祖母が遺していった「爆弾」
久しぶりの更新となります。先日、全身全霊で取り組んだあるお仕事が終わり(来年お披露目されると思います)、ふと自分の周りを見渡してみたら、親がとても歳をとっていました。
元気なうちに会っておこうと先日久しぶりに実家に一人で行き、両親とゆっくり話したところ、驚きの事実が判明しました。
「爆弾」が暗に語っていたこと
5月に102歳で亡くなった祖母は、とんでもない「爆弾」を母に遺していた。
以前下記のブログで書いたように、母は、長年の祖母からの酷い扱いを赦し、最期は献身的に世話をしていました。
それに満足そうな祖母の様子を見て、長年の反目が氷解したんだと私は感動していたのですが、
それは幻影でした。
最近その存在が明らかになった「爆弾」が物語っていたのは、
祖母は最期まで母を愛することがなかったという残酷な真実でした。
家族といっても、所詮は血が繋がっただけの他人です。反りが合う、合わないがあるのも当然です。
しかし、それを最期までほんの少しでも取り繕うこともしなかった祖母の心なさに、寒々とした気持ちになりました。
祖母への最大の復讐
これではさすがに母がかわいそうだ。
帰りのバスの中で考えていたら涙が出てきました。
私の祖父である父が早くに亡くなり、誰にも守ってもらえなかった母。
私の祖母である母に愛を求めても、最期まで応えてもらえなかった母。
今は夫である私の父に守ってもらっているとはいえ、深い失望が伝わってきました。
祖母が遺した唯一の善い行いがあるとしたら、彼女の酷い仕打ちから、私の中に母へのいたわりの気持ちを生んでくれたことなのかもしれません。
上記のブログ内で、友人が「不幸だった母を、私が生んで育て直してあげたい」と言っていたのが、私にも初めてわかった気がしました。
私も母には長い間苦しめられました。しかし、この何年かで母は変わりました。
母も祖母と同じような種類の人間なのだと思っていたけれど、ありがたいことに、本質が姿を現してくると全く違っていました。
少なくとも母にはちゃんと心がありました。
恐ろしいことに、私の中にも祖母と同じ冷酷非情さが存在しています。でも母の繊細で傷つき易い面も、同じだけ存在している。
憎しみの連鎖をここで止める、それが祖母に対して、私と母ができる最大の復讐なのかもしれません。
家族の愛は存在するのか?
しかし家族の愛とは一体なんなのか、どこに存在するのか、本当にわからなくなってしまいました。
世の中では、それは当然のように存在するものとされているけれど、虐待事件は増える一方。
血が繋がってしまっているからこそ、どうしても好きになれなかったり、反りの合わない人間とも一緒にいなくてはならず、傷つけ合ってしまう。
人間には自由があり、人は好きだと思える人と一緒にいる権利がある。
しかし家族は…?
親子の愛情はどの時点で生まれるのか?
どうしても子をかわいいと思えなかった親はどうするのか?
自分の感情にとことん忠実な祖母にしたら、昔からどうにもかわいいと思えない母を疎ましく感じていたのでしょう。
ただ、見方を変えれば、酷いとは思いつつも、産んでみてから相性の悪さに気がついてしまった祖母を完全に責められない自分もいます。
しかし双方にとってなんという悲劇なのか。
取り返しのつかない悲劇。
だからこそ、そこに愛情が発生し、なおかつ継続している家庭が、どれだけ奇跡的で尊いものなのか、
たくさんの人から私と同じように苦しんだ経験を聞くにつれ、そのことを強く感じます。
私と母の関係も、今後どうなるのか先のことは全くわかりません。
年月を重ねて自制心が衰え、お互い自分の感情がコントロール出来なくなって、また傷つけあう日がくるのかもしれません。
でも今は、こんなに遅くなってしまったけれど、少しずつでもゼロから築いていけたら、そう思います。
愛情を持ってお子さんを育てられている親御さんへ
今回の投稿は、いつものようにどなたかを励ましたり鼓舞するようなポジティブなメッセージは一切ありません。
読まれて寒々とした気持ちになられた方もいるかもしれません。
ただ、「愛情が醸成されなかった親子関係」がどうにも存在してしまうことがある、ということを事実として残しておこうと思いました。
慈愛に満ちた幸せな家庭が一つでも多く存在してくれること、愛されないことに泣く子供がこの世から一人でも減ってくれることを、心から願ってやみません。
そして、現在日々大変な中でも、お子さんに愛を注いで育てていらっしゃるお父さん、お母さん、私がお礼を申しあげるのは少し変ですが、本当にありがとうございます。
親子が愛情で繋がれることは、全く当たり前のことではありません。
たくさんの機能不全に陥ってしまっている家庭が生まれてしまっている中で、奇跡のような貴重で尊い存在であるということ。
それをお伝えさせていただきたいと思いました。
呑気に一件落着、と喜んでいたときのブログです。
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