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30代女性の【勤務時間が苦痛で耐え難い】をコーチングするとしたら?

😞 今回は、相談者が「勤務時間が辛い自分に振り回されている」事例です…🙂行動の選択理論でコーチング人生案内#180

 30代の女性です。仕事が嫌で嫌でつらくて、たまりません。今、事務職で働いています。毎日9時間もの間、同じ場所にとどまり、同じ職場の方々と過ごさなければならないこと、つまり、自分の行動と居場所を拘束されることが苦痛で苦痛で仕方がないのです。

 そうかと言って、在宅ワークができる仕事は狭き門で、専門性が高いものばかりです。転職に至る道は長く途方もなく感じます。今の仕事は苦労して手に入れたもので、大切に思っています。辞めたいわけではなく、転職も現実的ではありません。今の仕事を続けたいのです。

 そのために仕事を楽しくする方法を考えたり、マンネリ防止のため変化をつけたりするなど、あの手この手を尽くしましたが、勤務時間が苦痛で耐え難い日々は何も変わりません。いわば八方塞がりです。どうすれば仕事を続けられるでしょうか。(広島・C子)

(読売新聞2022年10月9日)

✅次のようなプロセスで、相談者の答えを引き出す質問、コーチングの展開を考えてみました💦


▶︎ 相談者が話したい「困りごと」を受けとめ、まとめると

・苦労して手に入れた事務職の仕事を続けたいと思う一方で、毎日9時間もの間、同じ場所にとどまり、同じ職場の人と過ごさなければならず、自分の行動と居場所を拘束されることが苦痛で仕方がなくて、困っている。

あの手この手を尽くしたが、勤務時間が苦痛で耐え難い日々は何も変わらず、八方塞がりで、困っている。

▶︎「困りごと」を「願いごと」に転換して、話してもらうと

・今の仕事は苦労して手に入れたもので、辞めたいわけではなく、転職も現実的ではないので、どうすれば仕事を続けられるかが、知りたい。


▶︎ 相談者の「困りごとのパターン」を考えてみると

  • 願いごとが叶わない、願いごとが不明確

  • 相手や状況に振り回されている

  • 「自分」に自分が振り回されている
    (注:この「自分」は、自分の気分や感情、喪失感、記憶、思い込み、心理的な症状、もう一人のダメな自分、完璧主義の自分などを指す)

  • かっとうに悩んでいる


🚩 ①相手の困りごと、願いごとを受けとめたうえで、②次の質問や展開をしてみること、を考えました

・「毎日9時間、同じ場所にとどまり、同じ職場の方々と過ごさなければならないこと、自分の行動と居場所を拘束されることが苦痛で苦痛で仕方がない」というお気持ちは、同じような、使われる立場の被用者の一人として、よく分る気がします。

多くの方が、大なり小なり、あなたと同じ思いでいらっしゃると思います。

・一方で、自分の生活や、家族を養うために、「生きていくためにがまんしなければならないこと」として、皆さん、それなりのがまんや工夫をして、乗り切っていらっしゃるのだと思います。

・あなたの場合、「今の仕事を続けたい」ということのようですので、「仕事が嫌いで、辛い」というより、「時間を拘束されること」「同じメンバーと過ごさなければならないこと」が辛いということでしょうか?

同じメンバーと過ごさなくてよいなら、例えば、一人で今の仕事ができるなら、拘束時間が長くてもいいということでしょうか?

・ところで、これまで、どの位、今の職場で働いてきたのですか? その間、ずっと今のように耐えがたい日々だったのでしょうか?

それとも、いつ頃からか、何らかの理由で、例えば、どなたかとの人間関係などが理由で、今のように耐えがたくなってきたのですか?

・そして、これまで、そのような大変な状況を、何とか乗越えてこられたのは、どういう理由が考えられますか、どういう支えのようなものがあって、これまでは乗越えてこられたのですか?

・また、「辞めたいわけではなく、転職も現実的ではありません。今の仕事を続けたいのです」とのことですが、今の状況にどのようなことかが加わったり、どのような変化があったりすれば、今の仕事を続けることができそうなのですか?

・今の「行動が拘束される状態が苦痛」とのことですが、その苦痛の度合いを、もうこれ以上がまんできない状態を10、苦痛が一番軽い状態を1としたときに、今の数値はいくつくらいなのでしょうか?

また、現実的に考えて、今の職場で、あなたの「行動が拘束される状態が苦痛」という数値が、どのくらいまで下がれば、あなたとして、今後とも何とかやっていけそうだと思われますか?

そして、その数値の状態とは、どのような状態なのでしょうか?

・それから、今の職場で「居場所が拘束される状態が苦痛」とのことですが、その苦痛の度合いを、もうこれ以上がまんできない状態を10、苦痛が一番軽い状態を1としたときに、今の数値はいくつくらいなのでしょうか?

また、現実的に考えて、今の職場で、あなたの「居場所が拘束される状態が苦痛」という数値が、どのくらいまで下がれば、あなたとして、今後とも何とかやって行けそうだと思われますか?

そして、その数値の状態とは、どのような状態なのでしょうか?

・今の職場で、一人になれる時間や、一人になれる場所など、仕事の内容や休憩時間について、「やめさせられない程度」まで、自由に振る舞うとしたら、どのくらいまでなら、やめさせられることなく、自由に振る舞えそうですか?

・あなたの上司や周りの人、会社は、あなたにどのようなこと(仕事の内容、振る舞い方)を期待していると思われますか?

・あなた以外の方は、どのように仕事をし、振る舞われているのでしょうか? 

・また、あなたが今以上に、仕事に習熟されて、ベテランの立場になられたり、今よりも、職場の人間関係がよくなったりしたら、今と状況は変わってきそうですか?

・一方で、「在宅ワーク」や「専門士の高い仕事」への道は遠いということですが、上記のようなことを考えた上で、やはり、今の仕事を続けるのが難しいとしたら、なんとか今の仕事を続けながら、中長期的には、転職を考えるという道もあると思います。

また、ハローワークなどで、あなたに合う仕事の適性検査や、あなたの性格や強みの診断などもしてみるということも、考えられるかもしれません。

そのようにして、あなたの適性や適職が分り、転職の目標やゴールへの道筋がはっきりとしてきたら、今の仕事や生活にも何か変化はありそうですか?

・さらに、「今の状況がどうしても耐えられない」ということでしたら、いっそやめるという選択肢もあると思います。

そのときは、「今の状況に耐えること」と「仕事を失うことに耐えること」のどちらが、あなたにとって、より辛くなりそうですか?

・ところで、上記のようなことを踏まえて、「今の状況をなんとかよくしていこうという努力」を最大限尽くされている状態を10、全然努力をしていない状態を1としたとき、あなたのこれまでの努力は、何点くらいになりますか?

10点の努力は、難しいとしても、現実的に何点位までなら、努力してみる本気度はありますか?

・そして、努力すれば、「今以上に状態がよくなることはわかっている」としたら、とりあえず、手始めに、早速どんな行動から始めてみたいですか?

・そのような手始めの行動をしてみることで、何か失うことはありますか? うまくいけば、どんなよいことがありそうですか?


参考:回答者(最相葉月さん)の言葉です💖

会社を辞めたいのではない。上司や同僚に不満があるわけでもない。大切な仕事だから続けたい。ただ長時間、同じ場所に拘束されるのがどうしようもなくつらい。だから仕事が嫌でたまらない。一見、矛盾したお悩みのように思えます。

 9時間も同じ場所で働いていれば、どんな人でも心身に悪影響が及びます。そうならないために休憩時間を設けるわけですが、あなたの場合、いろいろ工夫しても苦痛であることに変わりはない様子。

 情報が少ないので断定はできませんが、もしかしたらあなたが幼い頃からもつ脳の特徴が関係しているかもしれません。じっと座っているのがつらいあまり、ミスをしたり期限までに仕事が終わらなかったりしたことはありませんか。不都合が生じて初めて苦痛を覚えるものなので、今の職場でようやくご自身の問題に直面したのかもしれません。かなり気の毒な状況だと思います。

 自治体の精神保健福祉センターに問い合わせてみてはどうでしょう。なんらかの診断が得られれば、外勤を加えるなどあなたが働きやすい方法について会社に相談しやすくなりますよ。これは決して遠慮することではありません。堂々と実行なさってください。

(読売新聞2022年10月9日)

💟新聞の人生案内の回答は一種のティーチングに当たると思います。「本人から本人の答えを引き出す対話」としてのコーチングとの違いがよく分りますので、コーチングが、より社会に認知される一助になればと思います。


✅ 以下、選択理論コーチングの補足です。

 😋 筆者独自の見解や表現も入っています.

1,相談者が満たすと幸せ感が増ず基本的欲求(ニーズ)

  • 力・自己価値の欲求(自分が価値ある存在でありたい、認められたい、自分を認めたい。コントロール、達成、競争、影響力など)

  • 自由の欲求(自由でありたい、自由にしたい。自立、移動、選択、創造など)

  • 楽しみの欲求(楽しみたい、学びたい、追求したい。面白い、喜び、笑い)


2,選択理論コーチングの基本的な三角モデル


3,今回使った「選択理論の考え方のエッセンス」

🌻 選択理論の第1の原理 
・自分の考え方や見方、行動は、自分が自由に選択できるし、変えられる、と考えましょう。
 
・自分には、未来に向って、自分が幸せになるために行動する責任がある、と考えましょう。

・効果的な行動を選択するために、「自分が満たせていない基本的欲求(ニーズ)が何か」を、自分に問いかけましょう。

・自分の行動について、「自分はこの行動を選択している(他の行動も選択できる)」というフレーズを口癖にしましょう。

・同じ行動をするなら、いやいやでなく進んで行動をする方が自分のコントロール感も高く、自由度も広がる、と考えましょう。


🌻 自分と相手の「現状(のステージ)の知覚と将来の願望」
・自分は今、人生やキャリアのどのようなステージにいて(入っていて)、未来(次のステージ)に向って何を望んでいるか、を具体的に考えてみましょう。

・相手は今、人生やキャリアのどのようなステージにいて(入っていて)、未来(次のステージ)に向って何を望んでいるか、を具体的に考えてみましょう。

🌻 かっとう(二方向の矛盾する願いごと)への対処
・二方向のかっとうでは、それぞれの極端を考えてみることが、どちらの方向を選ぶにしても、また、自分の望む「立ち位置」を明確にすることにも役立ちます。

仮に、どちらかを選んだとして、それによって生じる問題に対して、どう対処するかを考えることで、最終的に自分のどのような選択をしたとしても、その選択に納得感を得ることに役立ちます。

🌻 自分の「自分」との関係
・もう一人の「自分」も、「自分なりに精一杯がんばっているんだ」と考えましょう。(注:ここでいう「自分」は、自分の気分や感情、喪失感、記憶、思い込み、心理的な症状、もう一人のダメな自分、完璧主義の自分などを指します)

そして、もう一人の「自分」の心の声を聴き、応援者として励まし、勇気づけてあげましょう。

・いやがるもう一人の「自分」を無理に変えようとしても、「自分」の抵抗を生み、自分の「自分」との関係が遠ざかるだけ、と考えましょう。

・辛い思いをしている「自分」は、どうなりたい、本当はどうありたいと望んでいるのか、「自分」の心の声を聴いてみましょう。

・もし、第3者が「今の自分」の状況だったら、自分は「その第3者」の状況をどのように考え、どんなアドバイスをするか、を考えてみましょう。

🌻 自分の欲求充足
・自分が満たせていない、自分にとって大切な基本的欲求やニーズ、価値観が何か、を考えましょう。

・もし、自分の願いが実現したら、今とどう違ってくるか、そのときは、今と違う何をしているかを考えてみましょう。

🌻 現在とっている行動の自己評価と、これからの行動プラン
・自分が願っていることを実現するために、今どんな行動をしているか、それを続けていて実現できそうか、どんな新しい行動ができるか、を考えてみましょう。

・「願いごとを実現するために、今、自分はどんな行動をとっているか」
「今している行動を続ければ、願いごとや欲求が満たされるだろうか」
という、自分の行動や状況の「自己評価」を口癖にしましょう。

・「もし願いが実現したときは、今と違うどんな行動をするだろうか」という具体的な行動を考えてみて、それらを先どりしてやりましょう。そして、どんな変化があるかを見てみましょう。
 

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