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後味を伝えられないこの1曲 その3

ミュージカルの名作「サウンド・オブ・ミュージック」。ジャズの巨人「ジョン・コルトレーン」。ふたつを繋ぐのは「マイ・フェイヴァリット・シングス」という名曲。

 コルトレーンの演奏は同曲を冠したアルバムと同曲を収録したライブアルバムがあり、よく聞く。ミュージカルの方は最近はじめて聞いた。ふたつの「マイ・フェイヴァリット・シングス」には深い溝がある。

 ミュージカルのそれは雷を恐る子供たちの不安を消すために楽しいこと好きなことを歌詞にして歌いあげ穏やかな気持ちにさせる。「みんな大好き〜マイ・フェイヴァリット・シングス」です。
 

 コルトレーンのアルバム「セルフレスネス」に収録されたそれはいったい何が好きなのだろうか。頭を突き抜けるようなテナーサックスの高音のメロディ、方向性を感じさせないアドリブ、揺れる音色。繰り返すピアノの伴奏。歌うベース。取り憑かれたようなドラム。

 戦慄、叫び、不安、恐怖あらゆる普通の意味の不穏なものが溢れている。コルトレーンはいったい何が大好きだったのだろうか。不吉さ感じつつ、なんともモヤモヤしてしまう。


ジョン・コルトレーン「マイ・フェイヴァリット・シングス」impulse!、東芝、録音は1965年。アルバム「セルフレスネス」より

YouTubeでも出てきます。

後味を伝えられないこの1曲
勇気がわく、元気になる、愛おしい、懐かしい、わかるよ、せつないね、に当てはまらない曲がある。モヤモヤしてしまう、不吉さを感じる、うまく枠組みにはまらない曲たち。

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