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(感想)優しさは流れ続けている

(以下、筆者Xより転記)

映画『違国日記』鑑賞。原作未読なので多分、と付けるが、原作の大事な要素をきちんとすくい上げて再構築されているのだろうと思った。どういうことになっているのだ、と思う部分もあるのだけど、そこに時間をかけないで、他の場面に使ったこの形でいいのではないかと。

高校生の朝の生活にはキラキラしたところもあり、眩しさもあるのだけど、そう思えるのは、キラキラの元というか、その背後にぼんやりとした優しい大きな灯りのようなものがあるからなのではないだろうか。そこにある優しさは決して押しつけがましくなく、ただその場所から見守っている。

似たような立ち位置にあるからかもしれないが、槙生の言葉にぐっとくることが多かった。私も槙生のように立てていたらいいのに。でも多分、何度も転んで立ち上がって、今の槙生になれているのだ。と、背後を想像できる。

朝のクラスメイト、えみりと千世のエピソードにも、皆、単純化できない日々にそれぞれの生き方で向かい合って、生きているのだと思わされた。

日常にずっとその優しさは流れ続けていて、ふとした特別の瞬間にその優しさの美しさがぱっときらめいて、あっと思う。綺麗だったということはそれぞれの感覚で捉えていて、それぞれが自分の思いたいように大事に思っている。そんな映画だと思った。


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