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劇評

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主に石川県金沢市での、演劇・ダンスの観劇記録です。
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2018年7月の記事一覧

(劇評)普通の人々の普通の弱さ

(劇評)普通の人々の普通の弱さ

110SHOW++『ジュリーがライバル』の劇評です。
2018年7月27日(金)19:30 金沢市民芸術村 ドラマ工房

 ジュリーみたいなアイドルになりたいと願う女性が、この物語の発端ではある。だが、『ジュリーがライバル』(作:小山功治朗、演出:高田伸一)は、彼女がアイドルを目指して四苦八苦するような話ではない。彼女の突然のアイドル志望宣言によって揺れる家族の話である。

 客席から見てダイヤ型

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(劇評)わくわくする気持ちが

(劇評)わくわくする気持ちが



 会場に入ると、女子の心をときめかせる空間があった。5つの小さな店舗が並ぶ。花(NOTE)、パン、お菓子(金沢小町)、服、布製品(山﨑菜穂子)、アクセサリー、紙製品(つぶ100%)、ドレス(lecture de minuit)。それらが素敵にディスプレイされて、それぞれに魅力を放っている。そこは「いまるまる商店街」。椅子に荷物を置いて、お店を見て周る。塩パンとハーブティーを早速買い求め、食べな

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(劇評)自己紹介は難しいけれど

(劇評)自己紹介は難しいけれど

(劇評)自己紹介は難しいけれど
LIRY Project 01 in KANAZAWA『4xPersonne』の劇評です。
2018年7月21日(土)14:00 金沢21世紀美術館 シアター21

 自己紹介は難しい。新年度などに見知らぬ人達の前で、自分というものを数分で説明せねばならないのが、いわゆる自己紹介だろう。私はこういうものですと、人前に差し出せる「私」は、どうあがいても私の一部分でしか

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(劇評)もし純愛があるのならば

(劇評)もし純愛があるのならば

Noism1×SPAC 劇的舞踊 vol.4『ROMEO&JULIETS』の劇評です。
2018年7月14日(土)17:00 オーバード・ホール

 Noism1×SPAC 劇的舞踊 vol.4『ROMEO&JULIETS』は、演劇でもあり舞踊でもある。俳優と舞踊家が入り交じり、その世界を織りなしていく。状況の説明は最小限に留められ、役者達の対話は少なく、舞踊が多くを占める。シェイクスピアの『ロミ

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