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SXSW2022速報!クリエイターエコノミーの未来?NFTでキャリア支援する世界作り

現在テキサスのAustinに在住しており、2年ぶりに開催されたSXSW2022に参加したので、まずは速報です!

本記事では、特に印象に残ったPorsche UnseenというNFTとスポーツ界をまたいだ展示のリポートをします!(SXSW2022も残りわずかですが、参加しての発見など、随時他のトピックについてもレポートできればと思います。もし、特定トピックについて知りたいなどのご要望がありましたら、ぜひコメントください!)

Porsche Unseenの展示で初めて一般公開された車たち

Porsche Unseen

では早速ですが、SXSW2022で特に個人的に印象深かったPorsche Unseenについてです。Porscheが協賛した展示の一つであったのですが、カーレースの資金調達にNFTを活用するというプロジェクトの紹介セッションでした。

プロジェクトの背景

このプロジェクトの背景としては、レーシングカードライバーの夢を追いかけようとする女性ドライバー、ローラの話から始まります。彼女の父も元レーシングドライバーであるものの、娘にとってレースは危険すぎるとして、ドライバーとしての夢を応援することはなく、彼女自らドライバーになるための道を模索してきたそうです。

レースカードライバー Laura Marrie Geissler

性別という“壁”

その中で、一流レーサーと認められるためにあった一番大きな壁が、女性であることと語りました。 レースをするためには巨大な金額がかかるため、欠かせない存在の一つがスポンサーですが、ローラがスポンサーを探す中、ラップタイムが速いドライバーとしてではなく、ローラが女性であることを中心に興味を示すスポンサーしかいないことを苦痛に感じたと語っていました。

他の男性レーサーに対して、ラップタイムを向上するためにトレーニングやコーチングに時間やお金を賭けて支援するスポンサーが、ローラに対してはモデルとしての写真撮影などを推し、ドライバーとしてのスキルアップより彼女の外見に興味を持っていたことなどで、自分が本来持っているドライバーのキャリアとの食い違いを不快に感じていたと語ります。

レース直後のローラ

このストーリーを元に、ローラをはじめとする、特定のスポンサーに頼らずアスリートを支援・維持するためのNFTプロジェクトが立ち上げられました。

アスリートを支援するNFTプロジェクト

ヨーロッパを拠点とするデザイン会社のAmsterdam Berlinを始め、名車The Porsche917/20 "ピンクピッグ "を参考に、NFTのレーシングカーがデザインされました。(SXSW2022のこのセッションで初めて一般公開されたものです。)

1970年代にエアロダイナミックさを増すために作られた長いボディーと大きめの前方がその時Porsche デザイナーであった Anatole Lapineが豚に似ているとのことで命名されたピンクピッグ

ピンクピッグというニックネームがあるように、元々のデザインは豚のパーツを示す線が特徴的ですが、この場合、ローラが常に "女性 "として客観視されていることを指摘するために、線は手術の線を表すようにデザインされたものです。

Amsterdam Berlin がローラのためにデザインした歴史代初のNFTレースカー。SXSW2022で初めて一般公開された(3/20/2022にNFTがUnblockedプラットフォーム上で発売予定)

この皮肉、かつ見事なNFT車を中心に、3月20日にUnblockedのプラットフォームを通して、Auctionとして発売予定をされています。

仕組みとしては、このNFTレースカーをオークションで買った人の名前が、これから製造されデザインされる実物のレースカーのボディーにのり、大いなるスポンサーとして認識されるような仕組みになってます。

NFTプラットフォーム「Unblocked」

NFTプラットフォームの「Unblocked」ですが、設立当初からインディペンデントアーティストを支援することを中心に、NFTを利用してファン同士のコミュニティ強化や関係性を作り出すことに特化しています。

また、NFTが売り切りで終わらずに、RewardがRedeemできたり、CommunityにJoinできるというユーティリティがちゃんとセットになっていることを意識している会社です。

TikTokを米国に広めた中心人物の一人である、Harrison Wang氏がUnblockedの創業者兼CEOであることもあり、テクノロジーを使って社会的インパクトを残すことを目標としているのが、セッションを通して伝わってきました。またLinkin ParkのDJであるJoe Hahnもこのチームの一員として参画しており、このプロジェクトがローラのケースにとどまらず、ムーブメントを起こすことができればと述べていました。スポンサーやお金が夢を阻んでいるケースが多々ある現代への足がかりになるようなムーブメントを始めたいというメッセージをとても強く感じたセッションでした。

左から順にホストのMichelle、隣にドライバーのLaura、UnblockedのCEO Harrison Wang、Linkin ParkのDJ Joe Hahn、Amsterdam BerlinのCEO Moritz Grub、ホストのMark

ただしムーブメントとして成功するには一般の人を巻き込むことが重要となる一方で、NFTの購入のハードルがとても高いのが現状です。今では、OpeanseaでNFTを買いたい場合、MetamaskなどのNFTウォレットを作り、ETHなどのクリプト通貨を買ってから、そのウォレットに移して初めてOpenseaでNFTを購入できるようになると、初回の人だと平均で45分から一時間かかるような作業です。

この課題をUnblockedはプロジェクトの初期段階から認識しており、一般の人でも気軽にNFTでサポートできるプラットフォームを作りました。なので、UnblockedでNFTを買う場合、ECで物を買うように、クレジットカード情報を出すだけでNFTが買えるというスムーズなUXを提供しています。(追ってUnblockedのプラットフォームについての記事を書こうと思います!)


ローラのInstagramより

NFTが今ではバズワードとなり、NFTの価値や活用方法が色々と試される中、ローラとUnblockedが目指すようなNFTでキャリアにかかる資金を供給し、アスリートが主権を持ってキャリアを描いていけるような仕組みは、将来的にあった方が良い、というよりは「目指さなくてはいけないもの」なのではと個人的には思いました。

今までは社会的な地位的などによって、チャレンジすることさえ難しかった人々が様々なスポーツに進出できることで、今後のスポーツ界がどのような展開になっていくのかは、まさに楽しみなものです。

アーティストまたはアスリートが持っている可能性を広げる、その支援をファンがまさに直接的に関与できる仕組み(Decentralized Sponsorship Ecosystem:分散型スポンサーシップエコシステム)の構築が、NFTを通して実現されると、まさに今波に乗っているクリエイターエコノミーの先にある将来なのではないでしょうか。


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