おふとんがもたらす幸せ

 いつも夜ふかしばかりしているので、「ちゃんと寝てますか?」と心配されることがよくある。まあたまには3時間くらいの時もあるけど、基本的にはちゃんと寝ている。

 ごっさロングスリーパーで、ちゃんと寝ないと「眠い」で頭がいっぱいになってポンコツ度が増す。そんな性質に気付いたのはここ数年くらいだ。睡眠不足×過密スケジュール×精神的負担コンボが出来上がると、目の角膜に住み着いているヘルペスが暴れ出す。

 自覚はないが、どうやらわたしは頑張り屋の類のようだ。頭や心では「まだまだ努力が足りないな」「もっともっとやりたいな」と思うのだけど、身体が精神的なストレスや疲労に敏感なせいで、身体に不調が出ることで「あ、わたしストレス溜まってたんか」と気付くことがよくある。

 そんなこんだでよく寝るくせに、とにかく寝つきが悪くて、眠るのが苦手だ。しょっちゅう昼寝もするくせに、寝るのが怖い。だからいつも「寝落ち待ち」をしている。そんなんだから眠りも浅い。ロングスリーパーのわりにいい睡眠はしていないと思う。うつ伏せでないと寝られへんし、歯ぎしりアグレッシヴやし。

 2014年に現在の家に引っ越して、寝室が和室になった。それを機に12歳の頃から使ってたベッドを処分した。それから畳の上に布団を敷いて寝ている。畳はベッドよりも安定感があって、畳んでしまえば部屋も広い。なによりめっちゃいい環境で寝られるところが最高だ。

 わたしは朝起きたらトイレに行って、うがいをして、そのあと布団を畳む。大きく腕を広げて、前屈して、屈伸して、腕を高く上げて――と、布団を畳んで押し入れに直すという行為は、軽い体操と似ている。おまけにたったこれだけで「なんかちゃんとした生活をしている」ような気持ちになれて、メンタル的にも健康感アップである。

 ただ布団だと、寝たいと思った時にすぐ寝られない。おまけに布団を敷くのは面倒くさい。だが、ぴんと張ったシーツ、敷布団の端から端までを包み込む掛け布団にしゅるりと入り込む瞬間は、その面倒くささがすべてどうでもよくなるほど本当に本当に至福のひとときだ。

 掛け布団と敷き布団が、吸い付くようにわたしの身体にフィットする。この包容力、とっても大事にされている、愛されているような気持ちになる……。抜群の温度の湯船と同等の快楽である。万年床のように、ぐしゃぐしゃのシーツや掛け布団ではこうはいかない。

 これだけでもかなり癒しの効果がある。ベッドの方々もぜひ朝起きたときにお布団やシーツを整えてほしい。おふとんに入った瞬間の解感度が全然違う。

 畳に布団の利点として、ベッド以上にシーツの交換やカバーの洗濯、布団を干すなどのフットワークが軽くなる傾向にある。「シーツ新しくしたから今日布団に入る瞬間はめちゃくちゃ気持ちいいだろうな……」と昼からにやにやする。期待通りめちゃくちゃ気持ちがいい。本当に心の底から「幸せ……」と恍惚とする。

 高価なオーダーメイド枕は買えないけど、毎日布団を畳んで敷くだけでこんなに幸せな気持ちになれるのはありがたい。でもオーダーメイド枕は全力で欲しい。まじで。まじで欲しい。欲しい欲しい欲しい。

 畳の民も、ベッドの民も、おうちで過ごす時間が多い今日この頃。睡眠環境が少し良くなるだけで心の満足度も上がるし、身体の疲れも普段以上に取れる。自分のために毎日寝具を整えて、清々しい気持ちで1日を終わらせて、明日につなげてみてはいかがだろうか。


この記事が参加している募集

#おうち時間を工夫で楽しく

95,463件

最後までお読みいただきありがとうございます。