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川辺のケアル 第1章〜顕れるニャンコ

※このシリーズはnote版『コータの養生チャンネル』番外編としてお届け致します。養生の話は出てきませんが僕とニャンコの出会いを楽しんでいただけたら嬉しいです。

〜この物語は、あるニャンコとの生活に戦いを挑んだ熱血国際中医師の記録である〜

ニャンコ界においてまったく無名の弱体国際中医師が
荒廃した天候の中で出会ったニャンコと共に健全な精神を培い
わずか数日でニャンコスターとなった奇跡を通じて、
その原動力となった「信頼と愛」を余すところなくドラマ化したものである〜

第1章 顕れるニャンコ

その日は朝から小雨がふっていた。

それもそのはずで、数日前からテレビや新聞で『沖縄や九州に大型の台風が接近してくる』というニュースが報道されており、その台風が日本列島に近づいてきていたので、台風から遠く離れた僕の自宅付近にも雨が降ることは十分に予想できた。

僕はだいたい朝起きると5kmほど朝のジョギングをすることが日課なのだが、たまに寝坊すると

(ほとんど場合は前日のお酒の量が多かったときだが)

近所を1km程度、まるで『冷蔵庫に入れて2〜3日経過した元気のないキャベツ』のような顔をして散歩することにしている。

ジョギングでも散歩でも、朝適度にカラダを動かすことは1日中立ち仕事や座り仕事をしている僕にとってとても大切な健康法なのだ。

その日も前日のお酒の量がちょっと多かったのか?朝目が覚めるとすでに時計は7時15分を過ぎており、明け方一度目が冷めたときには雨の音が聞こえていたので

『今日は雨も降っているから散歩も中止かな・・・』

と窓の外を見て見ると奇跡的に雨が降っていなかった。

そこで台風の影響もあり、かなりひんやりと秋を感じる空気の中をいつものコースで散歩することにした。

近所の河川敷には台風が近づいいる影響もありやや湿っていはいるが心地よい風が吹いている。

そんなのんびりした台風の晴れ間の朝の散歩をいつものようにゆっくりと楽しんでいた。

『さすがに台風が近づいているからカルガモも見当たらないなぁ・・』

といつも見かけるカルガモの姿が無いのをちょっとさみしく感じながら散歩しているとどこかから音が聞こえる。。。。

何かを訴えかけるような、でもとってもかぼそい鳴き声が聞こえてくる。

『ミャァ〜・・・・』『ミャァ〜・・・・』

僕は思わず足を止めてその鳴き声の聞こえる先を探してみた。

視線を河川敷の方に向けて見ると僕の目に入ったのは小さな白い塊だった。

『ネコだ・・・』

僕は思わず目を疑った。

どう考えてもこんな河川敷の草むらの中に子猫が一匹でいるなんて考えられない。

緑の絨毯の上に白いクッションが置いてあるように河川敷の草の中に子猫が一匹丸まっていた。

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僕が呆然としていると後ろからいつも愛犬を連れて朝散歩をしている近所に住んでいると思われる女性が通りかかった。

『あら、子猫がかわいそうに、はぐれちゃったのかしら・・・』と僕に話しかけてきたので

『そうですね、ケガとかしてないですかね?』

というような会話をして、犬の散歩中ということもあり(河川敷にポツンと座っている子猫に犬を近づけることはかなりの刺激になってしまうし)

女性は心配そうに何度も振り返りながらその場を去っていきました。

僕も子猫の存在を気にしながらも忙しい朝の時間帯ということもあり一度自宅にもどった。

妻に一部終始、話をすると、そのタイミングで風をともなう台風の雨が降ってきた。

それまでの台風の晴れ間が嘘のように台風が近づいていることをイヤでも感じさせるような風を伴った強めの雨だ。

妻が『雨が強くなってきたね。子猫大丈夫かな?』というので

僕は『とりあえず様子を見に行こう』といいながら二人でカサをさして様子を見に行くとビショ濡れになってうずくまる子猫がいた。

必死に移動しようとしたのか?

前に見た位置より若干移動しているようだった。

その姿を見てふたりともこのままでは可愛そうなので、とりあえず保護しようということで意見が一致して、僕がバスタオルをもちに自宅に走り、その間妻が子猫を見守っていた。

僕が息を切らせてタオルを持ってきて、二人で子猫に近づくと子猫はものすごい形相でこちらを睨みつけ、前足を前に突き出し、歯をむき出しにしてこちらを威嚇してきた。

(それは僕にドラゴンクエストシリーズのベビーパンサーを思い出させた)

小さなカラダで、疲労と恐怖でくぼんだ眼で、生きるための必死の力を振り絞っていた。

僕は『こんなに怒っていたら連れて帰れるのかな?』と不安に感じていると、妻がバスタオルをもちおもむろに子猫に近づき

『ほら、おいで、大丈夫だよ』

と見事な手付きでサッと抱えあげて自分の胸元に抱きかかえた。それは見ていて惚れ惚れするぐらいの見事な手付きだった。

妻の胸に抱かれてすぐに観念したのか、ホッとしたのか、子猫は古いバスタオルにくるまれておとなしくなっていた。

自宅にもどりすぐにシューズクローゼットにあった小さなダンボールを組み立てて、バスタオルを敷き、なかに保護をした。

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恐怖と寒さで小さなカラダをガタガタ震わせて、ダンボールの中で子猫をは小さくなっていた。

『おい、ニャンコ、大丈夫か?』と声をかけてみたがもちろん返事はない。

連れて帰ってきたものの、これからどうするのか?

猫なんてかったことはなく、頭の中はパニックだ。

ネコ好きの友人にLINEしようとしてみたり

『子猫 ミルク』で検索したり

何からしてよいのかわからない状態であった。里親は見つかるのか?

かわいそうだけどウチで飼うのは難しいかな・・・などとグルグルといろいろな考えが頭をめぐる中、妻が唐突に

『こんなに小さくて可愛そうだねぇ。ウチで飼おうか。』

とサラッと驚くような一言を発したのだった。

僕が声に出したくても出せなかった一言をサラッというあたり肝が座っているし、家の中で猫を飼うことをこんなに早く決断出来るなんて自分の妻ながらすごいなぁ、と感心しているとあることを思い出したのだ。

そう、彼女はそういえば小動物が大好きだったのだ。

独身の頃は自宅でウサギを飼っていたぐらいで、小さな動物の扱いにはなれていたのだ。

河川敷で子猫を抱きかかえるのも様になっていたわけだ。

そうと決まって気が落ち着き、まずは動物病院にすぐに連れて行こう、ということになった。

僕も妻も動物病院で知っているところが今はない。

(以前犬を買っているときや妻がウサギを買っているときに行っていた動物病院はすでに閉院してしまっていた)

さらに僕も妻も月曜日の朝なので、当然仕事だ。

妻がすぐに職場の同僚で犬を飼っている人がいるので、動物病院のことを聞くと自宅から車で15分ぐらいのところにある動物病院を紹介してくれたので、受診時間を確認して、僕の午前中の仕事が落ち着く頃合いを見計らって病院に連れて行くことにした。

ダンボールにニャンコ(仮)を入れて車の助手席に乗せて職場に一緒に連れて行った。

車の中で僕はニャンコに『大丈夫だからね、ウチで飼ってあげるからね。早く元気になるんだよ』

と話しかけながらゆっくりとアクセルを踏んだ。

お店の駐車場につくと(僕は漢方相談専門の薬店を経営している)僕は何より先にニャンコのダンボールを抱えて店に入った。

開店前の掃除をしていた僕の母が出てくるなり、ダンボールを抱えた僕を見て

『おはよう、あら、荷物?』と中を覗き込むと

『なにっ!!!!え、どうしたの?動物?』

と当然のリアクション。

ことの成り行きを母に話すとおっかなびっくり母が険しい顔でダンボールを覗き込んだ。

そう、彼女は猫が苦手なのだ。

小さめのダンボールであったが、どう見てもそこから飛び出す元気もなさそうなので、タオルを数枚入れてさむくないようにして、休憩室においておいた。

この日はありがたいことに朝から予約相談が入っており、昼前までは身動きが取れない状態だった。

仕事の合間にニャンコの様子を見に行き『大丈夫だよ』と声をかけるだけしか出来なかったが、ダンボールの中から僕を見上げる瞳は少しづつ力が出てきており、僕を少なからず安心させてくれた。

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午前中の漢方相談を終えてると僕は文字通り白衣を脱ぎ捨てて、ニャンコを抱えて車に飛び乗った。

車の中ではひたすら僕はニャンコに『大丈夫だよ、大丈夫だよ』と声をかけ続けた。

何か病気があったらどうしよう、ケガがあったらどうしよう、病院まで行く道のりは不安ばかりであった。

名前もまだついていない子猫、ニャンコを連れて僕は動物病院への道を急いだ・・・

(次回につづく)

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