アダルトチルドレン卒業宣言 【その2】〜催眠療法で「過去の自分を育て直す」〜
だいぶ日が空いてしまいましたが、【その1】に引き続き、「今回は『心の解放に役に立った5つの要因』の3つめをご紹介いたします。
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⑶催眠療法〜過去の自分を育て直す〜
催眠療法的な手法で「過去の自分に会いに行った」ことも、私にとても効果がありました。
・「小さい奈緒ちゃん」に会いにいく
正確に言うと、私が受けたのは「イメージワーク」という、過去に傷ついたまま置いてきぼりになっていた「小さい奈緒ちゃん=インナーチャイルド」を癒しにいく、というものでした。
そのセッションは、寝椅子に横になって目を瞑り、2、3時間をかけ、セッションを行う方(ここでは便宜上「カウンセラー」としておきます)の言葉に従って、過去に遡っていく、という方法で進められました。
イメージの中では、まず自分の守護神のような存在を思い浮かべ(なぜか私の心に思い浮かんだものはウォンバットのような姿をしていました)、そのウォンバットとともに私は長年苦しめられてきた実家を訪ねました。
家の前に到着したことをカウンセラーさんに報告すると、「小さい奈緒ちゃんを探してみましょうか」と促され、私はあたりを見廻しました。
すると、塀の外の片隅にしゃがんで一人泣いている「小さい奈緒ちゃん」の姿が目に入りました。
「小さい奈緒ちゃんは何をしていますか?」と聞かれたので、「一人で泣いています」と伝えると、「では抱きしめてあげてください」と。
大人の私は近づいていって、そっと抱きしめてあげました。
すると、この瞬間涙が堰を切ったように溢れてきました。
ああ、ずっと私はこういう存在を待っていたんだ、誰かにこうして欲しかったんだ、激しく嗚咽しながらそう心の中で叫びました。
でもね、もう大丈夫だよ、小さい奈緒ちゃん、これからはもう絶対一人にはしないからね、守ってあげるからね。
そう語りかけてぎゅっと抱きしめると、何か私の奥底から力強いエネルギーが湧き上がってきて、それは初めて味わう、不思議で幸せな感覚でした。
そうしていると、小さい奈緒ちゃんは涙に濡れた顔を上げて、にこっと私に笑いかけると、立ち上がって私の守護神のウォンバットを腕の中に抱え、うきうきと踊り出しました。
良かったね、楽しいね。涙の洪水で窒息しそうになりながら、私は泣き笑いしていました。
・母と出会い直す
そうしていたら、今度は「お母さんはどこにいますか?」というカウンセラーさんの声。あたりには姿が見えなかったので、「たぶん家の中です」と、大人の私は答えました。
「じゃあ呼びかけて外に出てきてもらいましょう」そう言われて、私は小さい奈緒ちゃんを背後に匿いながら、母を呼びました。
また怒られる…!という怯えで体を硬くしながら待っていると、母が家の中から出てきました。
またきっと怒られる。傷つけられる。逃げなきゃ。
でも…、、あれ、こわくない…。
家から外に出てきた母は、大人になってからもずっと恐怖の代名詞のような存在だったのに、不思議と怖くはありませんでした。
あれ、もしかして怖かったのは「家」…?家が母を怖くしていた…?
たしかに私の実家は、建物自体が重い空気を放っている築90年超の一軒家な上、なおかつ特異な性格の祖母が特異な人間関係を作り上げていて、私にとっては昔からいるだけで窒息しそうな空気をまとった、恐怖の館でした。
そうか、母もこの家で私と同じように苦しんできたんだ。
そう思ったら、それまで「敵」としか思えていなかった母が、私と同じような被害者だったのかもしれないと感じ始めました。
すると、「恐ろしい存在」から「私と同じように苦しんで、私に辛くあたらざるを得なかった存在」となって、私をそれまで苛んできた得体の知れない大きな恐怖の塊が分解されて、急に小さくなったように感じました。
これは「思い出したくない恐怖の過去」としてまとめていた記憶を、因数分解した、ということなのかもしれません。
・私の心に起こった変化
このときに、イメージの中で私が母と何を話したのか、今は思い出せません。
でも、このセッションを通じて、私の心の中には大きな変化が訪れました。
まずは、このように母を家から分離することで、自分をいつも萎縮させてきた存在の正体を明らかにすることができました。
そして何よりも、
私は「小さい奈緒ちゃん」に会いに行くことで、自分自身に愛情を注ぎ、育て直し、空白となった子供時代を建設しなおすことが出来る、そんな確かな手応えを得ることができました。
そうすれば、ボロボロだった「心の土台」を今からでも築くことができるんだ、と。
そして、同時に「自分を自分で守ってあげなければ、誰にできるんだ。私が守る!」と強く思うようになりました。
それまでは、自分が大嫌いで大嫌いで、自分のことをいつも「おまえなんかこの世から消えてしまえ!」とめった斬りにしていた私。
でもこのセッションで小さい奈緒ちゃんの姿が目に焼き付いてからは、「私が守ってあげなければ」という意識が芽生えました。
実際、このセッションの最後には、「新しい思考回路が定着するまでの間、小さい奈緒ちゃんを抱きしめてあげる時間を毎日意識的にとってくださいね」と言われていたので、がんばって少しの時間でもイメージするようにしていました。
もちろん、私もすぐには「自分のことが大事!大好き!」と変われたわけではありません。
でも、だんだんとこの感覚が定着してきて、それが結果的に何年か後に「あれ、もう私死にたくなくなっている」という自殺衝動を克服することに繋がった大きな要因となったのだと感じています。
それまでは、巷でよく言われる「自分自身を大事にしてくださいね」という言葉がまったく理解できなかったのが、「小さい奈緒ちゃん」という姿によって、私にもそれが感覚的にわかるようになったのでした。
・アダルトチルドレンの「心のアンテナ」
時々アダルトチルドレンというと、「こどもっぽい大人」のことだと勘違いされることがあります。
しかし、それはむしろ逆で、「幼少期を子供らしく過ごすことが出来ず、大人にならざるをえなかった子供」や「無邪気な子供時代を奪われて成長した人」のこと、と私は認識しています。
のびのびと愛情を受けて育つと、子供時代が盤石な心の土台となりますが、アダルトチルドレンとして育つと、心の土台部分が空白のため、自尊心や自己肯定感が欠如したまま成長し、結果的に鬱を引き起こしたり、社会に適応できなくなる原因となるようです。
下記は以前ブログに載せた図なのですが、アダルトチルドレンの心の仕組みを書籍で読み、私が図式化したものです。(超ゆるい絵ですが)
健全な生育環境(右)では、子供は『心のアンテナ』を内部に向け、「自分が何をしたいのか、今どう感じるか」と、常に心の声に耳を済まし、わがままを言いながらのびのびと育ちます。
心の中には自分の素直な感情を貯めていきながら、同時に愛情も満たされ、これが心の盤石な土台となります。
しかしアダルトチルドレンとして育つと(左)、安心できる環境にいないことが多いため、危険の察知用に常に心のアンテナを外に向けて張ります。
「自分がどうしたいか」なんてことを考える暇もなく、もちろん愛情ももらえないので心の中は空っぽなまま。
でもそれが自然なことだと思って育つので、大人になって親元を離れ社会に出てからは、今度は上司や友人などの関係性において、「あの人に嫌われないように」「こういう場面ではこうしたほうがよさそうだ」と、他人の機嫌や評判にアンテナを向けてしまうようになります。
そうしてまわりに合わせて行動していると、自分では気がつけないほど心の奥底に仕舞い込んだ「自分が本当にしたいこと、感じていること」との齟齬がぱんぱんに膨らんで、ある日爆発しメンタルを病んでしまう。
でも、自分では何が原因なのかわからないので、どうしてよいのかわからない。永遠にこの地獄のような苦しみが続くのだと絶望してしまいます。
私も長い間この状態に苦しんできたのですが、現在では小さい奈緒ちゃんというインナーチャイルドを意識し、常に「何をしたい?どう感じる?」と尋ねることで、心のアンテナを内側に向けて生きることができるようになりました。
・子供の自分を癒すこと
たしかにアダルトチルドレンとして育ってしまった私たちは、残念ながらアンテナを自分の内側に向けて、心を愛で満たせるような環境で育つことができませんでした。
でも決して手遅れじゃない、私はそう信じています。
大人になってからでも、しかも自分一人ででも、アンテナを内に向けて自身で愛情を満たすことが出来る、自分の存在を肯定できるようになる、そう私は考えています。
実際に、大好きなご友人のわたなべぽんさんのこの漫画では、まさにこの「子供時代の自分を育て直すこと」、そしてその結果、心の解放がどんな風に訪れたのかが、とてもわかりやすく描かれています。
また、こちらの本で紹介されている「アーティストデート」にも同じような効果を感じました。
「どうしたら自分を好きになることができるんだろう」
「どうしたら人の目から自由になれる?」
そう苦しんでいらっしゃる方には、ぜひ自分が小さい頃にやりたかったことを今こそ叶えてあげて、あなたのインナーチャイルドを癒してあげていただきたいと思っています。
心の空白は自分で満たしてあげられる。
そして、まだ今からでも間に合う。
そう信じています。
次回は、「心の解放に役に立った5つの要因」のうちの「4、夫とそれぞれのトラウマを乗り越えたこと」「5、親との関係が変化したこと」についてです。
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下記の以前の投稿では、実際のセッションをしてくださった方のご紹介を兼ねて書いています。ただ、公平性を期すために申し上げると、この療法が私のように有効だった方、そうではなかった方の両方いらっしゃいます。私には大きなきっかけとなりました。
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