遠くの他人と手元の本
子供の頃毎日はとても閉鎖的だった。辛い時周りに助けてくれる人はいなかったし、頼れる人もいなかった。そんな時私が頼り、逃げ込んだのは本だった。
といっても、非日常を感じさせるようなファンタジーや冒険物語に逃げ込んだのではない。そうではなく、特別なことは何も起こらないような、日常を淡々と書いているような小説、その小説の中に書かれた現実的な誰かの生活や日常に救われた。登場人物たちがお風呂に入ったり散歩をしたり、誰かとなんてことのない会話をしながら食事をしたり。そんな普通の、どこにで