明治の刻 2
明治村を訪うたのは4月も終わりだった。
まだ桜も園内に残り、つつじの花も綻んでいる絶好の機会だった。
20年も前のことだ。
当時のカメラはSonyデジカメの初期モノであって、画素数は極めて小さい。メディアも32MBとか72MBを使っていたので、残り枚数を常に心配していた。
結果として、フィルムカメラを主力として使っていた。デジタルはメモであったり、画角を確かめる予備のアイテムに過ぎなかった。
事にこういう料理写真などは、デジタルで抑えておけばいい。なんて扱いだったし、この頃から料理の記録写真が増え始めている。
写真店を営んでいた建物が移築されていた。
「坂の上の雲」というドラマで、往時のシーンの多くは明治村で撮影されている。秋山兄弟が出征前の記念写真を、この写真館で撮影したというエピソードが挟まれている。
また秋山真之はドラマ内で以下のSLに乗っている。
当時はコンタックスを愛用しており、フィルムカメラとの仕上がりは、以下のように歴然とした差があった。
郷里である長崎にもこのような造りの刑務所があった。
区画整理で壊されてしまったが、惜しいことをしたものだと思う。この風格は二度と手に入らない。なぜなら建物を100年という歳月が磨いているからだ。
こうして一堂に会していると、明治期の日本というのは欧州の古都を散策しているような世界だったのだと思う。
郷里の長崎市では、こうした煉瓦造りの建築が次々と解体されていくのを見送っている。
年にも新陳代謝は必要とは思うが、幻にしてしまうのは惜しい。
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