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40代女性の【母と関わりたくない】をコーチングするとしたら?

😠 今回は、相談者が「母と関わりたくない自分を、承認してもらいたい」という事例です…🙂行動の選択理論でコーチング人生案内#160


 40代の女性。小さい頃から母に褒められた記憶がありません。「あなたは全然頑張っていない」などと常に否定され、八つ当たりや暴言を繰り返されました。子どもが、自分の思い通りにいかないと我慢できないようです。

ちなみに、弟は以前結婚を考えた女性がいましたが、婿入りする必要があったために反対されて、いまだに独身です。

 こんな母を私は将来介護する気になれません。母に薄情だと言われましたが、「こう育てたのはあなたですけど」と言い返しました。母は「今までのことは水に流そう」などと言いましたが、無理です。電話から母の番号は削除して、着信拒否の設定もしています。早く死んでしまえばいいのに、とさえ思ってしまいます。母の顔をみると、パニック障害の発作が起きそうで、仕方なく会うときは薬を飲んでいます。

 こんな母親への割り切り方は間違っているでしょうか? 母の暴言でこれまでに何度となく傷つけられてきたので関わりたくありません。アドバイスをお願いします。(千葉・P子)

(読売新聞2022年8月29日)

✅次のようなプロセスで、相談者の答えを引き出す質問、コーチングの展開を考えてみました💦


▶︎ 相談者の「困りごと」をまとめてみると

・小さい頃から母に褒められた記憶がなく、常に否定され、八つ当たりや暴言を繰り返されてきたので、母を将来介護する気になれない。

母は「今までのことは水に流そう」などと言うが、自分には無理である。着信拒否の設定もしており、早く死んでしまえばいいのに、とさえ思う。

母の顔をみると、パニック障害の発作が起きそうで、会うときは薬を飲んでいる。

 母と関わりたくないが、このような母親への割り切り方は間違っているのかどうかがわからず、困っている。

▶︎ 相談者の「困りごと」を「願いごと」に転換してみると

・自分の母親への割り切り方が間違っているのかどうか、アドバイスがほしい。

▶︎ 相談者の困りごとのパターンを考えてみると

  • 今回の事例は、母に振り回されているというより、「自分」に自分が振り回されている?
    (注:この場合の「自分」は、自分の気分や感情、喪失感、記憶、思い込み、もう一人のダメな自分、完璧主義の自分など指します)

  • かっとうに悩んでいる


🚩 以上をふまえて、次の質問や展開を考えました

・今回の相談が終わったとき、どんなことが得られていたら、相談に来てよかったと思えそうですか?

・今回、あなたが、「お母さんに対する、あなたの割り切り方」でいいのかどうかの承認を得たいと思われた背景には、あなたのどのような揺れる思い、かっとうがあるのですか? 

そして、今は、どういうことを一番大事にしたいと思われているのですか?

・ところで、お母さんが、そのようにあなたが小さい頃から辛くあたられたのには、何か理由や背景があったのでしょうか?

・もし、仮に、お母さんに、最大限、譲歩するとしたら、お母さんとの関係を、今後どのようにしたいですか? それ以上の譲歩をしたとしたら、どのようなことになりそうですか?

・お母さんとの関係では、既に、かなりしっかりと「自分の立ち位置」を決められているように思います。そして、ご自分自身の大切なことを守るために、そのような距離を置くこと、割り切ることも、あなたのようなケースでは、人々がとるような選択の1つであると思います。


・ところで、その立ち位置をしっかりとキープした上で、その立ち位置で、おかあさんとの関係で、最大限、ご自分が歩み寄れるとしたら、どんなことならできそうですか? もし、そのような歩み寄りができたとしたら、あなたの気持ちに何か変化はありそうですか?

・逆に、どんな場合には、お母さんとの距離を、今以上に、もっと遠ざける必要性がありそうですか?

・このまま、お母さんとは距離を置き続けた場合、将来、ご自分が後悔しそうなこととして、どんなことがありそうですか。

・一方、お母さんが本当に真剣に反省し、あなたに謝罪し、あなたを認め、あなたに歩み寄ってきたとしたら、あなたとして、考え直してみてもいい、というラインはありそうですか?

・あなたにとって、できるだけ関わりたくないお母さんのようですが、それはそれとして、

これまでの人生や、これからの将来において、あえて、お母さんがそのようなお母さんであったことがよかったと思えることがあるとしたら、どういうことがありそうですか? 3つくらいはありそうですか?

以上のようなことを考えてみられて、どのようなことに気がつかれましたか?

以上のような、相談のやりとりをしてみて、相談の始めに得たいと思われていたことのうち、何%くらいを得ることができましたか?

✅参考:回答者(山田昌弘さん)の言葉です💖

  あなたもお母様も大人なのですから、今のままでいいですよ。

 子どもたちにつらく当たったのは、お母様なりの事情があったのかもしれません。だからといって、あなたがそれにつきあう必要はありません。連絡を取りたくなければ、取らなくてよいのです。そんな中で、必要な時にちゃんと会っているあなたは立派だと思います。

 割り切った関係にしたつもりでも、過去をなかなか忘れることはできません。それが長い間一緒に暮らしていた親子であれば、なおさらです。だから、自分の気持ちを分かってほしいし、母親に謝ってもらいたいですよね。

 今までされたことを思い出すと不謹慎なことさえ頭に浮かんでしまう。それは普通の反応です。そんなときは、ウソでもよいので「お母さんを自分のために許します」と、心の中で唱えてみてはいかがでしょう。

 現実に許せる日が来るかどうかはわかりません。ただ、そうすれば、少しだけでもあなたの心は楽になると思いますよ。

(読売新聞2022年8月29日)

✅ 以下、選択理論コーチングの補足です。

      😋 筆者独自の見解や表現も入っています.

1,相談者が満たせると幸せ感が増えそうな基本的欲求

  • 力・自己価値の欲求(自分が価値ある存在でありたい、認められたい、自分を認めたい)

  • 自由の欲求(自由でありたい、自由にしたい)

  • 愛所属の欲求(愛したい、愛されたい、仲間でありたい、仲間がほしい)


2,選択理論コーチングの基本的な三角モデル


3,今回使った「選択理論の考え方のエッセンス」

🌻 選択理論の第1の原理
・自分の考え方や見方、行動は、自分が自由に選択できるし、変えられる、と考えましょう。
 
・自分には、未来に向って自分が幸せになるために行動する責任がある、と考えましょう。

🌻 選択理論の第2の原理
・相手(本人)の行動を変えられるのは相手(本人)だけであって、他者は助言や情報提供、リクエストができるだけ、と考えましょう。(影響は与えられるが、相手を変えることはできない。「相手が自ら変わることを決める」と考える)

🌻 選択理論における「人間関係」の重要性
人の長期にわたる心理的な問題(悩み、不幸感)の大部分は、その人が、現在の重要な人間関係で、満足できる関係を持てていないことに原因がある。

・人は、現時点で、一つ以上の満足できる人間関係が持てていなければ、幸せな生活を送れない。逆に、一つ以上の満足できる人間関係を持つことができれば、今よりも幸せになれる可能性がある。

🌻 外的コントロールと人間関係
・「自分の正しさを押しつけると相手は反発するか逃げる」、「相手の考えを受け入れると相手は近づいてくる」ということを理解しましょう。

・(本人を外側から変えようとして)相手を批判したり、強制したり、脅したり、文句を言ったりすることはやめましょう。

🌻 「外的コントロールの心理」から「内的コントロールの考え方」に転換
・変わろうとしない相手(変えられない状況、環境)に、自分が振り回されていることに気づきましょう。

・自分は自分なりに、相手は相手なりに、それぞれが「精一杯の行動」をしていると考えましょう。

・同じするなら、いやいやでなく進んでする方が自分のコントロール感も高く自由度も広がると考えましょう。
 
🌻 相手の内的コントロールと行動、願望、欲求充足
・相手の行動も、自分のと同じく、ニーズや価値観、欲求を満たすための精一杯の行動なのだと考えましょう。
 
・相手が満たせていない、相手にとって大事なニーズや価値観が何かを考えましょう。

・「相手がしてほしい行動で自分がしてあげられること」があれば、積極的に協力し貢献しましょう。
 
・「人間関係を育む行動」を習慣にしましょう。具体的には、傾聴する、支援する、勇気づける、信頼する、受け容れる、尊敬する、意見の違いは交渉する、などの行動です。
 
🌻 自分と相手の「現状の知覚と願望」
・自分は今、人生やキャリアのどのようなステージにいて(入って)、未来(次のステージ)に向って何を望んでいるかを具体的に考えてみましょう。

・相手は今、人生やキャリアのどのようなステージにいて(入って)、未来(次のステージ)に向って何を望んでいるかを具体的に考えてみましょう。

🌻 相手との人間関係(具体的やりとり)の願望-人間関係の距離感
・自分は相手(職場、グループ)との関係で、未来に向って、どのような距離感で、具体的にどのようなやりとりができる(叉はしない関係)でありたいのか(自分の立ち位置をどこにするのか)、そして、そうであることによって、自分は相手とどのような人間関係を得たいのかを考えましょう。

・相手(職場、グループ)はあなたとの関係で、未来に向って、どのような距離感で、具体的にどのようなやりとりができる関係(叉はしない関係)でありたいのか(立ち対置をどこにするのか)、そして、そうであることによって、相手(職場、グループ)は自分とどのような関係を得たいのかを考えましょう。

🌻 自分の「自分」との関係
・もう一人の「自分」も、「自分なりに精一杯がんばっているんだ」と考えましょう。そして、もう一人の「自分」の心の声を聴き、応援者として励まし、勇気づけてあげましょう。
(注:ここでいう「自分」は、自分の気分や感情、喪失感、記憶、思い込み、もう一人のダメな自分、完璧主義の自分などを指すものとします)

・いやがるもう一人の「自分」を無理に変えようとしても、「自分」の抵抗を生み、自分の「自分」との関係が遠ざかるだけ、と考えましょう。

🌻 自分の欲求充足
・自分が満たせていない、自分にとって大切なニーズや価値観、欲求が何か、を考えましょう。

🌻 現在とっている行動とこれからの行動プラン
・自分が願っていることのために、今どんな行動をしているか、それをしていて実現できそうか、どんな新しい行動ができるかを考えてみましょう。
 

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