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呉を歩いてみた

 呉を歩いた写真が残っている。
 まだ幼い頃の娘とのふたり旅で訪れている。
 家族がばらばらになって4年、それぞれの道を歩いている。やっとこの時代の写真を紐解いても、胸が痛まなくなってきた。
 やはり時間は薬でもある。
 
 呉を訪問した動機のは、この大和ミュージアムにあった。
 戦艦大和の威容を、再現モデルながら体験してみたかったのだ。
 そして帝国海軍の雰囲気を味わいたかった。お手軽に訪問できる佐世保ではいささかバタ臭いものがあって。
 呉では、その海軍魂みたいなお店を訪ねている。
 創業が大正10年というから、今年はもう103年は営業していることになる。まさに帝国海軍の趨勢を眺めていたお店だ。
 

創業大正10年 いせ屋

 ここで娘と食べたのは伝統の料理である。
 海軍さんのカレーライス。
 小麦を丁寧に炒めてカレー粉で仕上げているもの。明らかに具が少ない(笑)チキンブイヨンの香りがする、素朴すぎる仕上がり。
 だけどそれこそ当時のレシピであろう、という漢気を感じる。
 水兵さんが食べていたのがこれで、各地で出されている海軍カレーは士官室で食されていたレシピよりも、更に豪華だと思う。

シンプルすぎる
やはりこれはご馳走

 なので同じく海軍さんの肉じゃがを追加。
 これは東郷平八郎元帥が、イギリス留学時にビーフシチューを食べて。
 何とか海兵に、牛肉と野菜をバランスよく食べて貰えないか、と考案した料理だと聞いた。
 しかも汁少な目というのが、揺れる艦内で食したものだと思う。当時の日本人もきっとご馳走として味わったと思う。

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