作家の心の安定について

小説を書いているからには一度は夢見る「作家」という職業ですが、小説だけで食べていけなくても「1円でも稼いだら作家」だと私は思っています。

なぜなら有料作品を1作でも出したらもう、読者にプロ作家と作品を比べられるからです。比べるのは読者なので、どれだけ自信がなかろうが止めることはできません。1円しか稼いでいないからといって、もちろん他の作家に手加減などはしてもらえません。宮部みゆきや池井戸潤と比べられる世界なのです。

その上で、自らが果たして作家と言えるのか不安になることはままあります。専業で食べていけている作家は日本に数百名しかいないので、「自分は小説だけで食べていけていないから作家じゃないんだ……」なんて思うのはもはや贅沢なのでやめた方がいいのですが、そうは言ってもどうやってこの不安を乗り切ればいいのでしょうか。

自らを作家として証明できる証拠というのは二つあり、それは売上と賞です。

同人でいうと、何部売れたか。賞というのは出版社の賞や、広い意味でいえば小説投稿サイトのサインキング1位になりました、とかもそうです。

小説の販売をする前だと、投稿サイトのランキングというのは非常に気になるものです。入賞すればうれしいし、人気作家のような気分になれます。私も最初の頃はかなり気にしていました。ですが、心の安定という意味では、作家としての証をランキングに求めるのはあまりおすすめできません。毎回次の作品がランキングに入るとは限らないからです。

個人的な体験としては、小説を売るようになってからランキングなどの評価が一切気にならなくなりました。ネットで無料で見れるコンテンツについたいいねやブックマークより、お金を払ってでも読みたいと買ってくれた人が1人でもいるという事実の方がはるかに認められた気持ちになったからです。しかも売れたという事実はこの先一生変わりません。なので私は「私の小説をお金を払ってでも読みたいと思ってくれた人がいる」という事実に自分が作家であることの肯定感を見出しています。
要するに、いいねやブックマークやポイントなどに肯定感を見出すと続かないよ、ということなのです。これらは売上と違って、毎作品ハードルが上がってしまうのです。1つでもいいねがついたら嬉しかった、そんな気持ちをどんどん忘れていってしまう傾向があります。無料のものに対する無料の評価に基準を置くことの危険性がここにあります。だから売上をベースにした方がいいと考えています。

「1円でも稼いだら作家である」。自分が作家だなんてそんな……なんてのは何の役にも立たない謙遜です。そんなことを思っている暇があったら新作を書いてください。もう作家になってしまったのだと自覚して、いかに良いものを書き続けるかというフェーズに早く入ってください。割り切ってプロと戦うしかないのです。

そうは言っても、ランキングに毎回心を乱されるところから卒業できるという良さが有料販売にはあります。そこがかなり心の安定にとって大きいので、まずは1作売ってみることをおすすめします。想像以上に売れないことは覚悟して欲しいのですが、それでも1本でも売れたときの喜びは小説投稿サイトのランキングでは味わえなかったものです。ぜひ味わってみてください。

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