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音楽は三者三様 ピアノ曲編


クロード・ドビュッシーはフランス生まれの作曲家です(1862年〜1918年)。管弦楽、組曲、交響詩、ピアノ曲などさまざな様式の曲を作曲しました。ピアノ作品に『前奏曲集』という作品があります。どのような曲集かというと識者はこのように記します。

ある識者は


ピアノ作品ではまず『ピアノのために』が1901年に出ています。和声がより大胆な『映像』(1908年〔正しくは第一集が1905年、第二集が1908年に出版〕)、および『版画』は大きな進歩を示しています。とはいえ、もっとも重要なのは多分、1912年〔正しくは1910年〕から13年にかけて出版された『前奏曲集』でしょう。
引用 ベーラ・バルトーク『バルトーク音楽論選』筑摩書房、2018

別の識者は


ここでは(引用者補足、1910年以降を指す)、筆致はより集約的な〜時にはより実験的なものにさえ及んでいるが、それと同時に、前の時期に見られた響きの豊麗さよりも、もっと本質的なものにだけ限らられた、という意味で、より赤裸な、そうした寡黙なものに向かっている。ことに『前奏曲集』二集は、ピアノ作曲家としてのドビュッシーの到達した頂点であって、内容からいってもフォルムからいっても、これは、より未聞の充実ぶりを示している。
引用 吉田秀和『私の好きな曲』新潮文庫、1985

また別の識者は

<前奏曲集>は第1巻と第2巻とからなり、1909年から1913年にかけて作曲され、ドビュッシーの最も円熟した芸術がピアノ曲に集大成された感のある24曲を含んでいる。(中略)このドビュッシーの<前奏曲集>においても、即興詩の性格や、簡潔明快な情緒が自由に素直に表現されて、彼自身の芸術を最も適切にあらわした作品となっている。
引用 ライナーノーツ『ドビュッシー/ピアノ曲第1集 CBS/SONY SOCU 47』

三者三様の意見は違わず絶賛しています。『前奏曲集』の中から未聞の充実、即興詩の性格、自由に素直に情緒が表現された曲を探してみると第1巻に収録された12曲目の「ミンストレル」がピッタリではないでしょうか。

「ミンストレル」のイントロはルージィでドラッグなミディアムテンポではじまります。テーマが提示されたあとに即興的な演奏が続きます。跳ねるような踊るようなメロディ。陰りが差し込むようなメロディ。優雅な雰囲気なメロディと続き、テーマに戻り最後の即興を決めて曲は終わります。

アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリの演奏『前奏曲集第1巻』POCG–1122

音楽は三者三様

音楽の良さは一人一人の心に宿る。宿り方はさまざまです。絶対的な好悪が特徴だと思います。



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