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「吐露したものは飲み込めない」

嫌なことがあった。
だから壁にぶちまけた。
誰かに見て欲しい。
誰かの目に留まって欲しい。
そう考えるのはどうにも浅はかで、見た人がどう思うかを考慮していない。

いざ、誰かの目に触れた時、その人はどう思うのだろうか。

思いがけない通知が心に突き刺さって、ジリジリと痛みが身体中を広がっていく。
その名は「良心」。
心配、励まし、同調。
良心から来ているその言葉は、何も考えていなかった私を突き刺していく。

ごめんなさい。
私はもう大人なのに。
何も考えられなくてごめんなさい。

心配をかけることは、悪いことではないかもしれない。
でも、相手が見て不快に思うような言葉を誰でも見られる場所に書き込むのは違う。
良くないことだ。

「自分の負の感情をぶちまける場所は、匿名のSNSで良い」だなんて、誰が言った?
匿名なんて嘘、知り合いと繋がっているのなら、それはもう身内の井戸端会議。
壁打ちはただのひとりごと。

あなたのなりたい自分は?
あなたの見せたい自分は?

どんどん遠ざかるその姿に、私は後悔する。
なんで書いてしまったんだろう。
なんで共感を求めたのだろう。
思いとどまれない自分の弱さが嫌になる。

変わろう。
私は、もうマイナスなことを書かない。
愚痴はネタにして、自分の中でためておこう。
どんどんメモ帳に書いていこう。

熱くなったその気持ちは、一旦冷ましてから味見をしよう。
おいしく食べられるなら、それは良し。

だがしかし、口から出た言葉はもう飲み込めない。

熱々のごはんが口から零れる前に、私は自分と向き合ってみる。

ーー2022/10/14 爽香さわか なこの携帯のメモより

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