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精米前のお米を3日間水に浸す文化

皆さんは、毎日お米を食べていますか?

最近では、パン食の人も増えていますが、私はお米で育ってきたので、パンも好きだけど、恋しくなるのは日本のお米です。

朝食に納豆をご飯にかけて大きな口にかき込む。

ほかほかのご飯の上に、赤身の強い卵黄の卵を割って、ちょっとお出汁の効いた醤油をかけて、ずるっと頬張る。

なんて、幸せな瞬間なんだろう。

と、海外から帰国した度に感じるのです。

さて、今日はそんな「お米」について語っていきたいと思います。

お米の起源

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お米はどこで栽培が始まったのでしょうか?

ある一説では、お米の栽培はインドの東北部から始まったと言われています。その他の有力な説は、中国の長江の流域であるとも言われています。どちらの地域でも、稲やモミの化石が発掘されているそうです。

そんなお米は、中国大陸を渡り、朝鮮半島を経て日本列島に到来しました。お米が日本に到着したのは、約3000年ほど前の縄文時代だったそうです。

一方、メソポタミアを中心とする地域では麦が栽培されていました。

参考文献:お米の国物語 米作りQ&A

つまり、ずっと昔からお米はアジアの国の人々に親しまれていた食べ物だったということが分かります。

きっと、私がお米を食べてホッと落ち着くのも、幼い頃から日本の食文化に親しんでいただけでなく、遺伝子レベルでお米を欲しているのかもしれません。

パーボイル米って臭い米?

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さて、ところは変わってスリランカです。スリランカはインドの東南に位置する九州より一回り大きくて、北海道より一回り小さい島国です。

スリランカは南アジアの国の一つで、お米を主食とする文化があります。
いや・・・厳密に言うとカレーを主食とする文化です。

実は私はこのスリランカでお米の調査を行い、学位論文を書き上げました。学部程度のレベルですので、研究のフレームワークには未だ後悔は残るものの、私の中でお米に対する印象が180度変わりました

スリランカに滞在中のある日の出来事です。
私はJICAの専門員として派遣されているご夫婦とお話することがありました。

「ね〜、Sayaちゃん、毎日ご飯どうしているの?」

普通にスーパーでお米を買っていますけども・・・

「え?そうなの?スーパーのお米食べられる?
私たちは、こっちのお米が苦手でさ・・・
米のにおいが臭くて食べられなくって・・・」

え?そんなお米があるんですか?


「あるある。なんか、パーボイル米って言うらしいんだけど
あれって、精米前に水にひたして、その後天日干しするらしいんだよね。
その水がさ〜、汚いらしくて?お米が臭くなるらいんだよね〜。
でも、どれがパーボイル米か分からないから、とりあえず、いつも日本米食べてるんだ〜。」

へ〜。パーポイル米ね〜・・・。

君がパーボイル米か!

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「臭い米とやらのパーボイル米」
私は、このパーボイル米に出会うことなく、その正体が分からぬまま、数ヶ月美味しくスリランカ料理を堪能していました。

が、しかし!

ある時、いつものスーパーで、いつものお米を買って、いつものようにお米を炊いたら・・・

臭いではありませんか!
臭くて、臭くて、食べられない!なんだこれは!!

衝撃を受けました。これが、あの噂の臭いパーボイル米!!

私はこれを食した瞬間、精米所に行ってみたくなりました。

・汚い水ってどんな水を使っているんだろう。
・籾殻の状態で水にひたすって、どんな感じなんだろう。
・パーボイル米の匂いの原因って何なんだろう。
・スリランカ人は、これを美味しいお米だと思っているんだろうか?

もう、この日から、私の知りたい欲求が止まりませんでした。毎日スーパーい通っては、米を見て、匂いをかいで、どれがあの臭い米なのか!
私の知的好奇心がどんどん高まっていきました。

パーボイル米って本当に美味しいの?

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その衝撃のパーボイル米との出会いの一件から、私は最終的に現地で80件にのぼる精米所のアンケート調査を実施しました。

当時はインターネットの普及なども進んでおりませんでしたし、どこに精米所があるかなんて分かりませんでした。

つまり、私が行なった調査とは
一件一件精米所を発掘して、自らの足で現地を周り、直接話を聞きながらアンケート調査をしたわけなんです。(しかも、シンハラ語のアンケートですからね!)

今振り返ると、なんとも無謀な研究のフレームワークを学部の卒業論文で考えたものだと感じますが、当時の私にはワクワク感が止まりませんでした。

この調査の詳しい内容は割愛しますが

私はこの研究を通して一つ分かったことがあります。

それは・・・

私が「臭くて食べられない!」と思ったパーボイル米は、実はスリランカの人々は「うまい!」と思っているということ。

「え?あの臭い米が?」と調査を行いながら思ったのですが・・・
(ちょっと失礼な言い方ですね・・・ごめんなさい)

それがね、匂いがあった方が美味しい!と精米者は口を揃えて言うんですよ。

私は半信半疑のまま調査を終え、日本に帰国しました。

美味しいお米って?

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帰国して数ヶ月後、私はスリランカカレーが懐かしく、一人でスリランカカレーを作ってみました。

カレーの味見をして、うん!バッチリ!

でも、お米はスリランカから持ってこれなかったので、ネットで買ったタイ米にしてみました。

久しぶりのスリランカカレー。

ワクワクしながら、いただきます!

あれ?味が違う
カレーは私の食べていたスリランカカレーの味なのに・・・
なんだか、風味が足りない。
ん?
もしかして?
これはお米のせい?!

そう、その瞬間気づいたんです。

スリランカカレーにはパーボイル米が一番合っているということを。
そして、私が臭いと思っていた香りがあってこそ、スリランカカレーの全体のバランスが成立しているということを。

だから、精米所の人は「匂いがあった方が美味しい」って口を揃えて言ってたのか〜と納得しました。

つまり、私が食べて臭くて食べられない!と思った原因は、きっと、日本のご飯のように、日本のおかずと一緒に食べようとしたからだったのかもしれませれん。

最初は、不思議な精米方法だな〜。臭い米だな〜。と思い、ただの私の好奇心から取り掛かった、学部研究。かなり大変でしたが、その国の「食文化」を考えるきっかけとなりました。

総じて・・・
美味しいお米とは、その国の食文化と大きく関係していることが分かった研究でした。

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