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お洋服を作ってもらったら人生が明るくなった話(1/3) 服を着るのが娯楽になった

今年から、服はできるだけクチュリエ(お針子)さんに作ってもらうことにしました。きっかけは、去年買ったオールインワン。あまりにも快適で、2、3着ほしかったのだけれど、お店にはもう在庫がなく、ブランドに問い合わせてもお返事すらこなかったのです(フランスあるある、かもしれない)。

そのオールインワンは劇的に似合っていました。よく行くモンペリエのセレクトショップで珍しく「これは!」と思って試着したら、いつも無愛想な店員さんが「すごい!」と息を飲み、私の試着姿を見て他のお客さんが2人、バッと同じものを手にとったぐらい。大袈裟みたいだけど、本当の話。何回か着ているうちに似合う理由がわかりました。カクシュールの胸元といい、ウエスト切り替えの位置といい、パンツ部分の太さといい、浴衣っぽいんですよ。

私はもともと「こういう服が着たい」という気持ちが強くて、かなり具体的に思い浮かべて探しに行くので、服を買うのに時間がかかります。並べられた服から気楽にピックアップして「あら、似合うわね」ってコーディネートする楽しさよりも、自分に合う、好きな色と形を着る楽しさを優先したいタイプ。紺の服が着たいけれど、黒しかないから黒でいいやって妥協することは絶対にしない。それだったら古い服のままでいいやって思っちゃう。

好きな服を見つけたら、そればっかり着てしまいます。でも高頻度で着ると服は痛むんですよね。だからこのオールインワンをもっとほしいと思ったのです。でも買えなかった。であれば、夏に間に合うよつに作るっきゃない!!

…と思って、クチュリエさんを探しました。だって、洋服作るのは大変。高校と大学のときにワンピースやスカートやチャイナドレスを作ったことがあるけれど、まず、まっすぐに縫うのが私には難しいのです。なんか曲がってしまう。そうすると、その部分がぽこりと変な具合に出っ張ってしまったりします。服というものは、糸一本にめちゃくちゃ影響されるんですよね。私が作ると着られる服にはなるかもしれないけれど、着たい服にはならないのはわかっていました。

実はモンペリエで、クチュリエさんにはすでに何人も出会っていた。モロッコ人の人が3人、アルメニア人のデザイナーでクチュリエの子が1人。おまけにコロナの時には隣家のマダムが元クチュリエだと言いながら、おしゃれマスクを作ってくれたりもしました。でも、フランス語でお願いするだと、私の語学力的に仕上がりが心配だなー。相手もほぼ語学学校での出会いだし。そう思って探したら、知り合いにいらっしゃった。しかも、HANAE MORIやCOMME des GARÇONSでパタンナーさんたちに混じってお仕事をなさったり、パリでウェディングドレスをつくったりしていらした、日本人の方。すごい。

これは頼むでしょう、と思ってお願いしたら、もう本当にほれぼれとする縫製のすばらしさでね。縫製がいいと、洗って乾かした段階でこんなに違うんだと、日々びっくりしています。

(余談ですが、お店でお洋服を買う際にも、縫製は見た方がいいです。裏側やポケットの中の縫製のきれいさや、十字に縫い合わせられるべきところがちゃんと合っているか、パイピングがきちんとまっすぐ縫われているかなどを見ることをお勧めします。同じデザインの同じサイズでも、複数のクチュリエさんが縫っていて、品質にばらつきがあることもあります。上手に縫えているものを選ぶと着心地が良く、持ちがいいはずです。)

自分で布の素材や織り方、色、厚さを選んで作ってもらっているし、体に合わせてちょっと変えてもらったオーダーだから、サイズもピッタリで最高。

味噌を仕込めば味噌を食べるのが娯楽になるし、服を作ってもらえば服を着るのが娯楽になるもんだなーと実感しています。着る時に毎回感心しちゃう。自分で作って貰えば、人道的に問題のある作られ方をした素材を避けることもできるし、作り手さんを酷い目に合わせていない確信が持てるのも最高。服が、服以上の存在になった感じ。「私は、ちゃんとした服を着てるんだからね!」みたいな、強い心が持てて、人生が明るくなる気がします。

以前に「エシカルファッションには興味があるけれど、在庫を破棄したくないから受注生産で2ヶ月待ちだといわれて、私は待てないと思った」という声を聞いたのだけれど、単に待っているだけならそうかもしれない。でも、布を調べて探して自分で発注してクチュリエさんに縫製をお願いすると、待っている期間はわくわくしかありません。直接お願いするなら縫製は2ヶ月も待たないし。欧州にお住まいなら私のお願いしているクチュリエのレイカさん(このかた)、日本にお住まいならnutteでお針子さんを探せます。おすすめ。

(3回連続の投稿の1つめ。明日は2つめで、具体的なオーダー方法を説明します。)


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