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4、5年に一度しか本を読まない男のここ一か月くらいで読んだ本の感想

いつもはゲームのまとめ記事くらいしか書いていないのでたまには趣向を変えた記事を投稿しようというわけで。

今月(2021年08月)は足を痛めてまともに歩けなくなり、さらにワクチン打ったり歯医者にも用事があったりと医者に行くことが多々あって、ゲームをする気力もわかなかった。

そこで私は本当に4、5年に1冊くらいしか本を読まないので、たまには読書でもするかと思い先月末から過ごしてきた。

日本人が平均してどれくらい本を読むのかは知らないが、うちの家族は私が生まれてから今まで本を読んでいる姿を見た記憶がほぼないので、一般的にはそんなに読まないんではないかと勝手に思っている。

せっかくnoteやってるんだしここで一言感想でもまとめて、なんか私の好きそうな本があったら誰でもいいから教えてくださいという念も込めて書いておこう。

ちなみに純粋な漫画と雑誌は除外している(適宜漫画が挿入されているとかはある)し、小説はそもそも読んでいないので悪しからず。


応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱 (中公新書) 呉座勇一 

たぶん日本で真面目に授業を聞いてた人のほとんどが、名前は知っているが内容は全然わからない歴史的な出来事の代表こと応仁の乱を丁寧に史料と照らし合わせて紐解いてゆく新書。
歴史エンタメや歴史雑学みたいなのではなく、きちんとした一般向けの歴史書なのにかなり売れていたので気になって数年前に買ったが、難しすぎて序盤で積んでいたのを再チャレンジ。
便利な時代で、事前にYouTubeやらネットやらで流れだけでもと頭に入れておいたので、序盤の大量に知らない名前が出てくるところを超えたらスラスラと読めてとても興味深かった。
ただし、私も含めて本当に応仁の乱について学校で習ったことすらきちんと言えないようなレベルだと初学としてはやや難しいかもしれない。
人物名が最後に索引として並んでいるので、この先この時代の本を読んだときに、事典のように引くのにも便利そうだなと個人的には思ってる。
「応仁の乱が結局何だったのか分からないということが分かる」ので、かなりおすすめです。


言語学入門―これから始める人のための入門書 (研究社) 佐久間淳一、町田健、加藤重広

数年前に興味があって誕生日に貰ったものの、そのときはいまいち読む気になれずに積んでしまった本。
大学生の初学者向けに書かれているのでかなり読みやすく、言語学というものについて色々な分野から広く浅く取り扱っていて入門書としてかなり良かった。
ただ、全体的に講義ありきの書き方のような感じで、この本に書かれていることだけでは分からないところもあったので、適宜調べながら読む必要があった。
最後に言語学に興味を持った人向けにおすすめの本が載っているのもとても良かった。


鳥肉以上、鳥学未満。 (岩波書店) 川上和人 

我々に取って一番身近な鳥であるニワトリを中心に、鶏肉の部位ごとに鳥類の生態的な特徴などをコミカルにユーモアたっぷりな文章で記した本。
読みやすい文体だけでなく、鶏肉の骨や肉一つ一つにこんな生物学的特徴があるんだと、次々と興味をそそられる内容ばかりで、とても読みやすい本であった。 
鶏肉はよく食べるので最近はよく観察しながら食べている。
あと意外とニワトリが鳥類全体の特徴を捉えるには不向きだということも面白かった。


拷問するなら、されるなら (メディアファクトリー) 高平鳴海

いつ買ったか記憶がない、いつの間にか家にあった本。
こんな本をいつの間にか買っていたのが恐ろしすぎる。
と言っても内容は世界各国、様々な時代の色々な拷問を載せているエンタメ本で、軽く読む本としてはすらすら読めてとても良かった。
それにしてもこんな時代に生まれなくて良かったものだ。


面白くて眠れなくなる数学 (PHP研究所) 桜井進

典型的な理数系学問ができなくて文系に進んだ私だが、具体的な計算やらなんやらは別として単純に数学なんかの話は(理解できる範囲なら)好きなので、優しそうなこの本を読んでみた。
想定通りとても読みやすくて、トリビア的な数学の知識を提供してくれる本だった。
細かいところまでは説明していないが、されても分からないのでとても平易な文章で助かったし分かりやすかった。
無限に大小があるなんて話はとても面白かった。


哲学的な何か、あと科学とか (二見書房) 飲茶

科学の転換点になった理論などを紹介したあと、哲学的な視点からそれを見たり説明したりする本。
色んな学問に通じる哲学ではあるが、本当に哲学はやればやるほどもう何をしているのか理解できなくなる深淵を感じて、面白さと恐怖を同時に感じる何とも言えない気持ちになる。
科学にせよ哲学にせよ、テーマが結構頭を使うものだったので理解するのには中々苦労したが、文章自体はかなりフランクで簡単に書かれているので読みやすかった。


植物はすごい - 生き残りをかけたしくみと工夫 (中公新書) 田中修

植物の生態の色々なすごさを具体例を挙げながら紹介している新書。
新書の割にはかなり平易な内容で、植物学の本というよりは日常の植物の豆知識みたいなことを書いている本だったので、詳しくない私には理解しやすくてとても良かった。


飛鳥―水の王朝 (中公新書) 千田稔

飛鳥時代の飛鳥周辺を史料や古墳、遺跡を元に、特に「水」に焦点を当ててどんなものだったか記述している歴史本。
時代が時代なので当たり前だが、想像していたよりも考古学的な内容がかなり多く、また2001年に書かれたということを差し引いても現状分かっていないことが多過ぎて、全体的にあまり理解できなかったというのが正直なところ。
タイトルの「水の王朝」も個人的にはやや大袈裟な題に感じた。
おそらくきちんとこの時代に詳しい人が読んだら楽しめるだろうが、私はまだまだそのレベルまでは達していなかった。


日本史の内幕 - 戦国女性の素顔から幕末・近代の謎まで (中公新書) 磯田道史

テレビや色んなメディアで露出の多い磯田先生の本なら、一般人でも読みやすいかも?と思い買ってみたところ、想像通りすらすら読める本でとても良かった。
内容は短めの新聞や雑誌などのコラムを再編集したもので、「史料マニア」の著者らしく古書店で出会った史料から分かった小ネタを色々と書いてあって、文字通り史実に基づいた色々な小話が聞ける内容であった。


教養としての「地政学」入門 (日経BP) 出口治明

今年(2021年)の本も欲しいものリストに入れておくかと以前適当に入れておいたら、まさかのフォロワーがプレゼントしてくれた本。
最初思ったより厚くて若干躊躇したが、せっかく頂いたものだし早速読むかと読んだら、結構面白くてさっさと読めてしまった。
内容自体は世界史(主にヨーロッパ)を軽く通して見ながら、国や民族同士の位置関係からどういう政治が行われたとか、どういう戦争が起きたとかを説明した本。
残念だったのが、「地政学入門」というよりは「世界史の一部おさらい(若干地政学寄り)」のような内容で、これ単体ではいまいち地政学というものは説明されていなかったように感じたところか。
また、現代史は20世紀に入ったあたりから突然大雑把になってしまい殆ど解説がなかった点や、日本の今後の話についても、それまでの解説からするとかなり私的な考えで書かれているように感じた点は、個人的には気になるところであった。
ただ読みやすい本ではあったので、概ね満足はしている。


辞書を編む (光文社新書) 飯間浩明

『サンコク』こと『三省堂国語辞典』の辞書編纂者の著者が、辞書の改訂に当たってどんなことを考えながら、どんなことをしたか赤裸々に書いた本。
私的には今月読んだ本の中では一番「楽しく」読めた本で、そもそも辞書の編纂とは具体的にどんなことをしているかや、著者が用例採集(日常生活でどんな言葉が使われてるかを採集する作業)で実際に音楽を聴いたり、怪しまれないように看板や値札などの写真を撮ったりなど、人知れずとても苦労してるところが見えてきて、ひとつの物語を読んでいるようであった。
また同じ国語辞典でもそれぞれ性質が違い、『サンコク』が「今現実に使われているか」や「中学生から大人までが読んでも理解できる」などといった方針で作られているなど、興味深いことが多く書かれていてかなり楽しめた本だった。
おすすめです。


日本語の教室 (岩波新書) 大野晋

質疑応答形式で日本語の仕組みを紐解いてゆく本。
ただし質問の答えにかなり著者の主張が強く反映されていて、もちろんそれ自体は本として当然のことなので何も問題はないが、晩年に書かれたということもあってか、かなり著者自身の主説である「日本語の起源はタミル語説」に無理矢理繋げている節が多く見られた。
「日本語の起源はタミル語」という説は聞いたことがあるし、この本を読むと自身の研究だけあってかなり説得力があるように感じるが、この説にはかなり批判的な意見が多く、現在でも全く主流ではないということも以前見たこともあるので、どうしても書いてある内容に懐疑的になってしまって、個人的にはいまいち読みにくくなってしまった。
当然私は言語学者ではないし、上の説が正しいか間違っているかなどは到底分かるわけはないのだが、「あまり詳しくない分野の本は鵜呑みにしてしまいがちだから気を付けなくては」と自戒の念を込めて言いたかっただけである。(しつこいようだが上の説が絶対間違っていると言いたいわけではない)
と書くと悪い本のように聞こえてしまうかもしれないが、本自体は読みやすくてサクッと読めるので、日本語についての話が読みたい人にはおすすめできます。


ことばと文化 (岩波新書) 鈴木孝夫

言葉というのは文化を切り取ったもので、違う言葉が使われているということは、違う文化=違う視点で物事を認識しているということを説明した本。
主に日本語と英語の比較をしつつ、日本語というのがかなり範囲の広い曖昧な言葉を使う言語で、それに比べると英語、ドイツ語などはかなり限定的な狭い範囲の事物を表す言葉を持った言語であるなど、具体例を用いながら日本とその他の言語の国の文化の違いを分かりやすく説明していて、興味深い本であった。
ただ初版が1973年とやや古いので、出てくる話や例え話がやや古いのが少々読んでいて引っ掛かってしまった。(逆に言えば今と感覚が違うなと楽しむこともできた)。


日本語と外国語 (岩波新書) 鈴木孝夫

一つ上と同じ著者の本で、こちらの方が後年に出版されたので、内容的にも繋がりがある(あとがきでも上記の『ことばと文化』も理解の助けになると述べている)。
こちらは序盤では「色」や「虹」を言語毎にどう捉えるか説明していて、例えば「orange」は本当に日本で言う「オレンジ色」か?などの分かりやすく興味を引く内容で述べている。
後半はイギリスと日本の文化を言語の比較をしながら違いを洗い出していて、特に漢字というものが日本語においてどれだけ重要な役割をしているかを説明していて、これまた個人的にはかなり興味をそそられる内容だった。 
こちらは初版が1990年なので『ことばと文化』ほど古くはないが、それでも今の感覚で言うと古いと感じる例えがあるところなどは若干時代を感じた。


日本語が見えると英語も見える―新英語教育論 (中公新書) 荒木博之

日本人が何故英語ができないかを、日本の英語教育の批判をしつつ、日本語と英語の仕組みを比べて述べている本。
最初は「さらさら」「ふわふわ」などのオノマトペをどう訳すかの話を中心に、日本語と英語の違いを鮮明にしていく。
そのあとはもう少し広い視野で日本語と英語の主に意味的な違いを説明していき、面白かったのが「中間日本語」という概念で、英語を日本語に翻訳するときは、英語と日本語の単語の取る意味の範囲の広さの違いを「中間日本語」で一旦まとめてから、訳しましょうといったところが非常に興味深かった。


外国語としての日本語その教え方・学び方 (講談社現代新書) 佐々木瑞枝

日本語を非母語話者に教えるときに気を付けることや、日本語独自の考え方を主に説明している本。
日本人が中学校の国語で習う文法とは全く違う文法で説明したり、日本語の発音のどこが非ネイティブには難しいかなど、普通に日本語を使っている身としては中々気づくことが出来ないところをたくさん書いており、日本語というものの理解を一言語として見直すことが出来てとても良かった。


言語学の教室 哲学者と学ぶ認知言語学 (中公新書) 野矢茂樹、西村義樹

言語哲学者が認知言語学者に認知言語学とはなんぞや?と対話形式で述べている本。
基本的には生成文法との違いや、意味論や語用論的な話を中心に展開していくが、分野は違えどお互いが言語の専門家であるので、形式上は対談形式の授業のようになってはいるが、内容が私には難しくて理解するのに何度もページを行ったり来たりしながら読んでしまった。
正直内容の半分も理解できているか怪しいところだが、個人的にも興味のある分野の足掛かりとしては形式的に読みやすいのもあって非常に助かった。


驚きの英国史 (NHK出版新書) コリンジョイス

英国の歴史小話集といった感じの本。
著者も「はじめに」や文中で何度か説明しているが、歴史的な史実を忠実に説明するというよりは、虚実ありつつも英国にはこんな面白い歴史の話がありますよといったスタンスで書いている。
もちろん後世の創作であったり出展の怪しい話にはきちんとその旨を説明している。
私自身が英国の歴史に詳しくないので、いまいちピンとくる話が少なかったのが勉強不足で残念だったが、分かりやすい文章と短い話を集めた形式は読みやすくて良かった。

観応の擾乱 - 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い (中公新書) 亀田俊和

数年前からプチ室町ブームが歴史本界隈で密かに起きてるらしいことは、無双シリーズにならない時代は全く歴史を知らない私としても密かに聞いていた。
そこで、『応仁の乱』も何とか読めたし同じように新書でもうひとつ読んでみようと思っていたところ、以前から評判がよくて読みたかった『観応の擾乱』がちょうど室町の初めの方のころだと思い、読んでみることにした。
観応の擾乱とは足利尊氏と足利直義兄弟の争いという基本的なことすら忘れていた私だが、意外にも個人的には応仁の乱以上に内容が分かりやすく(どちらも全然知らないという意味では五十歩百歩だが)、出てくる人物名は相変わらず中々この時代に明るくないと覚えにくかったが、それでも比較的対立構造や幕府内の組織が分かりやすく書かれていて、思っていたよりかなり読みやすかった。
こちらも十分に内容を理解したとはお世辞にも言えないが、他の南北朝や室町初期の文章を読むときの助けに大いになったので、折を見てまた少しずつ読み直そうと思う。


眠れなくなるほど面白い 図解 たんぱく質の話 (‎日本文芸社) 藤田聡 

Amazonのプライムリーディングで無料だったので、サクッと読めそうなので読んでみた。
電子書籍は場所を取らないので引かれるのだが、コレクション癖があるのと、電子書籍はまだ慣れていないのでいまいち読みにくいので敬遠していたが、無料には勝てなかった。
肝心の本の内容だが、題名通りたんぱく質とはどんなものなのかを簡単に説明した本で、詳しい専門的なことは書いておらず、初めてたんぱく質に触れる人(初めてたんぱく質に触れる人とは?)でもスラスラ読める本だった。
新しく得た知識は特にはなかったが(というと本の内容を全部理解しているようで大袈裟だが)、軽い読み物として調度いい内容だった。


一生役立つ きちんとわかる栄養学 (西東社) 飯田薫子、寺本あい

こちらもプライムリーディングの無料本で読んだ。
前半はイラストや漫画を使いながら身体に必要な栄養素を説明していて、中盤は各栄養素が身体にとってどんな働きをするかを説明し、後半はいろいろな食べ物を栄養素を見ながら紹介していく内容の本。
身体で使われる栄養素一つ一つに項目が割かれているので結構な量ではあるが、それぞれが身体にとってどんな役割をしているかを端的に分かりやすく説明しており、また身体の調子毎にどんな栄養素を摂ったらいいかや、どんな食べ物を食べるとよいかなど役立つ情報が多くて非常に楽しかった。



以上が一つ一つは短いながらも思ったよりも全体的に長くなってしまった読書感想文です。
それにしても4、5年に一度しか本を読まないんだから今月だけで実質100年分くらい読んだのでは?
というのは冗談だが、読書が趣味の人の気持ちが少しは分かった月でした。
そして、自分の読みたい本しか読んでないので、かなりジャンルに片寄りがあるのが我ながら気になるが、それでも知識が増えたことを実感していてかなり満足した月になった。
おそらく来月からはまたゲーム生活に戻るので本を読む機会は激減すると思うが、せっかく出来た読者習慣も切らさないように少しでも本を読もうかなとは思います。

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それではまた!

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