壊れてしまいそうで

愛は寂しさやこわさの中にひっそりと存在して
ちゃんと愛だよって言わないと分からないのかもしれない

歩幅は違うのに歩く速度は同じだったり
大きさは違うのに温度は同じだったり
涙を流したくなったり
愛してるって言いそびれたり、言えなかったり

今この瞬間がもう少しだけ続けばいいと思うことなのかもしれない

そういう瞬間がどれだけ人生にあるかどうか
なのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。

でもね

きっと愛だったよ。ちゃんとぜんぶ。

いつか遠くの方から聞こえてくる終電の音に
かき消されまいと肩まで背伸びした声も


明け方の月が薄く微笑んでいた夜のことも

ぜんぶ愛だったってまた謳えると思う

きっとこの先もずっと


あなただけをおぼえているよ

いつかの人生でずっと待っていてくれたあなたのことを


また思い出してみるよそれが愛だとおもうから


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?