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映画レビュー『エルム街の悪夢』(1984年版)

「最初に」

今回、感想を書いて行く映画は―

『エルム街の悪夢』(1984年)

ウェス・クレイブン(『スクリーム』シリーズ)監督のホラー映画である。

こちらも前回の『プライベート・ライアン』(下記にURLあり)同様、Twitterで とあるフォロワーさん がオススメして下さった作品で、先日TSUTAYAでDVDをレンタルして見たのだ。

「見る前の印象」

作品名や「フレディ」と言うキャラクターの名前は前から知って いた けど、実は作品自体を見るのは今回が初めて。一体どんな作品なんだろう?

「見終わった感想」

結論から言うと、本作は「良質なホラー映画」だと感じた。

その理由は主に3つ ある。

①ストーリー

まずストーリーだが、本作は導入部からバッチリ決まっている。

「廃工場らしき所で少女が怪人に襲われる」→「目を覚ます少女。『あ~良かった。あれは夢だった…』」→「と思ったら、服が引き裂かれている⁉」→「『もしかして、あれは夢じゃ なかった…?』」

この無駄のない流れ によって「夢に現れる怪人」=「フレディ・クルーガー」の存在を、観客に強く印象付けている。

その後も 夢と現実を行き来する物語は、「今 見ているのは果たして夢か?現実か?」と終始ハラハラさせられる。そして本作は予想外な結末で幕を閉じる!ネタバレに なるので ここでは書かないが、「本作は決して安易なハッピーエンドでは終わらない…」と だけ言って おこう。

②キャラクター

次にキャラクターの描き方も上手い。

ナンシーは最初こそ泣き叫んで逃げる こと しか出来なかったが、物語が進む に連れて 家族や他の人達を守る ために、たった一人でフレディに立ち向かおう とする逞しいヒロインへと成長して行く。

また 彼女のボーイフレンドであるグレンも、お調子者で どこか抜けている所が、本作に ちょっとした笑いと同時に 一時の安らぎ を与えて くれる。

そして特筆すべき はフレディである。彼の素晴らしい点は「正体を詳しく描いて いない」と言うこと だ。一応ナンシーの母親から彼が どういう人物だったかが語られるが、「彼は どこから来て、何故 人を殺すのか?」とか「彼は生きた殺人鬼なのか?それとも夢に現れる怪物なのか?」と言った部分はハッキリと描かれて いない。しかし こうして敢えて謎を残す ことで、彼の不気味さ が より強調され 観客の心に大きな爪痕を残すのである。

③演出、小道具、特殊効果

最後に、作中で しっかり活かされた これら3つの要素をご紹介。

◎演出:フレディの登場シーンは、シルエットや壁などに映る影だったり、隙間から覗く目や彼の象徴でも ある かぎ爪のクローズアップが大半である。しかし こうして全体を無闇に見せない ことで、得体の知れないフレディに対する登場人物や観客の恐怖心を煽って いる ので ある。

◎小道具:「十字架」→ナンシー達を守って くれる神様の具現化。序盤のあるシーンで、壁から十字架が落ちる。これはナンシー達に待ち受ける逃れられない運命と恐ろしい結末を暗示している。

「シェイクスピア」→小道具とは少し違うが、学校のシーンにて 先生が授業で語った「シェイクスピア」に関する内容も物語に大きく関係している。

~以下、作中のセリフ~

先生「目に見える物だけが真実とは限らない。シェイクスピアは『目には見えない存在』(人間の内面など)を掘り起こして作品を書いた」

ここで先生が言って いる『目には見えない存在』とは『(悪)夢=フレディ』の ことを指し、ナンシー達が『目には見えない存在』であるフレディに苦しめられる ことを表して いる。

◎特殊効果:ティナの死体やグレンの死亡シーンなどの グロテスクでショッキング、それでいて フレディの伸びる腕や舌が付いた電話など どこかユーモラスな悪夢の描写の数々。これらはCGを極力使わず、特殊メイクなどを駆使することで非現実的な恐怖を見事に作り上げて いる。

これら3つの要素が作品の怖さ、奇妙さ、不気味さ に深みを持たせて いる ので ある。

「最後に」

以上が『エルム街の悪夢』の感想で ある。

正直ここまで良質な作品だとは夢にも思わなかった。

本作以外にも80年代のホラー映画には『13日の金曜日』(1980年)や『チャイルド・プレイ』(1988年)など有名な作品が多い ので、機会があれば見てみようと思う。

それでは今回は ここまで。

「引用・参考・作品情報 元はこちら↓」


イメージ詩はこちら(↑)。

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