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【1989年100日旅】31日目。モスクワ

1989年5月6日。この日は旅の31日目。父の元同僚のロシア人バレーバさんの家へ。この方は日本にいた時に我が家にも遊びに来たことがあったので、再会がうれしかった。若いと思っていたのに、私の1歳下の孫がいた。こざっぱりとしたアパートで、たくさんの本がきちんと整頓されていてすてきだった。

孫はユーラちゃんという名前だった。背が高く色白でほっそりしていて、薄い栗色の髪をおかっぱにしたかわいい子。一緒に遊ぼうとしたのだけれど、ユーラちゃんはオートロックの外に私たちきょうだいを誘い出しておきながら、ドアを急いで閉めてしまったり、飼い猫を消火器入れに押し込めたり。

猫も私たちもロシア語ができないから、閉め出されても抗議できない。ユーラちゃんは表情も変えずに意地悪を繰り返す。閉口してユーラちゃんと遊ぶのは諦め、きょうだいだけで遊び始めたら、しれっと仲間に入ってきていっしょ遊んだ。その後、ユーラちゃんはその3月に父を亡くしたばかりで、気が塞いでいるのだと知った。

そんな感じの31日目。旅は残り69日。

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