旅の記憶 沖縄•久高島 〜循環する神話と自然と人〜
星の砂は珊瑚のかけらが波に流れていくうちに小さくなっていったもの。
珊瑚が隆起したものに、
砂がながれついて、だんだんと土ができ、
やがて土地になり島となった。
そのおとなりのあざまさんさんビーチにて
そこに椰子の実がながれついて、芽を吹いた。
椰子は自然のはじまり。
命のはじまり。
この島に生命や自然がなければ
神もおりたちはしなかった。
死んだ珊瑚のかけらが砂になる。
その砂が海を浄化し、
きれいになった海にまた珊瑚が産まれる。
すべては循環している。
軽石も島の土台となるもの。とても大切なもの。
軽石の穴の間に砂がはいり土が根付く。
その土が植物を育てる。
植物が育つと
人々は命をはぐくむ食べ物を求めた。
そして祈った。
やがて5種類の穀物の種がながれついた。
米だけは塩があり育たなかったので島の外へだして米が広がった。
久高島に先祖代々暮らしているという福治さんという方にガイドをお願いして久高島をまわった。
冒頭の文章は、福治さんがお話ししてくださった島の神話を思い出しながら記したものだ。
島の歴史や今も受け継がれている風習を実際に経験してきた福治さんのお話しはとても大切な事がたくさんあった。
先祖や両親、家族を敬い大切にすること。
島の土地は誰のものでもない。
ただ神さまからお借りしているだけ。
だから土地を守り育んでいかなくてはならない。
台風や雨やここ最近では軽石のこともいろいろと取り沙汰されているが、自然はすべて循環している。
田畑を台風の暴風や波から守る為に100年ほど前に防風林を植えた。
しかし、その田畑で作物がとれなくなってしまった。
いったいどうしてなのか？
暴風や波が打ち上げた魚や海水などの海のミネラル分が、田畑に豊富な栄養を与えていたのだ。
それがなくなってしまって、土地がやせ細り作物が育たなくなってしまったそうだ。
なにか一つのことだけが大きく影響を与えているわけではない。一見そのことが悪い影響に思えても、
ちゃんと自然の中では役割があり、循環の中の大切な要素なのだ。
私は珊瑚からできた星の砂と海とが浄化し循環しているという話がとても感動した。
福治さんは高校を卒業した後は一度島の外へ出たけれど、やはり島がいいと戻っていらして漁業に就いた。
その後、海ぶどうの養殖をはじめられた。
養殖で使う排水にも配慮し、環境や海への負荷をへらして、できるだけ綺麗な状態にしてから排水するということをされている。
もちろんご自身の家庭排水にも同じように配慮し、環境負荷のなるべく少ない状態を保つよう務めていらっしゃる。
島の案内をはじめる前に、
船の桟橋をのぞいてごらんと見せてくださった。
珊瑚がびっしりとついている。
島の人のうち何組かの方たちが、
同じように排水について環境負荷をへらそうと取り組んでいらして、その積み重ねで湾内の環境がだんだんとよくなってきている。
そして珊瑚が桟橋に根付いたのだと、とても嬉しそうに話してくださった。
珊瑚がどんどんと減っていっていることや、磯焼けが深刻化していることなど、
海の環境がどんどんと悪くなるニュースはたくさん聞いているけれど、
こうやって珊瑚がもどってきたという話しをきけて私もとても嬉しく思った。
そして、そうやって地道に取り組んでいらっしゃる方達がいるということにとても勇気づけられる。
今回、はじめて久高島を訪れたのだけど、
島に伝わる神話や、歴史、古くからの風習などを聞いていると、それらがゆっくりと島の外へと伝わっていき
やがて本州へと伝わっていったんだなぁということが感じられた。
自然崇拝や八百万の神を敬う気持ち、先祖を敬う気持ちなどなど、日本人のベースとなる思考や考え方に大きな影響を与えていると思った。
※久高島のガイドをしていただき回った場所の多くは、神聖な場所により写真撮影などしていません。
ガイドをしてくださった中で私が深く印象に残っていること、感想などを記しています。
おまけエピソード
写真を撮った時はしらなかったのだけど、
山の稜線の中央あたりにひょこっとみえるねこちゃんの耳のような場所が斎場御嶽でした。
近くに斎場御嶽があることは知っていたけれどもっと離れていると思っていた。。。
なんとなくすごい場所だなぁと感じてはいたけれど…。
そして、久高島のある場所から斎場御嶽はまっすぐと繋がっている。
珊瑚が戻ってきたことや、海の循環する自浄作用のことなど、自然の力強いパワーを肌で感じることができてとても良い経験になった旅。
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