作品と商品の違い、作家としての落とし所

自分の書いてる小説が作品なのか商品なのか、というのは小説でお金を稼ぐ上で意識しておきたいところです。

作品というのは、作者のこだわりを伝えるものです。商品というのは、顧客のニーズに応えるものです。

小説で言うと、作品は作者の書きたいもの、商品は読者の読みたいものです。

「売れたいなら流行のものを」というのは誰しも思いつくことだと思いますが、変にプライドがあってやりたくないとか、俺は自分の書きたいものを書いて売れたいんだとか、つい考えてしまいますよね。私もそうです。

そもそも流行のものをちゃんと面白く書くためには力がいります。好きなものだから書けているのを、流行だからと好きでもないものを書いても、面白いものが書けるのはよっぽど力のある人だけです。読者にもそういうのは伝わる可能性があります。

私が言いたいのは、自分が作品を書いているのか商品を書いているのかをしっかり意識した方がすっきりするよ、ということです。

作品なら、中途半端にウケを狙わずこだわり抜いた方がいいものが生まれます。そういうものにはニッチでも力が宿るので、熱心なファンを獲得できる可能性があります。

商品なら、徹底的に読者の期待に応えます。読者にいかに面白いと思ってもらうか、官能小説ならいかにエロいと思ってもらうか、抜いてもらえるか。流行りのものをやるなら商品だと割り切ってクオリティを高めるべきです。

商品をつくる話をすると、「そんなのは作家じゃない」と思う方もいるでしょう。ですが作品を売るというのは本質的に難しいことなのです。

作品というのは芸術です。芸術家が稼ぐ一番の方法は、作品を売る事ではなくスポンサーをつけることです。作品というのは、そもそも売れないのです。

その上でいちばん自分が納得できる落とし所を見つけるべきです。

私の場合だと、商品として読者のニーズに応えた上で(得意で看板の性癖を高クオリティで書く)、その縛りの中で書きたいことを書いています。書きたいことをいかに読者にとっても面白い(エロい)風に描くか、というスタンスもいいですね。

自分が今回力を入れるのが作品(書きたい)としてなのか、商品(読まれたい)としてなのか、あるいは間をとるのかをはっきりさせることで、クオリティを上げていきましょう。

ここから先は

0字
あなたのえっちな妄想を文章にしてみませんか?

小夜夏ロニ子が官能小説を書くときに考えていること。 ひとりでも多くの方に頭の中のエロい妄想を文章にしてもらって、官能小説を書いてみる楽しさ…

いただいたサポートでえっちな作品を購入し、私の小説をよりえっちにします。