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2024/08/21〜8/22

8月21日(水)

『原稿零枚日記』小川洋子

ほとんどの親はすぐさま、待ちきれない様子で迎えにやって来るのだが、今回ばかりは多少様子が違う。相撲部員が土俵下に立ち、いつでも引き渡せるよう態勢を整えているにもかかわらず、群衆の中にそれらしい姿は見当たらない。これまで味わったことのない間に、相撲部員はやや戸惑いを見せはじめる。
(中略)
この子だろうか?私の探している子は…

p191

縁もゆかりもない運動会を見に行くことを毎年の恒例にしてしまっているような語り手が、神社で泣き相撲の案内を見つけ嬉々として見に行く。
取り組みが終わった赤ん坊の親が、なかなか現れないのを見て、自分の子として引き取りそうになるシーン。
怖い。誰も引き取りにこない赤ん坊を持つ相撲部員がだんだんと不安になっていく描写も怖いし、「え?私の子にしちゃう…?」という心理になってくる描写も怖い。

絶対にそんなことありえないだけど、0.01%はあるんじゃないかっていう不安とか悲劇を想像して怖くなってしまうことがあるけど、これってなんなんだろう。
小説の読みすぎだろうか。心配性だろうか。
迷子の呼び出しとかよくあるけど、全然関係ない大人が引き取りにいって、子供がナチュラルにその人の手を取り、引き取られてしまうことってないんだろうか。
世界とか社会とか性善説の上に成り立ちすぎてて怖くなる時がある。




『道長ものがたり』山本淳子

今日から読み始めた。
「一条天皇の側近ながら道長の意を汲んだ働き者・藤原行成」という箇所を読んで、『光る君へ』で一条天皇と道長の間を行ったり来たりする行成が頭に浮かぶ。
俳優さんの顔が浮かぶから、人物の読み分けもできて、相関図や歴史の流れも頭に入りやすい。
人の顔って大事な情報なんだな。視覚的情報と合わせると記憶に残りやすいんだろうか。
でも今までは「実資」という文字を見ると『光る君へ』で実資役をやってるロバート秋山の顔が浮かんできたけど、最近は浮かばない。実資はただ実資になってきた。


8月22日(木)

『プライベート・スーパースター』ゆっきゅん

ずっとYouTubeで聴いていたゆっきゅんの新曲『プライベート・スーパースター』とちゃんと買って聞く。
いい。とても。
『日帰りで』の歌詞「なんか誰かのカラオケ履歴眺めてるいたいな人生だったのつまんなかったよ君と会うまで荷物が多い君と会うまで」を一曲の歌に拡大したみたいな歌。
『日帰りで』も『年一』も失恋だとか恋が背景にあって、そこから浮かび上がる友情の風景で、友情だけを友達だけもシンプルにストレートに描いた歌ってないのか!と思っていたので嬉しい。これは恋なんて混ざらない友情ストレート曲。

聴いているうちに、音楽番組のPR動画で不貞腐れた顔していたと炎上していたアイドルを思い出した。
アイドルだからって常ににこにこ笑顔じゃなくたっていいじゃないか。たまにはそんな顔したって、そんなふうに見えてしまう顔したっていいじゃないか。ずっとそうな顔してるわけじゃないんだから、いつも素敵なパフォーマンスを見せてくれているんだから、不貞腐れた顔も見せてくれたと喜ぶくらいの気持ちでいてよ。

ねえプライベート・スーパースター!
僕の前では頑張らないでくれ
神様みたいにさせないよ 機嫌悪いのに踊ろうよ
プライベート・スーパースター!
顔色よく生きてくれ
どんな日を許して強くなったの
わかったよ 君が笑っていたから

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